【Suica等ICカードが対象か?】JR東日本「時間別運賃・加算運賃」導入で実質的に値上げ…なんて出来るの?
JR東日本はCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響で鉄道利用者が減少し収益が悪化しているため「時間別運賃・加算運賃」導入を検討している。定期券やSuica等の交通系ICカードが対象と思われるが、実質的に値上げ…なんて出来るの?具体的にどういう運賃になるのか?いろいろ考えてみる(2020年7月13日執筆、この日現在の情報)
もくじ
★JR東日本が「時間別運賃」導入を検討
「JR東日本、あの手この手の運賃値上げ、時間帯別も検討」(レスポンス)
↑こちらによると、JR東日本はCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響で、鉄道利用者が減少しているため収入が減少しているという。要因としてはテレワーク(在宅勤務)の推進で会社に行く必要がなくなり鉄道の利用回数が減少した事、COVID-19の感染を恐れてか?旅行そのものも行かなくなったことである。さらに列車内でCOVID-19予防のために、ソーシャルディスタンス(社会的距離)のキープ(確保)や混雑しない車内作りが必要になっている。そこで収入のアップとソーシャルディスタンスの確保のために、混雑時間帯(朝6~10時と夜の17~20時と終電間際の22~24時)について、「加算運賃」とか「時間別運賃」を導入したい方針だ。
鉄道運賃は認可事業であるため、国土交通省の認可が必要。周知期間もあるため、スグに始める事は出来ない。早くても2020年の10月以降であろう。時間別運賃・加算運賃を実施する事は認可さえ通過できれば可能で、現に「深夜バス」(主に23時以降に運転する深夜路線バス)は定価運賃×2だったりするので、その発想を鉄道に導入しても特に問題ないだろう。
「加算運賃」や「時間別運賃」については下記の事が考えられる。あくまでも私の予想なので、実際は異なる点(外れる事)もあるのでご了承願いたい。
★JR東日本の時間別運賃①~Suica定期券のカード内にある残高から加算運賃分を差し引く
JR東日本管内で交通系ICカードによる定期券を使う場合、自社発行のSuicaか私鉄と連絡運輸を行うPASMOのみ使える。TOICAやICOCA等の他の交通系ICカードは例えばJR東日本の新宿~熊谷間で定期券を作る事は出来ない。つまりICカードで定期券を作りたいならば、自社のICカードを使ってくれ!となるのだ。
とは言え定期券は1か月、3か月、6か月とまとまった期間分で一括購入する事がほとんどである。購入時に定期券の金額そのものを値上げする方法と、特定の時間帯に列車を使った場合例えば「〇時~〇時に入場した場合、〇円増し・〇%増し」としてICカードの残高から加算運賃分を差し引くやり方だ。
中にはICカードに残高0円で定期券の区間のみ列車に乗るという人も多いと思うが、時間別運賃・加算運賃を導入すると、いくら定期券であっても残高0円のカードでは入場そのものが出来なくなるだろう。その場合は少なくても加算運賃分の額を券売機でチャージ(入金)してくれ!となる。
★JR東日本の時間別運賃②~「時間別定期券」「曜日別定期券」「利用日数限定型定期券」を新設
これを導入するのではないか?と指摘する鉄道の専門家が多い。これも可能性としては考えられる事であろう。
「時間別定期券」とは、特定の時間だけしか定期券が使えない事を示す。例えば「朝は6~10時の間、夜は17~21時のみ利用可能」と言うように、使える時間を明確に決めておくのだ。ここで言う時間と言うのは、乗るためにICカードを改札機にタッチした時刻(つまり入場時刻)を基準とする。以下の項目の記述でも全て同様とする。Suica定期券の場合、ICカードに残高さえあればそれ以外の時間帯でも使う事は出来るが、定期券の区間内であっても別途運賃を支払う事になってしまう🤑
「曜日別定期券」とは、特定の曜日だけしか定期券が使えない事を示す。例えば「月曜日~金曜日(祝日を除く)のみ定期券が使える」と設定したら、この間しか定期券が使えない。土曜日や日曜日や祝日は使えないため、定期券の区間であっても使えない日に乗る場合はICカードの残高から別途運賃を支払う事になってしまう🤑”組み合わせ技”として、「曜日別定期券」+「時間別定期券」にする事も出来て、例えば「月曜日~金曜日(祝日を除く)の朝6~10時まで、夜17~21時までに限り定期券が使える」としておく事もあり得るだろう。
「利用日数限定型定期券」とは、例えば1か月で「20日間使える」と設定しておく。実際に使う曜日や時間帯は関係なく、1か月で20日間に限り定期券として使う事が出来るものだ。21日目以降は1か月の有効期限が余っていたとしても効力を失う事になるので、定期券区間内においてもやはりICカードの残高から別途運賃を支払う事になってしまう🤑
↑上記で述べた使える時間帯、曜日別、利用日数については、お客が自由に設定出来るものとする。その設定の仕方によって定期券の運賃が変わってくるものとした方が良かろう。お客によってニーズが違うため、これくらい柔軟に出来ないと意味がないのだ。
★JR東日本の時間別運賃③~定期券以外の場合は?
必ずしも定期券で乗るお客ばかりではない。青春18きっぷ等の「企画乗車券」と言われるきっぷで乗る場合には、今回の時間別運賃・加算運賃の議論の的からは外れるだろう。企画乗車券で時間別運賃・加算運賃を導入したら”ややこしい事”になる😩だったら企画乗車券そのものの値段を上げないといけない事になるが、青春18きっぷのようにJR他社でも販売がある場合は足並みを揃えないといけない。この調整も大変なので、そう簡単には出来ない。仮に企画乗車券で時間別運賃・加算運賃を導入する場合は、企画乗車券そのものの値上げを意味する😩
定期券機能の付いていないSuicaやPASMOを利用する場合は、例えばJR東日本が「朝6~10時と夜17以降終電まで加算運賃を導入する」と決めた場合、この時間帯に乗った場合は定価運賃+時間別運賃・加算運賃も徴収する事になる。
TOICA、ICOCA、Kitaca等の他社のICカードもJR東日本のSuicaエリアでは使えるが、これら他社カードを利用する場合も時間別運賃・加算運賃が適用される事になる。これについてはICカードの裏にその旨が記されているので確認すると良い。つまり上記①のやり方を適用する形だ。
問題なのは「紙のきっぷ」である。現状でさえもICカードとの運賃格差が生じているが、時間別運賃・加算運賃となった場合も、そうなってしまうだろう😩
やろう思えば、券売機は今や液晶式でソフトウェアの更新さえ出来れば、時間別運賃・加算運賃に対応出来るのであろうが、Suicaエリアの全ての紙の券売機が必ずしも液晶式の新型とは限らない。昔ながらの「食券券売機」のようなアナログなタイプも一定数あるので、これらに対して対応出来るか?と言うと無理に等しい。とは言っても首都圏のSuicaエリアでは旧型券売機は少数派だろう。
新型の場合は自動的に時間別運賃・加算運賃が表示できるようにして1枚のきっぷにまとめるか、新型・旧型問わずに、別ボタンに「時間別運賃・加算運賃」を設置して、時間別運賃・加算運賃適用時間帯は別にきっぷを買ってもらって、正規の乗車券と時間別運賃・加算運賃分のきっぷを同時に改札機に投入しないと改札を通過できない仕組みにしても良さそうだが、どんなに周知・案内をしても知らないお客は知らないので、トラブルの原因である。それをやると”かなりややこしい”事になる😩
そのため、紙のきっぷで時間別運賃・加算運賃をやるには、ハード面・ソフト面ともハードルが高い😫手っ取り早く低コストで始めたいのが本音であろうから、紙のきっぷについては据え置きにして、時間別運賃・加算運賃を徴収するのはICカード限定にする可能性もあるだろう。
★JR東日本の時間別運賃は導入に2~3年かかる?まずは列車本数の削減から
JR東日本は7月末の記者会見で、2020年度の第一四半期(4月~6月)の決算が1553億円の赤字を計上した😫COVID-19で鉄道利用そのものが大幅に減少しているためだ。2021年春のダイヤ改正で列車本数を削減する。全社的に初発(初電)を遅くして、終発(終電)を早くする。リモートワークや飲み会の自粛等で早朝や深夜に列車を使うお客が減っている事が理由だ。列車本数を削減する事が出来れば、運行経費の削減にもなるため、多少の収支改善が期待出来る。
本ブログの内容である時間別運賃導入についてだが、これはスグ出来ないと言う😫理由はシステム改修、旅客営業規則の改定、周知期間、国への認可等多岐に渡り変更点が多いためだ。そのため2~3年はかかると一部新聞が報じた。
★まとめ
つまりJR東日本が時間別運賃・加算運賃をやる場合、Suica等のICカードを中心に行う事になるだろう。時間別運賃・加算運賃のパターンやプランは複数考えられるものの、お客が自由に選択出来るようにした方が好ましい。一方で紙のきっぷは対応する事が難しいため、金額が据え置きになる可能性が高い。となると、ICカードと紙のきっぷで格差(差額)が生じてしまうが、それは平等ではないという批判が一定数あるとはいえ、仕方がない事なのであろうと私は思う。
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