【2019年8月乗車記と乗り歩き/車内をじっくり見学/鳴子峡の絶景ポイント/じーっと見たくなる車窓】「リゾートみのり」に乗る③
2019年8月乗車記と乗り歩き。「リゾートみのり」に乗る!鳴子温泉駅では長時間停車を利用して車内をじっくりと見学する。発車してすぐに鳴子峡の絶景ポイント!じーっと見たくなる車窓が山形県内の陸羽東線にはあった!最後は奥羽本線(山形新幹線)と並走して新庄駅に着くと謎の方言が?!「リゾートみのり」の後継車両はどうなる?
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【2019年8月乗車記/引退理由は?高級感がある車内!駅弁を食べながら東北本線の車窓を楽しむ】「リゾートみのり」に乗る①
【2019年8月乗車記と車窓/いよいよ陸羽東線へ!「こけしの人形」が”おもてなし”】「リゾートみのり」に乗る②
【乗車日】2019年8月18日(日)
【列車番号】8727D(リゾートみのり・新庄行き)
【時刻】仙台9:13→小牛田9:51~9:53→鳴子温泉11:00~11:23→新庄12:26
【車両】1号車キハ48-550+2号車キハ48-549+3号車キハ48-546→
【備考】全車指定席。先頭が3号車。今回は鳴子温泉~新庄間について書く
もくじ
★2019年8月乗車記と乗り歩き。「リゾートみのり」の車内を1両ずつじっくりと見学する。”おもてなし”が意外と半端ない!


↑鳴子温泉駅で「リゾートみのり」に乗っていたお客のほとんどが降りてしまう。話の内容からして、鳴子温泉郷の各温泉へ向かうようで、駅から送迎のクルマやバスが来るという。旅行予定として仙台・小牛田・古川~鳴子温泉まで午前中の新庄行き「リゾートみのり」に乗って、鳴子温泉郷で温泉に入り、帰りは午後の仙台行き「リゾートみのり」に乗って戻る事も可能だ。このような利用者も少なくないという。


↑車内には極端にお客がいないため、車内の様子を写真で記録する。まずは3号車のキハ48-546から。鳴子温泉に到着した直後の様子で、これから温泉に向かう人が「リゾートみのり」と一緒に記念撮影をしている。写真の左側には鳴子温泉のゆるキャラ「なる子ちゃん」も写っている。ホームが賑わうのは「リゾートみのり」が到着してから最初の10分程度で、11:10を過ぎればホームは閑散とする。

↑3号車にはトイレ(男子用と男女兼用のバリアフリー対応)がある。デッキはうす暗い印象だが、暖色系の照明で照らしてあるため、やはり高級感がある車内を演出している。


↑2号車のキハ48-549の車内。運転席はあるものの座席から直接見ることが出来ない。デッキで仕切られているのだ。仙台方の一部はフリースペースになっている。ミニコンサート等はここで行われるのだ。




↑フリースペースには、かわいらしい「リゾートみのり」の椅子がある🤩
テレビには上越新幹線の「現美新幹線」(E3系6両)の映像が流れている。列車内と言う制約がある場所ミニコンサート等のイベントを行うには、十分とも言えるスペースで、「リゾートみのり」のような観光列車では是非とも欲しい場所だ。「リゾートシリーズ」ではフリースペースの設置は標準となっており、車両によって場所は違うものの、中間の車両にあるのは珍しいような気がする。

↑1号車のキハ48-550の車内。こちらも3号車のキハキハ48-546と同じような作り。鳴子温泉から先も乗るお客が2人座っていた。


↑1号車の運転席とフリースペース。ここにも「こけしの人形」による”おもてなし”に加えて、記念撮影用のボードもある。ここと各座席には小牛田運輸区が作成した陸羽東線の沿線の見どころを説明したパウチ(持ち帰りは出来ない)がある。結構詳しく書いてあるので、車窓が何倍も楽しめる!🤩観光列車でもここまで丁寧に車窓や見どころを説明しているパウチやパンフレットは”よそ”では見たことがない。「リゾートみのり」における”おもてなし”が意外と半端ない!🤩

↑鳴子温泉駅の改札口はシンプルだ。陸羽東線では小牛田~古川間の各駅、鳴子温泉駅、新庄駅に限りSuica等の交通系ICカードが使える。これは特例的な扱いだと思うが、「リゾートみのり」は鳴子温泉駅での停車時間が長いため、引き続き乗車の場合も改札で乗車券と指定席券を提示すれば途中下車する事は出来る。とは言っても20分以内に「リゾートみのり」の車内に戻らないといけないが。
★鳴子温泉駅を発車するとスグに絶景スポット!

↑鳴子温泉駅を発車。引き続き「リゾートみのり」に乗っているお客はかなり少ない。先ほどまで盛況だった車内がウソのようだ。乗車率に直せば2割もいない。下手すれば新庄まで運転しなくても、鳴子温泉までの運転でも良いのかもしれない。「リゾートみのり」は仙台・小牛田~新庄の都市間連絡的な役割もある列車なので、そういうわけにはゆかないだろう。
陸羽東線で非常に有名な車窓が鳴子温泉駅を発車してスグにある「鳴子峡」である。陸羽東線の乗車記では絶対的に注目したい場所である。秋の紅葉の時期には一面が紅く染まり、谷の間と間にあるトンネルとトンネルの間に列車が通る姿と言うのは、写真からしても圧巻だ。この時は夏の真っ盛り。紅い車窓は当然期待出来ないが、青々とした車窓が待っていた。「リゾートみのり」車内ではその旨の放送が入り、ゆっくりと走行するという。一瞬しかないので、写真撮影の際にはシャッターチャンスが意外と難しかったりする


↑鳴子峡の車窓。撮れたのはこの2枚だけ。今思ってもシャッターチャンスが本当に難しい車窓だ。「リゾートみのり」ではゆっくり走ってくれるので比較的難易度が下がるのかもしれないが、普通列車ではそうではないだろうから難易度は上がるだろう。それにしても線路から川底までかなりの高さがある。JR線の中でその高さが最もあるのではないか?
★陸羽東線で最も利用者が少ない区間を通る


↑「リゾートみのり」は山深い区間へと進む。中山平温泉は想像していたよりも小さな駅で、人の姿が見られなかった。陸羽東線はこう見えても典型的なローカル線だ。「時刻表」を見ると小牛田~古川間では新幹線連絡もあるため本数は多いが、古川~鳴子温泉間は1~2時間に1本、鳴子温泉~新庄間は2~3時間に1本とどんどん本数が少なくなるダイヤだ。
輸送密度を見ると、2018年度は小牛田~古川間が3,885人、古川~鳴子温泉間が1,032人、鳴子温泉~最上間が85人、最上~新庄間が363人と鳴子温泉から先の山形県方面への利用が極端に少ない事がわかるだろう。
こんなにも客数が少ないと「リゾートみのり」という”看板列車”であっても満席にさせる事は難しい。何かイベントがあれば話は別なんだろうけど、常時はこのようにガラガラの車内だ。「リゾートみのり」は2回目の乗車だったが、1回目の乗車の時も似たような利用状況であった。

↑中山平温泉~堺田

↑赤倉温泉~立小路

↑最上駅では11:54~11:57まで停車。724D鳴子温泉行きと交換。こちらも10人程しか乗っていない。「リゾートみのり」は全席指定席であるが、この辺の駅にはみどりの窓口は設置していない駅がほとんど。列車本数も少ないので、何もきっぷを持っていないお客が飛び込みで乗る事もそれなりにある。
ガッチリと「全席指定席なのできっぷがなければ乗ってはダメ」というルールを厳格に適用したら利用者を減らすだけなので、とりあえず乗って車内なり着駅で必要なきっぷを買ってもらう。それで利用者を獲得しないと。最上から乗ったお客もきっぷは持っていない。選びたい放題空席があったので、そこに座ると車掌が現れてきっぷを買う。新庄から山形・東北新幹線経由で東京山手線内まで2人で25,000円もするきっぷを買っていた。そういうような利用者もいるのだ。
★じーっと見たくなってしまう車窓

↑最上~大堀


↑長沢~南新庄
「おーっ!」と言えるような車窓。まさに日本の原風景!じーっと見たくなる車窓に無心で見いている。見るものは同じでも「リゾートみのり」という観光列車とキハ110の普通列車は「見え方」というものが違ってくる。もちろん「感じ方」とか「感動」と言うものも。別にキハ110の普通列車の方が悪く見えると言いたいわけではないが、「リゾートみのり」から見るこんなにも素晴らしい車窓は、言葉を失うほどのものがあった。これが陸羽東線の魅力であり、乗車記として伝えたい点でもある。

↑線路が見えてきた。奥羽本線(山形新幹線、山形線)だ。こちらは軌間(レールの幅)が異なるため、「リゾートみのり」やキハ110は走る事が出来ない。南新庄駅の手前から新庄駅まで完全に並走する。これが見えてくると「リゾートみのり」の乗車もこれで終わりだ。
★「リゾートみのり」の後継となる観光列車は登場するのか?

↑新庄に到着。下車したのは20人前後であった。折り返しの仙台行きは15:01発なので約2時間の休憩となる。ホームで休む事はなくて



↑車庫へと引き上げてゆく。車内整備や乗務員の休憩等の後に今度は仙台行きとして再び陸羽東線を走る。

↑「抑止すったが?」
東北の方言だと思うが、「すったが?」という言葉の意味が全くわからない。運転士に対しての確認を促す意味なんだと思う。これがどうしても気になった次第。
「リゾートみのり」は2020年6月28日(日)に最終運転を迎える予定だ。列車番号からして臨時列車扱いのため、「リゾートみのり」運行終了後はスジがそのまま消えてしまう。私の中では「リゾートみのり」の引退が唐突な感じがしたが、まだまだ陸羽東線では「リゾートみのり」のような観光列車は必要不可欠だ。鳴子温泉郷という立派な観光資源があるならば、普通列車だけではインパクトが薄いし集客も難しくなるのかもしれない。
「リゾートみのり」の後継になる車両の登場は今の所公表されていないが、将来的には「リゾートみのり」の後継となる新型車両の登場を期待したい。列車名は変える事なく、そのまま新型車両として運転を開始すれば良いと思う。ただ個人的に気になるのは、鳴子温泉~最上間の異常なほどの利用の少なさ。この区間には鳴子峡という絶景ポイントがあるので、それを陸羽東線からじっくりと見てもらうためには、利用が少ないと言っても観光列車の運転は不可欠だと思う。
さらにその先の山形県内の車窓も素晴らしいが、旅行ガイド本どころか、鉄道ファンの間でもその事は意外と広く知られていない。陸羽東線も結構面白いローカル線で、路線そのものを観光地化してしまった方がむしろ利用促進につながるのではないか?とも思う。どこのローカル線でも言える事だが、少子高齢化で地元利用だけで輸送密度をアップさせようなんて言う事は不可能に等しいと言って良い。そうなれば観光客、遠くから来る物好きな人と言った人に乗ってもらうしかない。つまり「交流人口の拡大」と言うものである。キハ48形の「リゾートみのり」は終わってしまうが、今度は新しい車両で登場することを期待したい。
完
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