【詳しく説明】日田彦山線添田~夜明の鉄道を廃止しBRT(バス高速輸送システム)にする理由
JR九州の日田彦山線は添田~夜明間が2017年の九州北部豪雨で被災。この区間の鉄道を廃止しBRT(バス高速輸送システム)に転換する事が事実上決定した。鉄道を廃止する理由は?日田彦山線をBRTにする理由と今後の展開方法は?自然災害で被災したローカル線がBRTに転換する事例が今後増えると見る。詳しく説明する。
もくじ
★日田彦山線添田~夜明間は鉄道を廃止する事になったのか?

↑日田彦山(ひたひこさん)線とは福岡県北九州市小倉南区の城野駅から大分県日田市の夜明駅までの路線である。本来ならば「鉄道路線である」と書きたい所であるが、現状を含めて将来的に見ても「鉄道」と言う枕詞を付けるのが正しくなくなる🤔一体どういうことなのであろうか?
2020年6月現在、日田彦山線の営業形態は下記の通りである。
小倉~城野~田川後藤寺~添田=鉄道による運転(非電化路線のためキハ147系等の気動車を使用)
添田~夜明~日田=代行バスによる運転(鉄道車両は使っていない)
昔からこのような運行形態ではない。このようになったのは2017年7月以降である。「平成29年(2017年)九州北部豪雨」により、日田彦山線の添田~日田間では線路や駅施設等の崩壊、流出が相次いだ。夜明で接続する久大本線でも、豪雨により鉄橋流出等の大きな被害が発生したが”超突貫工事”により2018年7月までには全線で運転を再開している。久大本線はご存知の通り、福岡県の久留米から日田や由布院を通って大分に抜ける路線。由布院は九州きっての温泉地・観光地なので、JR九州としても重要路線の位置づけである。決して利用者は多くない久大本線であるが、特急が通っている路線と言う事もあってか、久大本線を廃止するような考え方は全くなかった。
しかし、日田彦山線はかなり”冷遇”された対応になった。元から利用者が少なく、2016年度の実績では田川後藤寺~夜明間の輸送密度(1日1キロ平均の利用者数)は299人に留まる😩一方で城野~田川後藤寺の輸送密度は2,595人である。
鉄道が詳しくない人にこの数字を言われてもピンとこないだろう。JR九州管内では鹿児島本線の小倉~博多間が約8万人、博多~久留米間が約6万人なので、それと比べれば「少なすぎる」事がおわかりだろう。
国鉄がいわゆる「赤字83線区」を示した時に、国鉄が鉄道を廃止する基準だったのが・・・
1日平均の輸送密度が4,000人以下
であった。4,000人も乗らない路線は、鉄道ではなくてバスに転換した方が良いと示したのである。逆に言うと4,000人以上乗る路線は鉄道で残っても良いと示したのだ。だが実際には4,000~5,000人と言う数字であっても、決して多いとは言えず、8,000人以上乗らないと鉄道としての機能を果たしていないとした。
JR全線で見てみると、8,000人を超える路線は意外と少ない。名の知れた幹線級路線、特に新幹線や特急が運転される路線ではその数字を超えているが、新幹線や特急がない路線、いわゆる「ローカル線」では8,000人を切る路線が多く、JR線であっても4,000人を下回る路線も数多くある。さらには200人以下の”超閑散路線”も少なからずある。例えば北海道の留萌本線や新潟県の大糸線非電化区間等である。JR時代に入ってからは比較的しぶとく残っており、三江線や札沼線非電化等輸送密度が100人を切ったらやっと廃止と言う路線が多い。
日田彦山線については、添田駅を境界に日田側と小倉側では利用者に差があり、現状の輸送密度からして国鉄時代の基準では全線で廃止対象になっても良いのだが、北九州市と言う政令指定都市に直結している事、廃止した際の代替となる交通手段が確保できない(バスが用意できても、バスにしては多くのお客を運ぶ事になってしまうので)等の問題で、なんとか存続しているのが実態である。設備投資も消極的で、基本的には駅施設等の設備は昔のまま残っており、JR九州ご自慢のD&S列車の定期運行すら行っていなければ今後行う計画の話すら聴こえてこない。
これは昔から言われている事であるが、利用者少ないローカル線が大雨や地震等の自然災害で被災した場合、直す事なくそのまま廃止になるケースが多い😩
日田彦山線の添田~夜明については、まさしくそのパターンである😫
本来ならばJR九州が自社の資金(場合によっては国や地元から支援を受けて)で元通り直して、日田彦山線の全区間において鉄道による運転を再開するのがスジである。九州北部豪雨で被災した区間を元通り直すのに約70億円と試算された。同社の実質負担額は国や地元からの支援を受ける事が出来るため、半分(約35億円)とされた。だが、意外と日田彦山線については元通り直す費用よりも、鉄道として復活した後の営業費用についての事が、結果として鉄道を残す事を辞めた大きな理由となった😫
日田彦山線の利用者が少ないため、費用がかかる鉄道で元通り直した所で、お客が戻るとは見ていない😫
2016年度の添田~夜明間の収益(売上額)は2,800万円しかなかった。それに対して運営費用(経費)は約2億9千万円もかかっている🤑差し引きして2億6千万円も赤字なのだ😫
そのうち1億6千万円は「線路維持費」である。つまり安全に走れるように線路を定期的にメンテナンスしないといけない。鉄道はこの費用が高いのが特徴だ。この分を自社で負担する事は出来ないので、鉄道を維持したいならばこの分を負担してくれと要求した。実質的には「上下分離」に近い関係があって、上=運行に関わる費用は自社で負担するが、下=線路維持費については自社では資金が用意出来ないため地元に出してもらう事が出来れば、日田彦山線を鉄道として残しても良い!としたのだ。
どこからも支援がなければ、結局はJR九州が負担しないといけないし、今や東証一部上場企業とは言え鉄道事業では赤字になるかならないかレベルの経営。むしろJR九州にとって鉄道事業部門は本業でありながらも”お荷物”と言うとんでもない矛盾を抱えているのだ😩
JR九州の経営体力からして公的支援を使えば、元通り直す事は出来る。これは一時的な負担に過ぎないからだ。しかし、運転を再開した後の経費について、どこから用意するのか?と言う問題に直面したのだ。少なくても日田彦山線を廃止しない限り、お客がどんなに少なくても経費は毎年負担しないといけない。今は古くなったキハ147と言う車両で運行しているが、そろそろ寿命で新しい車両に取り換えるとなるとさらに経費が掛かってくる😩
近鉄やJR東海のように、他で大量の黒字を生み出す鉄道路線や列車があれば良いのだが、JR九州には新幹線やソニックやかもめのような特急や福岡都市圏の各路線がそれに該当するものの、それでも近鉄やJR東海と比べればこの分野で生み出される黒字は”微々たるもの”に過ぎない。日田彦山線1線だけの負担ならば、何とかなるのかもしれないが、日田彦山線のような利用者が少ないローカル線が九州には他にいくつもあって、これがJR九州の経営上の大きな”お荷物”になっている。
青柳社長は、「すぐに鉄道路線を廃止する事は考えていない」と繰り返し述べているが、とは言っても利用者がどんどん減って、路線単位で見た時の収益(売上)が採算割れするような事が続けば、少なくても株式会社である限り維持困難に陥ってしまう。下手すれば、JR九州もJR北海道のように「不採算路線の徹底リストラ策」を断行せざるを得なくなる事だって今後5年後、10年後にあり得ると言って良かろう😰
大雨で被災したというターニングポイントを迎えると、九州に限らず今や全国的に「ローカル線の存続問題に発展する」。今は特に「費用対効果」を重視する事もポイントだ。元通り直す費用を出す。元通り直す事が出来て、鉄道が復活したら採算割れしないレベル(理想は利益が出る事)が求められる。それが期待出来ないならば、「鉄道は辞めようか」となってしまうのが、2010年代以降色濃くなってきたような気がする。
鉄道よりもバスの方が運行費用は安上がりで、何と言っても「下」の部分にあたる線路(道路)の負担がほとんどない事が大きい。JR九州の試算では日田彦山線の鉄道が復活した場合、鉄道では年間2億9千万円(現状とほぼ変わらず)、一般的な路線バスでは1億4千万円、BRT(詳細後術)では1億1千万円である。バス(BRT)にした場合、運行に関わる費用はJR九州が負担する見込みだ。
日田彦山線の鉄道で復活する場合の今後発生する経費について、JR九州は地元自治体(福岡県添田町、福岡県東峰村、大分県日田市)に対して年間1億6千万円の負担求めた。本来ならば日田彦山線の収益だけで日田彦山線の運営に必要な資金を確保するべきであるが、日田彦山線の収益(売上)は非常に悪いためである😫
それに対して、添田町と日田市は・・・
人口が減少し税収も減る中で、日田彦山線の維持だけで毎年1億6千万円もの大金を出す事は出来ない😰
と言う結論に至ったのだ。
簡単に言えば、日田彦山線を鉄道で維持するための資金がJR九州でも用意出来なければ、地元でも用意出来ない・・・それだったら鉄道は廃止するしかない😭
となってしまったのだ😩最終的には添田町、東峰村、日田市の首長や議会に諮られ、添田町と日田市は早々に「鉄道としての日田彦山線は廃止」と言う結論に至ったが、東峰村は首長も議会も地元住民(アンケートをしたら98%の住民ともいわれている)の多くが反対したのだ。
その理由は、先祖が大変な思いをして作ってきた日田彦山線をたかが1回の水害だけで廃止とは先祖にとって申し訳なく、鉄道が消える事により東峰村の発展がなくなるからであった。
その理由は私個人的にも十分納得できる。この事をTwitterで書いたら批判意見もそれなりに来たが、東峰村にとって日田彦山線は「生命線」であり「遠くからの集客装置」なのである。国鉄・JR時代に廃止になった鉄道をめぐる事も最近増えているが、その街に行って思う事が「明らかに寂れている」と言う点だ。国道等の幹線道路に行けば郊外型のロードサイド店舗が展開し、街の中心は駅前からそちらに移転している所もわずかながらあるが、三江線や石勝線夕張支線の街を歩くとロードサイド店は皆無で、廃墟や過疎化が余計に鮮明となった印象だ。特に鉄道が廃止になってから(または鉄道が廃止になる間際から)それが加速したような気がする。
一方で北海道紋別市や鹿児島県鹿屋市のように鉄道が消えても、市の中心部は代替交通となった路線バスやマイカーをメインの移動手段として、街そのものの発展を続け、「鉄道が消えても移動に困る事はない」と言う街さえも出現している。しかし、いずれも「市」である。人口もそれなりにある。人口の多さと言うバックボーンの中で、紋別はオホーツク側では大きな街のひとつだし、鹿屋は自衛隊の大きな基地があるし体育大学さえもあるので、そもそもから人が集まりやすい。そのような鉄道の消えた街は少数派で、日田彦山線の沿線では人口が少ないので、紋別や鹿屋のような事になるとは思えない。
ましては、日田彦山線と言う「生命線」「集客装置」が消えてしまう事は、東峰村と言う小さな村の存亡にかかわる話なのだ😖問題はJR九州が要求する1億6千万円という大金を出す事が出来るか?結果から言えば、毎年それが出来るような財政的な余裕は全くなく、結局は「予算負け」する格好で嫌々ながらも日田彦山線の鉄道による廃止を承諾せざるを得なかった😫
※参考文献=鉄道ジャーナル2019年9月号「日田彦山線栄枯盛衰」より
★輸送モードの転換~鉄道からBRTと称するバスに変わる事で、実質的に鉄道の代わりを果たす?

↑日田彦山線は今後添田駅から夜明駅までは鉄道による運転を正式に廃止する事が決まった😫
今までのセオリーであれば、「列車代替バス」と称する一般的な路線バスを今まで鉄道があった区間の道路を並走するように設定して、公共交通としての役割を果たす事になるが、日田彦山線の添田~夜明ではそのようにはならない。

↑BRTと称する一般的な路線バスとは多少変わったバスになる。BRTとは「バス高速輸送システム」の事である。本来は一般道路(国道、県道、市道等)を走行するが、渋滞等で定時制は鉄道以上に劣るし、乗車区間によっては距離が長かったり、遠回りだったりするので、鉄道以上に時間がかかるというデメリットがある😩
そこで元々鉄道の線路があった所に「バス専用の道路」に作り変えてしまう。ここには一般のクルマが入れないようにする。一般道路との境界部分には踏切を設置して、ETCシステムを活用するのであろうか?許可を受けた車両だけが入れる仕組みになっている。
元々線路があった部分では、レールを外したうえでコンクリートで舗装して道路化する。単線区間の場合、舗装した面積は単線分しかない。BRTになったからと言っても、常時反対側から来るバスとスムーズにすれ違えるわけではないのだ。駅以外の場所に「退避場」を設置して、そこで反対側からのバスとすれ違えるようになっているのだ。車両側には反対側からのバスが接近したらアラーム音で知らせる装置を搭載している。
BRTになれば、速度は概ね時速60キロ前後になるだろう(線形等によっても異なる)。高速バスほどの速度は出ないものの、一般道と比べて信号機が極端に少なく、一般車の乗り入れが出来ないため渋滞そのものが発生しない😆そのため、定時制はかなり優れている😆
JR九州は日田彦山線の鉄道用地跡地にバス専用道路として整備して、そこに鉄道に変わる乗り物を運行する方針である。この事を
日田彦山線BRT
と称する。日田彦山線の鉄道廃止区間は添田~夜明となっているが、バス専用道路として整備する予定(2020年6月現在の情報)が彦山~宝珠山となっている。当初は彦山~筑前岩屋であったが、最後まで鉄道廃止に反対した東峰村を配慮して宝珠山まで延伸した格好だ。
なぜ全線をBRTにしないのか?🤔それは日田彦山線の線路がある場所周辺に集落が必ずしもないためだ。当然BRTとして運行する場合も、利用者を獲得しないといけない。基本的な利用者層は地元のお客なので、集落から遠く離れた場所にある現行の日田彦山線の駅周辺では、不便だし集客にも難がある。そこで、集落が集中する添田~彦山、宝珠山~夜明~日田については、バス専用道路にはせずに一般道路(国道211号線等)にする。
現行の列車代行バスでは、彦山~筑前岩屋間は添田町の小石原庁舎と言う場所を通るが、かなりの遠回りでしかも峠越えだ。鉄道があった時代と所要時間差を少なくなさせるために、同区間は鉄道跡地を使う。この区間には全長4,379メートルある釈迦岳トンネルをバス専用道路に整備する。ここを通る事でBRTにした場合、鉄道時代との所要時間の差は5分長くなる程度だという。一方で現行の列車代行バスが走る小石原庁舎経由だと25分も長くかかるので、使わない手はないだろう。
道路的には遠回り等で不利になるが、鉄道ではトンネルでショートカット出来るのでそのままBRTに転用するという事例は気仙沼線・大船渡線BRTでも見られる。全区間バス専用道路ではなくて、集落や商業施設、行政施設付近を中心に、BRTの経路に入れている事が特徴で、鉄道時代に獲得できなかったお客を新規で獲得する事で利便性向上につなげている。これは需要によるが、本数を増やす事や駅(この場合は駅と表現するのが妥当。詳細後術)を増やす事も容易である。
【JR九州は日田彦山線BRTを今後どのように展開するのか?】
これはあくまでも私の予想である。車両については、一般的なノンステップバスを使う事であろう。九州と言う土地柄からして、いわゆる「ワンロマ」と言われている車両を導入する可能性もあり得る。東峰村周辺を中心に道幅が狭い部分もあるので、小さいサイズのバス(例えば、いすゞエルガミオ、日野ポンチョ等)を用いる事もあり得そうだ。
車両は必ずしも新車でなくて良いので、中古車を調達しても問題ない。これは気仙沼線・大船渡線BRTでも開業当初はそうだった。JR九州の事なので「乗ってもらう仕掛け」として、BRTバスのデザインを「ミトーカデザイン」にする可能性はある😆あくまでも「単なる路線バス」に見えてしまうようであれば、特に遠くから来るお客にとっては魅力や訪問理由の動機付けとして薄くなるので、鉄道時代以上に訪問者が少なくなる😩BRTのD&S列車版が登場する可能性もある😆それは何台かあるうちの1台だけで、臨時・イベント運行が中心になるだろう。
また日田彦山線BRTになった場合の実際の運行は、地元バス会社に委託される可能性が高い。これは気仙沼線・大船渡線BRTでも同様だ。子会社のJR九州バスが受託して添田や日田に営業所を構える事も考えられるが、少なくてもJR九州が直営でBRT運転士を用意して運転する事は考えにくい。車両の名義上はJR九州のもので、バス車体の後ろにはしっかりと「JR九州」とか「九州旅客鉄道」と書かれるだろうし、車内でもその旨が書かれるはずである。気仙沼線・大船渡線BRTではバスの後ろには「JR東日本」、車内には「車両所有者 東日本旅客鉄道株式会社」とあるので、この点も日田彦山線BRTになった所でも変わらない点と思われる。
添田駅は鉄道の日田彦山線と直接的に接続出来る構造にり替えるとウワサされている。いわゆる「新八代方式」を日田彦山線BRTでも導入する可能性がある。それに違い物が気仙沼線の気仙沼駅であるが、こちらは鉄道のりばとBRTのりばが多少離れているため、完全な「対面接続」ではない。BRTとなっても「日田彦山線」と称する事には変わりないし、鉄道と一体で使ってもらえるようにするには、添田駅における乗り換えと言うバリアを取っ払う必要がある。
日田彦山線BRTはあくまでも「JR九州の鉄道路線」と言う位置づけになるだろう。これは気仙沼線・大船渡線BRTと同じである。しかし、気仙沼線・大船渡線BRTでは2020年4月1日付で「鉄道路線」と言う立場ではなくなった。今はあくまでも「一般路線バス」に過ぎない。しかし、BRTになった経緯、鉄道を組み合わせた広域的なネットワークを考えれば、「一般路線バス」になった同年4月以降であっても、実質的には「鉄道路線としての気仙沼線・大船渡線」と言う扱いになっている。もちろん、JR東日本の公式ホームページに時刻表や路線網が出てくるし、各種乗り換えアプリでも表示される。
乗り物はBRTと言うバスに変わったが、「鉄道の代用」であるためJR九州が「鉄道」と称する以上は旅客が乗り降り出来る場所は「駅」と言うのが正しい。これが「鉄道」ではなく「自動車線」(いわゆる路線バス)とJR九州が称した場合は、その途端乗り降り出来る場所は「停留所」となる。ただこれは余談になるが、JRバスグループでは旅客が乗り降り出来る場所の事は「停留所」とか「バス停」と称する事が無く、「駅」と称するのが一般的である。
日田彦山線BRTが正式には「鉄道」であっても「バス」であっても、利用上は実質的に大きくは変わらないが、きっぷのルールが「鉄道」として扱われた場合は、JRグループ共通の「旅客営業規則」が適用されるのに対して、「バス」として扱われた場合は基本的に旅客営業規則の適用から外れ「一般乗合旅客自動車運送事業取扱規則」が適用される。つまり、路線バスとしてのきっぷのルールが適用となる。実際の乗車が鉄道線とBRT線との間で”通し”になる場合は、旅客営業規則がそのまま適用される。そのため気仙沼線・大船渡線BRTでは2020年4月1日以降も、きっぷのルール上は実質的に鉄道路線扱いの所があるため、「青春18きっぷ」「北海道&東日本パス」等のJRのきっぷもそのまま使えるのだ😆日田彦山線については今後の成り行きを見ないとわからない。
【今後、自然災害で被災したローカル線は鉄道で残らず、BRTに転換される事例が増えるか?】
残念ながら日田彦山線BRTがその前例を作ってしまったと言わざるを得ない😩
激甚化する災害で鉄道が致命的な被害を受ける事例が近年増加している。元通り直す・直さないという考え方や方針には、鉄道会社によって差があるが、ある程度はその会社はもちろん、路線単位で見た時の収支が良い・悪いによっても決まってくると言って良い。
当然地元からの反対もあるだろう。しかし、実際には「お客が乗らない」と言う事はJR各社に入ってくる収入や輸送密度と言う実績を見れば、すぐにわかってしまう。普段から乗っていないのに、鉄道廃止を提案すると反対するという矛盾した現象は、全国各地で起きているが、それは鉄道が街のシンボルである。前述の東峰村の事ではないが、日田彦山線が「生命線」であり「集客装置」なのだ。そのような市町村は他にもたくさんある。BRTになったとしても、結局は「バス」なのでいくら利用が少ないローカル線でも、地図で路線が残っている限り、鉄道を使って遠くから来る人が期待出来るのだ。
しかし、今は変わった。必ずしも鉄道で移動するとは限らなくなった。運転免許とクルマさえあれば、余ほどの理由がない限り、鉄道なんて使わない。道路さえあればどうにでもなるのだ。中にはクルマが公共交通機関だ豪語する人さえもいる。この場合問題になるのが、何らかの理由でクルマを運転出来なくなったときに、移動手段を失うという事である。そのリスクを知らない人が多く、いざ公共交通が必要になった場合は鉄道やバスがない😰と言う事態に陥る事が今後出てくるだろう😩
鉄道は大量輸送と言うメリットがあるが、バス(BRT)は少量輸送である。例えば鉄道では2両の列車で約200人乗る事が出来るが、バスは1台で約50人程度(車両のサイズによっても前後する)である。元々からの利用が少ないのであれば、バス(BRT)で十分なのだ。あえて大量輸送に特化した鉄道をいつまでも動かす必要はない。需要に合わせた乗り物に変更して、バスだと一般道経由になるので定時制が劣る問題があるので、それを解決するためにバス専用道路経由にして、所要時間も鉄道時代と大きく変わらないようにする。一般路線バスにはない「付加価値」を付けたのがBRTなのだ。路線バス・BRTとして生き残っても、利用者を獲得しないといけない。そうでないと鉄道から転換したそれさえも廃止の危機だ。そこで鉄道となるべく性格を近づけて、本来鉄道が立ち寄らなかった地域にも自由に立ち寄るようにして、のりばもたくさん新設する・・・とBRTは実にメリットが多い😆
人口が多い地域ならば、鉄道はまだまだ必要であるが、人口が少ない地域では「鉄道不要論」が今後全国各地で起こるだろう。今や北海道の「維持困難線区問題」はJR北海道と言う会社の経営から端を発した事であるが、よくよく見ればJR北海道はしっかりとしたコストカット対策をやっていたし、切り詰める所はギリギリまで切り詰めた所でも、さらにリストラやコストカットを図らないと根本的な解決には至らないという、根深い問題だ😖
それは札幌を除く北海道の社会、経済、人口の構成が公共の乗り物を必要としないものになっており、こう言う場所で旅客鉄道事業を営むというのはかつての国鉄が大赤字を出して困難を極めたのと同じく、これがJR北海道に変わってもダメ、高収益を誇るJR東海や東急がやっても上手く行かないだろう。
このように、鉄道がある地域、特に「田舎」と言われている地域における社会、経済、人口の構成が変わってしまった以上は、
公共交通機関は維持するけど乗り物は小さいサイズの乗り物に変更する
と言う事が今後当たり前になる。JR各社の経営計画書を見てもそのような事が平気で明記されている時代なのだ。とは言っても簡単には決められない。キッカケが必要だ。一番手っ取り早いキッカケが自然災害で被災した事による。不採算なので費用対効果をぶつけると「予算負け」する事は誰が見てもわかっているし、ある意味「最も都合の良いリストラ策」なのだ😫今後日田彦山線と似たような事例は増えるだろう😫
今後の公共交通機関の在り方を大きく転換する最初の事例が、日田彦山線BRTだと私は思っている。みなさんはどう思うだろうか?
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