【列車で異常時お客は何をすれば良いのか?】実車を用いた異常時対応訓練は「本物のお客」が参加しないと意味がない!
JR東海は2020年7月東海道新幹線新富士駅で実車を用いた異常時対応訓練を実施する。しかし参加者は同社関係者のみ。「本物のお客」は参加出来ない。この種の訓練は「本物のお客」が参加しないと意味がない!列車で事件・事故等の異常時にお客は何をすれば良いのか?広く知られていない。ブロガーやYouTuber等が異常時対応訓練に参加して、異常時にお客は何をすれば良いのか?広く知らせるべきである
もくじ
★「異常時対応訓練」と言うのは規定(マニュアル)の確認作業に過ぎない
「東海道新幹線、実車を用いた異常時対応訓練を実施」(JR東海ホームページ)
↑JR東海は2020年7月16日(木)の深夜に、東海道新幹線の新富士駅で「実車を用いた異常時対応訓練」を実施する。具体的な内容としては下記の通りである。
- 新富士駅の上り(東京方面)本線(新富士駅に停車しない「のぞみ」が通る線路)と副本線(新富士駅のホームに面した線路)に列車を2本並列に止める
- 上り本線の列車に異常が発生した事を想定し、上り本線に乗っているお客を救済する(列車から降りてホーム・駅舎まで行ってもらう)目的で行う
- 具体的には、上り本線と上り副本線に停車している列車との間に「渡り板」を設置し、ドアを手動で開ける→上り本線の列車から脱出→列車と列車の間に「渡り板」を設置→それを通って副本線の列車へ→副本線の列車からホームに行ってもらう
- 上り本線の列車に乗っているお客は、身障者も含める
- 現場では、駅員・乗務員に加えて、駅に派遣した設備保守点検関係の社員もお客の誘導にあたる
- 参加者は約100人。JR東海の関係者のみの構成

このような実例は東海道新幹線では、ここ数年急増している。2020年5月には、JR西日本のN700Advance(当該はF20編成)が名古屋→三河安城間走行中に故障し走る事が出来なくなった😫この列車は各駅停車の「こだま」であったが、三河安城駅のホームには入らず本線(通過する線路)へ。後から来た後続の「のぞみ」に副本線(ホームに面した線路)に入ってもらい、故障した「こだま」のお客を同様の手段で救済したと言うものである。
細かな手順が決まっているはずなので、それに従って現場ではやってもらう事になる。お客の救済を決めるまででまず時間がかかり、今度お客を救済するまでの準備に時間がかかり、何時間も待たされてようやくお客を救済する・・・と言う流れだ。この時は故障した車両に約2時間お客が閉じ込められたという。
この種の「異常時対応訓練」と称するものは、「お客を速く救済する」ことを目的にはしていない😫
鉄道はあくまでも「規定産業」(マニュアル産業)なので、原則として規定(マニュアル)に書いた通り作業を進める必要がある。規定(マニュアル)通り実践してもらう事で、やり方を覚えてもらう、フィードバックする、そこで必要となる関係社員の人員配置、関係社員間の連携の確認、指揮命令系統の確認・・・が「異常時対応訓練」の本質的な目的なのだ。
悪く言ってしまえば、「お客を救済する」と言うのは二の次の話なのである😫
このように書けば、「現役(元)JR関係者」と称する人物が、「お前の言っている事は間違えている!」と言う文句の1つや2つ来るが、JR外部の人間から見れば当ブログで記している通りにしかなっていないのだ。だったら「JR内部の正しい情報を明確にハッキリと書いた上で、文句言えや!」と言う話である。
★問題なのは「本物のお客」が参加しない事
私はTwitterで下記の通りに述べた。
お客役の人ってJR東海の社員でしょ?結局は規定通り進んで訓練終了では意味がない。この種の訓練は普段利用している一般のお客に乗客役とし参加する事に意味がある。規定外のイレギュラーな事をしてもらい現場社員が臨機応変に対応出来るか?だからおたくの会社は異常時の対応能力がダメなんだよ😩
走行中に異常があった場合は、お客対してどんな協力を要請するか?お客はどう行動すれば良いか?と言う事が私を含めてほとんどのお客がわかっていない。テロや事件が起これば車内はパニックになる。冷静に行動と口で言う事は簡単でも、実際にはそんなのは無理に決まっている
異常時と一言で言ってもいろいろあるし、みなまでは出来ない。代表的な異常時で良いので一般客に参加して知ってもらう事が大切だ。その訓練にYouTuberやブロガーやテレビ記者に参加してもらい、実況解説してその模様を広く公開して知ってもらう事に意味がある。
↑「異常時対応訓練」でポイントになるのは・・・
JR東海の社員(または関連会社の社員)しか参加していない事
つまり一般のお客は「参加出来ない」のである😫
そもそも鉄道会社が行う「異常時対応訓練」と言うのは、かなり閉鎖的なものである。時々「鉄道ジャーナル」にその時の模様の記事が書いてあるが、それでも全ての鉄道各社がマスコミ向けに広く公開しているとは限らない。今回の新富士駅における東海道新幹線の「異常時対応訓練」については、静岡のテレビ・新聞社等を現場に入れて、取材しても良い事になるのだろうが、実際に報道される内容は「かいつまんだもの」だけなので、”みな”まではわからない。
私としては下記の事を知りたい。
異常発生時車内ではどうなった?
JRからどのような案内が出た?
JRからどのようにお客は行動するように求められた?
車内でお客がパニックになったり、怒ったり、制御不能な行動を始めたりしなかった?そうなった時にJR関係者(特に乗務員)は適切に対応できたのか?
どのように車外に避難出来たのか?
ホームや駅舎の安全な場所に行った後、お客はどのように行動すれば良いのか?
・・・と言ったこういう細かい事が全く不明😰
「安全な場所に逃げられたのでこれで終わり」ではなくて、そのあとお客の求めに応じてどのようにJR側が対応出来るのか?若しくは対応出来ないのか?例えばお客が1か所に集められて、どのような異常が起きていたか?と言う説明、きっぷの変更や払い戻し等の案内や誘導、負傷した場合の病院への案内、体調の聞き取り調査、体調に異常なく目的地に向かいたい場合の代替となる交通手段や列車名の案内・・・等が行われるのであろうか?
私が思うには(経験した事が無いので知らないが)、「安全な場所に行く事が出来ればそれで終わり」だと思う。特にJR側からの案内やケアがあるわけでもなく、「後は勝手にしてくれ」となるに違いない!これについては、実際に経験した事がある人からの体験談を聴かせてもらいたい。
私が思うには、この種の「異常時対応訓練」は「本物のお客」が参加するべきである。東海道新幹線だと深夜でないと駅や本線上では訓練が出来ないが、深夜でも良いので訓練に参加させるべきである。
その理由については、次の項目について説明するが、お客としても「列車が異常が発生した時に、自分はどのように行動するべきなのか?」知ってもらう必要があるのだ。それが我が身を守るための対策であり、危機管理なのだ。つまりJR(鉄道各社)任せにしてはダメと言う事だ。
一番良いのは、私のような鉄道ブログを書く人、スーツのような鉄道系YouTuber、鉄道ライター(鉄道雑誌に定期的に書いている人)、「乗りものニュース」編集部等に参加してもらい、その時の模様を取材(写真撮影や動画撮影して、動画ならばその場で実況解説してもらう)。後日その時の模様の写真や動画をブログ、YouTube、ネット記事、週刊誌、新聞、鉄道ジャーナル等の鉄道専門誌に”完全描写”した内容を公開し、広く一般の人に知ってもらうべきではないか。
これについて、JR東海をはじめ鉄道各社は再考するべきである。
★列車で異常時にお客は何をすればいいのか?
1丁目1番地的なマニュアルで言うならば下記の通りである
「乗務員や駅員の指示に従ってください」
ただこれだけである😩具体的に何をやったらいいのか?わからない😫
単に待っていれば良いのか?勝手に逃げたらいいのか?ドアコックを操作してドアを開けて脱出しても良いのか?ケガしたらJRは慰謝料出してくれるのか?・・・わからないことだらけ😩
他の事故事例でも言えるが、乗務員が負傷・死亡・職務放棄などして、乗務員が指示出来ない(指示しない)事は山ほどある。それによってお客がどのように行動したら良いか?わからなくなって、被害が拡大した事だってある(例えば2003年の韓国大邱地下鉄火災事故等)。

↑JR北海道は2011年に石勝線で火災脱線事故を起こしているが、その際に車掌が適切に案内出来なかったため、一部のお客がドアコックを開けて車外へ避難を開始して、それを見たお客が次々に避難して、結果的に車両(キハ283)が全焼する前に避難が完了し、ケガ人は出たものの死亡者は出さなかった。
これに至るには、”みな”まで話す必要がある。「車掌は適切に案内出来ない」と述べたが、実際には車掌がマニュアルに従い「車内に留まれ」と案内したものの、一部のお客がそれを無視して勝手にドアコックを開けた。それに車掌が激怒して制止させようとしたが、他のお客は車内が煙で充満する中で、車掌の激怒よりも自分の命の危機の方が怖かったので、そんな事も無視して車外避難した事が後になってわかっている😫
これは当時のJR北海道の規定(マニュアル)が実態に合っていなかったこと(机上の空論でしか考えられていなかった)が大きく影響している。以後同社は現場の車掌等の判断で、人命を守るのであれば規定(マニュアル)に書いていない方法でも対応して良い事になった。つまり、その場で柔軟に判断しても良いという事だ。一般企業ではそれが普通であるが、鉄道の世界では「規定(マニュアル)至上主義」の弊害から、それを逸脱した事をやるのは、社風として許されていないのが実情である。それが雰囲気として黙認しているのが実態で
規定(マニュアル)を改定するのは「大きな事故が起きた時だけ」
と何とも皮肉な話である😫
事故や事件が列車で起きたら、お客は何をすれば良いのか?これが全く世の中に知られていない😫
これが問題で、お客がやるべき危機管理がやりたくても出来ないのが実態だ。極端な話が「福知山線脱線事故」のような列車事故で、これはお客に非があるのではなくて、運転していた運転士、ましてはJR西日本と言う会社に問題があった。いつも通り乗っていたお客が「今乗っている列車が大事故を起こす」なんて普通思うだろうか?思わないはずだ。
JR西日本は近年「安全対策」について、車内や駅頭等で積極的に公開しているが、そんなのは極一部に過ぎない。JRグループ各社を見ても、西日本ほど積極的に公開している会社の方が少ない。
「では事故や異常が起きたらお客はどのように行動するべきか?」
について、具体的に示さないといけない時期が来ている。それが示さないと鉄道は不安全な危ない乗り物。鉄道には乗らずにマイカーで移動する・・・になりかねないだろう。
それで手っ取り早いのが、理屈をポスターや動画で知らせるよりも、「本物のお客に体験させる」事である。年に1回程度車両基地の一般公開をやっているわけだから、その時に「異常時対応訓練」を一緒にしてしまえば良い。一般利用客も参加出来るようにして、実際に異常が発生した想定で「お客として行動するべき事」を知ってもらえるようにしたらどうだ?
★まとめ
- 「異常時対応訓練」は鉄道会社社員の規定(マニュアル)の確認に過ぎない
- 「異常時対応訓練」や「車両基地一般公開の時」に一般利用客を対象に、列車で発生した事件・事故と言った異常に対してお客としてどのように行動するべきか?知ってもらうために体験してもらうべき
- 列車内で発生した異常時、お客はどのように行動するべきか?知らない事が多い。それを知ってもらうために、鉄道会社主催の「異常時対応訓練」にブロガー、YouTuber、ライター等に参加してもらい、その時の模様を”完全描写”して、後日記事や動画として公開する事で、多くの人に知ってもらう機会を作るべき
必ずしも返事を差し上げるわけではないが、みなさんの意見も聞いてみたい。
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