【新幹線eチケットサービスとは何か?】東北・上越・北陸・山形・秋田・北海道の各新幹線に「スマートEXに似たサービス」を2020年3月に導入!
JR東日本は東北・上越・北陸・秋田・山形・北海道の各新幹線で2020年3月14日からSuica等の交通系ICカードで全区間乗車出来るようにする。東海道・山陽新幹線のスマートEX似たサービスだが違いは?どうすれば使えるのか?使う時の注意点やメリット・デメリットは?詳しく説明する
もくじ
★東北・上越・北陸・山形・秋田・北海道の各新幹線でも「スマートEX」に似たサービスを導入?
2018年10月、JR北海道、JR東日本、JR西日本の3社は、東北、上越、北陸、山形、秋田、北海道の各新幹線において、交通系ICカードを活用しインターネットの「えきねっと」や「e5489」(イーゴヨヤク)からの事前予約すれば、チケットレス(紙のきっぷ不要)で乗車出来るようにすると公表した。
「新たな新幹線IC乗車サービス導入について」(JR北海道ホームページ)
↑詳しくはこちらを参照されたい。
2020年2月、正式に内容が公表された。その名も
新幹線eチケットサービス
と称する。東海道・山陽新幹線でおなじみの「スマートEX」に似たような内容になっているが、細かく見ると大きく違っていたりする。「スマートEX」との違いは何なのか?将来的にそれが東北・上越・北陸・山形・秋田・北海道の各新幹線で使えるようになるのか?またどのようにすれば使えるのか?メリット・デメリットは?
なお利用開始日は2020年3月14日(土)からである。


★「新幹線eチケットサービス」とは具体的にどんなものか?
新幹線eチケットサービスが始まります(JR東日本ホームページ)
↑詳しくはこちらを参照。
東海道・山陽新幹線で導入済みの「スマートEX」と全く同じサービスである。
すなわち、インターネット(えきねっと・e5489要会員登録)で事前に新幹線のきっぷを購入。乗車日に駅では紙のきっぷを受け取る必要がなく、Suica、Kitaca、ICOCA等の交通系ICカードを新幹線改札機の所定の場所にタッチするだけで通過できる。
★「新幹線eチケットサービス」を使えるようにするには?
①「えきねっと」「e5489」のいずれかの会員(年会費無料)になる事が必要だ。なお、いずれも使うにはクレジットカード(マスター、ビザ、JCB等の国際ブランドのマークが入っていればほとんどのカードが使用可能)が必要。クレジットカードを持っていないと会員になる事が出来ない。
②「えきねっと」「e5489」の会員になった上で、今持っている交通系ICカードの番号等の登録が必要だ。実際に登録していないので異なるかもしれないが、恐らく交通系ICカードの裏面に書いてある「JE1234 5678 9012 3456」(Suicaの場合)のアルファベット2文字、16桁の数字が必要になるだろう。これで自動改札機が会員である事を特定する情報である。
③「えきねっと」「e5489」のサイト上から乗車する新幹線の指定席・自由席を予約する。その際に使用する交通系ICカードを指定する必要があるという。注意しないといけないのが、料金はクレジットカードから決済されるため、交通系ICカードの残金から支払うことは出来ない

↑④券売機(写真)やみどりの窓口に行く必要はない

↑⑤上記の③で指定した交通系ICカードを持って、新幹線の自動改札機に向かう。自動改札機には在来線のSuica等の交通系ICカードと同じようにタッチする場所があるので、そこに交通系ICカードタッチする。これで新幹線改札機を通過する事が出来る。あとは新幹線に乗るだけである。
★スマートEXとの違いは?

↑①「ご利用票(座席のご案内)」は発行されない!
スマートEXやエクスプレス予約では、自動改札機にタッチすれば前から「ご利用票」が出てくるが、新幹線eチケットサービスでは、在来線と同じく自動改札機にタッチしても「前から出てくる紙」は存在しない。指定した列車名・座席番号等の確認は、予約完了の段階でメールが送られてくるので、これを保存しておき必要に応じて各自で確認する事になる。但し自分から希望すればえきねっと限定にはなってしまうが、自動改札機にタッチと同時に「改札通過メール」と称した列車名・座席番号等が記されたメールを送ってもらう事もできる。またエクスプレス予約(スマートEX)と同じく改札内(主に待合室付近やホーム上)に列車名・座席番号等の情報を紙で発行する事が出来る機械も設置するという。
②同一列車・同一行程に限り、1回の予約で最大6人まで同時利用可能!
これはスマートEXには存在しない特徴だ。スマートEXでも新幹線eチケットサービスでも1回の予約で複数人の利用が可能であるが、前者の場合複数人で利用する場合は「紙のきっぷ受け取りが必須」である。なぜならば、自動改札機は「きっぷ1枚(タッチ1回)につき1人しか通れない」ように設計されているからだ。後者の場合、執筆時点(2020年2月8日)で複数人で利用するとなるとどのように自動改札機を通るのか?全くわからないが、これは私の予想として1回のタッチで複数人で利用と言う情報が自動改札機はすぐに把握出来るため、「何人通った」と言う事を自動改札機のセンサーが探知して、予約した人数が自動改札機を通過するまでは開けておくのではないか?
③「センターサーバー照合方式」で予約の管理と認証を行う
誤りを含む可能性があるが(誤りがあれば客観的な根拠を示したうえで指摘されたい)、エクスプレス予約(スマートEX)ではネット上から入った予約情報は乗車駅と降車駅の自動改札機に送信され、お客が乗車駅の新幹線自動改札機に交通系ICカードをタッチすると、予約情報を照合した上で改札通過の可否を決める。予約情報通りの交通系ICカードの使用、予約した駅からの乗車ならば問題なく通過出来る。異なるカードの使用、予約していない駅からの乗車の場合はエラーになり通過する事が出来ない。
このような作業は新幹線eチケットサービスでも実施するが、管理する場所が違う。新幹線eチケットサービスでは改札機で行うのではなく、「センターサーバー」と称する特定の場所に設置した予約管理装置を経由して行う。駅以外の場所にある予約管理装置で予約情報の照合等を行うためスマートEXに比べれば、多少時間がかかるのかもしれない(執筆時点での私の予想)
★新幹線eチケットサービスのデメリット
①特定都区市内制度が適用されない!
これはスマートEXでも同じである。新幹線eチケットサービスは「新幹線専用商品」。特定都区市内制度が適用されない。”みな”まで説明すると非常に長くなるので、簡単に説明する。例えば新宿→小松間(中央線快速→北陸新幹線→北陸本線経由)の場合・・・
【紙のきっぷ】「東京山手線内→小松」と言う1枚の乗車券で発行。値段は7,700円
【交通系ICカード(在来線)+新幹線eチケットサービス】「新宿→東京」198円+「東京→金沢」7,480円+「金沢→小松」510円=8,188円
【差額】488円新幹線eチケットサービスが高い!
つまり、新幹線eチケットサービスの場合が高額になる事があるのだ!
東京山手線内、東京23区内、仙台市内等の新幹線が停車しない駅からこれを使って乗る場合には、むしろ高額になると思っておいた方が良い。
②大きく安くならない!
スマートEXと同じで、今まで「紙のきっぷ」主体で新幹線に乗っていたのを「交通系ICカード」で新幹線に乗せるもの。上記リンクページによれば、スマートEXと同じく指定席の料金は定価よりも200円引きになるが、それ以上に安くなる事はない。一部割引商品を購入すれば、安くなることもあるとしているが、「えきねっとトクだ値」のように20~50%も割り引く事はやらないだろう。今の所(2020年2月現在)「トクだ値」も紙のきっぷで販売が継続する事になっている。
③スマートEXは使えない!
スマートEX(エクスプレス予約)がJR東日本管内の新幹線で利用できる予定は、ウワサレベルでも聴こえてこない。理想は1つのサービスで全ての新幹線が使える事だ。ざっぐり分ければ「東海道新幹線陣営」と「東北新幹線陣営」でサービスが分かれる形で、これらと直通している関係で”おまけ”で前者は山陽新幹線と2022年からは九州新幹線、後者は上越・北陸・北海道等の各新幹線でも使えるに過ぎない。後者の場合JR北海道とJR西日本と言う異なる会社も運行しているが、直通している以上は統一しないといけないのでJR東日本のサービスに相乗りする格好。主導権そのものは前者はJR東海、後者はJR東日本が握っており、両社が必要な維持費や管理費等の莫大なコスト負担が強いられるが、相乗りと言う立場になるJR西日本やJR北海道は多少なりともコスト負担があろうがそれでもJR東海・東日本と比べれば”安上がりのサービス”であろう。JR東海に言わせれば・・・
うちのスマートEXを”よそ”(他社)でやりたいならば、やらせても良い
としているので、将来的には「東北新幹線陣営」でもスマートEX(エクスプレス予約)をそのまま導入する可能性はありうるだろう。問題はJR東日本が受け入れるか?不仲とされるJR東海の商品をそっくりそのまま導入するのはプライドが許さないはずだ。 そのため、多少は仕組みを変えるが、基本的には同じで、「スマートEXを基本にしている」とは言わずに、「独自構築の仕組み」を宣伝するために、全く異なる愛称名でサービスや商品展開を行った格好だ。
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