【2020年3月乗車記/新快速で特急と同じサービスを提供】JR西日本新快速の有料座席「Aシート」に乗る

広告
広告
広告

2020年3月乗車記。JR西日本新快速に有料座席「Aシート」が登場した。一体どんなものか?1日に野洲~姫路・網干間で2往復しかないAシート連結列車に乗る。新快速なのに特急と同じサービスを提供!具体的にはどうなっているのか?今の所は試験的な意味合いが強いが今後Aシートはどのように展開するのか?考えてみた

広告
広告

★JR西日本新快速の有料座席「Aシート」とは?

JR西日本の看板の列車と言えば「新快速」。米原~姫路間は原則12両で運転されているが、座る事が出来ないほどの大混雑!が当たり前になっている。特に京都や大阪から乗ると「まず座れない」。新快速の223系(写真)・225系は、快適な転換クロスシートになっているが、混雑すると地獄でただでさえ狭い通路に立つ事になる。「新快速では確実に座りたい」と言うお客も少なくないようで、だったら「座る事を前提にした車両」が2019年3月16日に登場した。その名も

Aシート

と称する。これは「Amenity」(快適性)、新快速が運行する北陸・琵琶湖・京都・神戸の各線の路線記号「A」から、関西弁の「ええ(良い)」と言った意味がある。私が思うには路線記号から取ったものと思っており、全く同じサービスを阪和線(関空快速・紀州路快速)で展開するならば「Sシート」「Rシート」、大和路線(大和路快速)で展開するならば「Qシート」になるだろう。

【運行列車の時刻は?】

「有料座席サービス新快速”Aシート”」(JRおでかけネットホームページ)

↑こちらを参照されたい。運行本数は上下合わせてたったの4本しかない。しかも平日ダイヤと土日祝日ダイヤでは時刻が異なるので注意が必要だ。運行区間は野洲~姫路間(一部網干発)のみとなっている。米原~野洲間では「Aシート」の運行がない事も特徴だ。時刻(2020年度)は下記の通り。

【平日上り】

3424A、網干7:22→姫路7:35→大阪8:48→野洲9:49

3516A、姫路18:10→大阪19:15→野洲20:16

【土日祝日上り】

3434A、姫路8:40→大阪9:45→野洲10:43

3494A、姫路16:10→大阪17:15→野洲18:16

【平日下り】

3449A、野洲10:59→大阪12:00→姫路13:02

3541A、野洲20:59→大阪22:00→姫路23:06→網干23:16

【土日祝日下り】

3457A、野洲11:59→大阪13:00→姫路14:02

3529A、野洲19:28→大阪20:30→姫路21:34

「Aシート」で運行する列車はこれだけしかないのだ。今の所(2020年5月)Aシートを連結した車両は2両しかなく、既存車両の改造である。今後Aシートが増えるという話は聴こえてこない。将来性については後術する。

Aシートで運行する列車は「時刻表」に大きく書いてある。「JTB時刻表」にはAシートのマークの記載はないものの・・・

9号車は「Aシート」です。ご利用の場合、乗車整理券500円が必要です。車内で販売します

と文章で書いてある。さらに大きな特徴が列車番号。新快速のそれは末尾が「M」であったが、輸送司令所がAシート連結列車であることを把握するために、末尾が「A」になっている。

Aシートの乗車には、乗車券(ICOCA等の交通系ICカード、青春18きっぷ等の乗り放題きっぷでも可)・定期券・回数券+乗車整理券500円が必要。乗車整理券は車内のみで販売し、駅やネット(e5489等)では販売していない。Aシートは自由席のため、好きな座席に座れば良い

これがAシートの大きな特徴である。それでは実際に乗ってみた。その時の乗車記を下記で述べる。

★「Aシート」という特急に乗る感覚!

【乗車日】2020年3月20日(金・祝日)

【列車番号】3457A(新快速姫路行き)

【時刻】野洲(A21)11:59→姫路(A85)14:02

【車両】223系1000番台Aシートの9号車クハ222-1008

↑野洲駅の駅名標と発車案内装置。「△9は有料座席」と言う断りが入る。

↑Aシートの乗車位置になる9号車には「A-SEAT 有料座席」と言う表記がある。

↑しかし乗車位置番号9の場所でも「Aシート乗車口はありません」とある。

↑種車となる223系は1両につき3か所のドアがあるが、Aシートとなった車両は中央のドアがない。ここは座席となっている。そのため乗り降り可能なドアは縦に黄色いラインとなっている部分だけである。

↑Aシートは米原・敦賀方の9号車に連結。姫路行きの場合は後ろ側、野洲行きの場合は前側となる。前側の1~8号車には223系の8両が連結。この部分とAシートの後ろ側になる10~12号車は乗車券のみで乗れる車両だ。必ずしもAシートとの連結車両は223系8両とは限らず、車両運用によっては223系4両×2編成か、225系8両となる事もあるだろう。3457Aの入線は発車3分前であった。

↑ドアが開く。Aシートは自由席のため好きな座席に座れば良い。車両側面を見ているとドア付近に大きく「A-SEAT」と書いてあるし、他の223系とは異なる車体色になっている。北陸の521系に近いものがある。

↑番号プレート、車両番号については種車と同じだ。一般的に大きく改造すると車両番号・形式・番台は変わるものだが、Aシートについては一切変わっていない。最近にしては珍しい。

↑ドア上にある案内表示器も種車のまま。223系では一般的なものだ。2020年度から223系を対象に液晶式案内表示器に更新するとしているが、Aシートについてはドア上にあっても気づかなったり、見ないお客が多いと思う。Aシートの座席内にマクラギ方向に向かって液晶式案内表示器を設置出来ないのものだろうか?イメージとしては225系のそれみたいに。

↑Aシートの後ろがにはトイレ。これも種車と大きく変わらぬタイプで車いす対応型。10~12号車のお客も使う事が出来る。ドア付近は特急列車で言うデッキと化しており、簡易な仕切りとスーツケース等の大型荷物が置けるスペースもある。

↑Aシートのデッキには4か国語(日本語、英語、中国語、韓国語)に対応した案内表示。Aシートは車両の全てが「有料」とは限らない。デッキに立っている分には乗車整理券は不要だ。一方でAシートの座席に座ったり、座席横の通路に立つと乗車整理券500円が必要になる。Aシートは自由席のため満席になった場合、空席が発生するまでデッキに立って待ってもらう事になる。

↑Aシートの座席は特急列車そのもの。

「新快速で特急と同じサービスを提供」と言って良い

座席の形状を見ていると683系4000番台(サンダーバード)に似ている。全席に電源コンセントがあって、無料Wi-Fiもある(使えるようになるにはメールアドレスやSNSアカウントでの認証が必要)。

Aシートには車掌だけで2人も乗っている。前側のデッキに1人、後ろ側のデッキに1人ずつ。各停車駅でドアが開くと、大声で「有料座席」と言う事をお客に伝える。その事を知ったお客が慌てて”無料座席”の8号車や10号車へ進む。最初から「有料座席」と言う事を心得た人はそのまま9号車Aシートに入る。着席すると車掌が現れて、乗車整理券500円を支払うように求められる。その際に乗車券の改札は実施せず、「どの駅で下車するか?」聞かれる。「姫路まで」と答える。500円の支払い方法は現金or交通系ICカードだ。私はKitacaを差し出す。車掌が持っているポス端末にタッチして精算するのかと思いきや、カードそのものを車掌に渡してKitacaを端末に挿入する。少しすると処理が完了しKitacaから500円が差し引かれた。

↑乗車整理券を購入すると座席のポケットに入れられた。ごくごく一般的な車内補充券。そこには下車駅と発行時刻が大きく書かれている。乗車中は入れたままにする。座席の移動は自由だ。その際に乗車整理券も持って行き、移動した座席のポケットに入れれば良い。車掌は座席番号管理表は持っていない。着席したお客がしっかりと乗車整理券を購入したのか?という確認は、現物をポケットに入れた状態で行うのだ。

↑吹田付近で金沢行き特急「サンダーバード23号」とすれ違う。

各駅で数人ずつ程度が乗るが乗車距離は長めだ。慣れた人は空席にスッと座り、車掌が現れると目的地の駅名を告げて乗車整理券を購入する。電源コンセントにテーブルがあるため、パソコンを広げて書類作成したり、中には動画を見ている人も。こんな事は新快速の転換クロスシートの部分ではまず出来ない事だ。

新快速に乗るというよりも、Aシートと言う特急に乗る感覚だ

この日はCOVID-19の影響で大阪府~兵庫県への人の移動を自粛するようにとの要請が出ていた。それもあってか?3457A全体で見ても普段よりも客数は少ないように見えた。とは言っても一定の移動需要はあるため、各停車駅では各乗車口に7~8人程度の行列が出来る。

↑大阪駅に到着。大阪駅のホームは普段よりは人出が少ないように見えたが、ガラガラと表現するほどでもない。やはりAシートでもお客が乗り替わった。とは言ってもAシートに乗ったのは琵琶湖線・JR京都線内と比べれば少なめ。窓側の座席がなんとか埋まる程度。新快速の場合、大阪駅でお客の8~9割程度が降りる事が多いが、Aシートでは全く異なる現象が起きていた。Aシートの車内からはざっと5割程度が大阪駅で降りた。残りの5割がそのままJR神戸線に直通。長距離(長時間)利用のお客を中心にAシートを好む傾向がある。Aシートは乗車区間に関係なく乗車整理券の金額は一律500円だ。この500円の意味は速達料金ではなく、「Aシートと言う設備を使うため」の料金、すなわちグリーン券や寝台券、個室券の性格と等しい。

↑複々線区間では207系普通を追い越す。新快速は隣を走る普通・快速をグングン追い越すダイナミックな車窓が見られる。意外とこういう車窓は全国的に見ても少ない。

↑JR神戸線に入ると車内の動きはキッパリと止まる。尼崎、芦屋ではAシート車内からの乗り降りはゼロ。三ノ宮・神戸でやっと降りるお客はいるが、乗るお客はいない。車掌は大阪で交代したが、JR神戸線内の利用状況を反映してか?1人しか乗務していない。Aシート乗務の車掌からも利用案内等の放送が入る。これについてはAシート以外の車両(1~8号車、10~12号車)については放送していないはずだ。こういうのを「裏送り」と言っても良いのだろう。

★上野東京ラインE231系・E233系グリーン車×新快速Aシートは似ているか?

↑Aシートと似たような存在だったのが、JR東日本の上野東京ラインや湘南新宿ライン等のE231系・E233系に連結したグリーン車だ。Aシートと車両の構造が違えば、等級も違う。Aシートは223系1000番台を1両改造した車両であるが、E231系・E233系のグリーン車は新造でしかも2階建てだ。

↑E231系・E233系グリーン車は特急や新幹線のグリーン車とは意味が異なる。グレード的には在来線特急の普通車と全く同じで、これら車両の座席はE257系と全く同じものを使っている。Aシートも特急車両の普通席を使っているという点は変わりない。

↑一方で京阪8000系プレミアムカーのようにAシートと言う新しいサービスを始める事にあたり、新しい座席を開発したり、新しい内装にしたわけでもない。なお個人的な感想として、Aシートは京阪プレミアムカーと比べて、座り心地、車内の内装、サービス等の全てが負けている。内装は種車の223系をベースにしており、悪く言ってしまえば

223系の車両に683系4000番台の座席をそのまま設置した

と言っても良いだろう。あくまでも「着席サービス」を提供するので、新幹線のグリーン車・グランクラス並みの豪華な座席と言うのは、新快速と言う庶民一般的な列車にとっては不要で、一般的な在来線特急の普通席をそのまま使っても、文句を言うのはこだわりの強い鉄道ファンくらいだ。「着席出来れば良い」ので、座席のグレードと言うのは「普通」で良いのだ。そこに付加価値として、新快速だったら転換クロスシートよりもシートピッチを拡大(転換クロスシート910ミリ→Aシート980ミリと特急の普通車並みに)したほか、電源コンセントやWi-Fiも設置した。Wi-Fiの電波が飛んで行けば、1~8号車、10~12号車の自由席でも使う事は可能なのであるが、これについてはどうなのだろうか?

E231系・E233系のグリーン車については、車両の設計がやや古いという事もあって、電源コンセントやWi-Fiは非搭載。実際に乗ってみるとAシートの客層と似ていて、テーブルにパソコンを出している人と言うのは少なからず見たことがあるが、電源コンセントがないためパソコンを使うのは必要最小限。Aシートにないサービスが「車内販売」。ジュース、缶コーヒー、ビール、菓子等を販売している。新幹線や特急のように弁当や土産はさすがに販売していないが、グリーン車専用の乗員としてグリーンアテンダントが乗務している。

グリーン車に乗るにはグリーン券が必要であるが、Suica、Kitaca、PASMO、TOICAを使って、事前に乗車駅のホームにある専用券売機で事前にカード残高から差し引く形で支払いを行う。同時にカードには乗車駅と降車駅の情報が登録される。グリーン車に乗ると座席上にある読み取り機にタッチ。すると読み取り機の横にあるランプが赤→青に変わる。そうする事で車内改札は省略される。なお、ICOCAやSUGOCA等の他の交通系ICカードではE231系・E233系のグリーン車に乗る事は出来ない。その場合は紙のきっぷになるが、それは改札外の券売機等での発売で、車内では改札を受ける必要がある。車内でグリーン券を買うと”手間賃”として駅よりも高い金額が請求される。

一方でAシートでは駅売りがないため、乗車整理券の金額そのものは500円のままだ。必ず紙のきっぷが発行されるため、Aシートに乗っている限りはこれを所持しておく必要がある。販売しているのは車掌で、たまたまAシートの車内改札行路で、次の列車は他の新快速や普通・快速等で最後尾に乗務しドアの開閉や車内放送と言った業務を行うので、1日の行路(勤務)の中で「Aシート車内改札専属」と言うわけでもない。他の業務との兼ね合いなのだ。

★Aシートは今後どのように展開するか?

実際にAシートに乗っていて思ったのが・・・

試験的な意味合いが強い

という事。新快速の歴史を見るとかつて有料座席を連結した事があったが、お客が全く乗らず廃止に追い込まれている。新快速停車駅の様子を見ていると、Aシートが登場してから1年経過したにも関わらず、未だに「有料座席」と言う事を知らずに乗り込もうとするお客が多かった事。それにはいろいろ理由があって、Aシート連結列車が極端に少なく偶然やってきた列車がたまたまA列車連結列車だったとか、Aシートの存在そのものを知らない等であろう。駅ではうるさいほど「有料座席Aシート」と言う事を案内している。JR西日本も現状は”手探り状態”で、今後の本格展開に向けて方針を模索しているのだろう。

今の時代明らかに「生産性のない事」として車掌の人数が多い事だ。Aシートだけで車掌が2人もいる。2人は要らないだろうと。お客を誘導するために各ドアに車掌を1人ずつ配置して、誤乗車を防ぐ狙いもあるのだろうが、どうもこれが「試験的な意味合い」と感じてしまう。

Aシートの乗車整理券の販売については、駅でも行うようにしてしまえば良い。JR東日本のE231系・E233系グリーン車と同じく、駅でICOCA等の交通系ICカードを専用券売機に挿入して、その残高から必要な代金を差し引いて、乗車駅と降車駅の情報を登録して、Aシートの車内に読み取り機を設置して、カードをタッチすれば車内改札は実施しないとすれば良いだろう。これを行うにはハード面での設備投資が必要になるほか、新快速の米原~姫路間の全列車に拡大させる必要がある。さらには快速(高槻~西明石間)とも車両運用が同じこともあるため、Aシート連結車両を快速で運転した時にAシートは有料で営業するのか?無料で営業するのか?それとも営業しないのか?という話になる。

今まで通り乗車整理券の販売を車内で車掌2人で行う方法もありだが、そうなるとやはり課題になるのは人出。JR西日本は今後5年で約2割の社員が定年を迎えると言われている中で、Aシートのためだけに新たに人出が確保出来るか?と言われると疑問だ。E231系・E233系グリーン車のグリーンアテンダントのように子会社に業務委託、京阪プレミアムカーのように自社グループ外の他社に業務委託という方法もあるが、そこもそこで人手不足だったりするので、それをやった所で必要な人員が集まるのか?疑問である。E231系・E233系のグリーン車と同じ方式で乗車整理券を販売した方が良いと思う。

Aシート連結車両は4両の方なので、223系の場合クハ222形をそれに改造したとしても両数にすれば100両程度あるだろう。プラス必要な機械であったり、改札を行う人員の人件費も入ってくるので、コストとして高くなる。それでもAシートのような有料サービスをやらないよりは収益性はあって、利益は出す事が出来るのであろう。

まだAシートで運行する列車が少ないので、お客にはまだまだ知られていない。その列車が増えれば、自ずとお客には知ってもらえるようになる。その時にお客がリピートしてもらえないと、Aシートと言う特急に乗る感覚のサービスがあっても長続きしない。指定席にするのもどうかと思うが、Aシートに乗れるチャンスを増やす事から始めるのが良いように感じる。

今の所(2020年5月)Aシートの車両数・列車数を増やすという事は公表されていないが、そうなる局面は今後必ず来るので、その時にどこまで増やすのか?がまずは気になる所。さらには琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線以外の他線でも拡大するか?がなってくるだろう。しかし、COVID-19の影響による旅客数の減少により、JR西日本の収益が悪化している。そう簡単にお客が戻るわけでもないだろうから、今後数年間は多くの収益を確保する事が難しいのかもしれない。長期的に見れば、Aシートと言う設備投資を行う際には多額に費用が必要だ。それが用意出来ず、2両だけで終わる中途半端な形になる事もあり得る。これについては、今後の社会情勢を注視しないと何とも言えない。

今回乗って思ったのが、同じ新快速でも自由席の転換クロスシートよりも明らかに快適!特急に乗る感覚が新快速でも楽しめるのだ。

広告
広告
広告

KH8000

普段当たり前のように乗っている鉄道、バス、クルマは、意外と深い所まで知らない人が多いのではなかろうか? 例えば「何で大雨が降ると電車が止まってしまうのか?JRは簡単に止まるのに、私鉄が止まらない!その差は何か?」と素朴に感じるみなさんが知りたい”今話題のネタ”を、テレビ・新聞・SNSよりも詳しく、わかりやすく、深くしゃべり倒す!

あわせて読みたい

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)