【人手不足の克服/リニア中央新幹線/ローカル線の大廃止時代/鉄道趣味の多様化】2020年代の鉄道を展望する

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2020年元日を向けた。2020年代と言う一つの大きな時代の始まりだ。ここで「2020年代の鉄道を展望」する。人手不足の克服に鉄道が行う事とは?JR東海のリニア中央新幹線が日本を大きく変える!一方でローカル線は「大廃止時代」が到来し、鉄道趣味は女性も増えて多様化が加速する?!

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★人手不足の克服は省力化にあり!そんな中でサービスレベルを維持するには?

2020年代に入り日本社会は本格的な「少子高齢化」時代に突入したと言って良い。簡単に言えば、少ない若者で多くの高齢者を支えないといけない。日本の年金財政は現役世代と言う若者の賃金収入から年金として徴収して、それを今現在高齢者の人に分配している。若者が多く高齢者が少ないのであれば、このシステムは有効に機能するが、少子高齢化時代はこの逆だ。現役世代が減少しているため、年金制度そのものが維持困難になり、国は少しでも年金・医療等の社会福祉費を少しでも減らすため、60代や70代になった人でも就労が可能であれば、引退せずに「生涯現役」を事実上推奨している。これを「老後レス」とも称るが私が思うには

なぜ生涯現役じゃないといけないんだ!

と憤りを覚える。だが、そうじゃないと日本国の財政が持たない、お金が回らない、社会が回らない状況になっている点は知っておかないといけない。

少ない人数で働かないといけない「少数精鋭社会」は1990年代から始まっていた事だし、「人手不足」「働き方改革」と称して加速したのは2010年代後半のトレンドなのだと思う。

鉄道業界に目を向けると、ここ5年(2015年以降)目まぐるしいスピードでガラリと変わっている。車掌が乗らないワンマン運転は1990年代からあったが、これは地方の閑散線区がほとんどだった。しかし2010年代に入りホームドアの整備完了、ICT化等により都会の路線でも積極的にワンマン運転が始まった。鉄道が出来てから運転士と一緒に乗っていた「車掌」(写真)と言う仕事と言うか”存在”を否定しようとしている。

そもそも車掌の仕事は大きく分けて、①後方監視要員、②接客の2つがあり、②接客は運転士や駅でも代用出来るが、①後方監視要員でさえも失くしてしまおうと言う方向に進んでいる。JR東日本やJR九州に至っては、運転士さえも失くしてしまう「ドライバーレス」実現のための実験も始めった。これも「人手不足」対策で、JR東日本は2025年までに2020年と比べて約25%社員が定年退職でいなくなる。今までのジョブワークローテーション(人員配置や仕事のやり方)だと、人手不足で業務が成立しなくなる。そこで「ドライバーレス」運転の実験を始めて、早期に営業運転に投入したい方針で、恐らく10年後には各線で「ドライバーレス」の列車が多く登場するだろう。

きっぷの買い方も然り。JR西日本は2030年をメドに京阪神地区で有人のきっぷ売り場「みどりの窓口」を大幅削減する事を決めている。これもきっぷを売る人出が足らないためで、JR東日本管内で見られる傾向だが今や「ネット上で買う」「指定席自動券売機で買う」のが当たり前になっている。会社(私鉄も含む)によって普及度合いに温度差があるが、2020年代は全国的にこのような傾向が加速するに違いない。そうなると交通系ICカードにおける、いわゆる「エリアまたぎ」の解消、遠州鉄道のように独自のICカードを導入している会社でも全国統一規格のICカードが使えないと行けなくなるだろう。

つまり、自動化・機械化出来る分野については、どんどんそうするだろう。人を使う必要がなくなるためこれで人手不足も解消。人が丁寧にやっていた作業や旅客対応は機械(駅頭にロボット、タッチパネル画面の設置、自社ホームページの充実によりスマホで調べてもらう等)にとって代わるので、サービスレベルを落とす事なく維持(場合によっては向上)出来る。原則そうなってしまうのが2020年代の鉄道なのではないかと思う

★リニア中央新幹線が日本を変えることは間違えない!

↑品川~名古屋間で大絶賛建設中なのが「リニア中央新幹線」である。2027年(予定)に開業予定で、品川~名古屋間は約40分で結ばれる。既存の東海道新幹線「のぞみ」が同区間約1時間30分なので、”時短効果”バツグン!

名古屋以西は既存の東海道新幹線乗り換えになる見込みで、名古屋駅のリニアホームは地下深い所にあるため、乗り換えに時間がかかる見込みだ。東京・品川~新大阪間の場合、「のぞみ」で約2時間30分に対して、リニアが出来ると品川~名古屋間で約40分+乗り換えで約15分(推測)+名古屋~新大阪間「のぞみ」で約50分=約1時間45分になるだろう。だが「乗り換え」が発生するため、リニアが出来ても「ひかり」「こだま」のダイヤが主体となる東京~名古屋間の東海道新幹線でも、京都・大阪・岡山・広島・博多方面からのお客は、名古屋駅での乗り換えを嫌って”通し”で利用するお客もかなり多いのではないか?

これは九州で発生している現象だが、博多(福岡)~熊本間は未だに新幹線よりも高速バスが有利だったりする。それは値段が安い事、福岡・熊本中心部に乗り入れている事も大きいが、結局は福岡市内・熊本市内で細々とした乗り換えを要する事が多いため、スピードが速い・”時短効果”バツグンでもあっても、結局は「乗り換え」を嫌って思うように客数が延びていない。「みずほ」「さくら」が通過する途中駅では、客数が極端に少なく、JR九州の合理化も重なってホームで列車監視する駅員をリストラした。このような事がJR東海管内(東海道新幹線、東海道線など在来線各線、リニア)でも起りそうな気がする。

だがそれでも、リニアはJR東海の自己資金で建設しておきながら、実質的には国家事業に等しい所があって、リニアが開業したらヒト・カネ・モノ・コトの動きが”革命的に大きく変わる”のではないか。この記事を執筆した2019年大晦日の昼にはとても想像できない、壮大な事がリニア開業によってもたらされるだろう。さらにそれが強力な効果を生むのがリニアの名古屋~新大阪間の延伸開業で、2037年とか2045年と言われているが、ここで大きな問題が生じている。

それが静岡県によるリニア建設反対運動。リニア自体は既に国が認可しているため、やろうと思えばJR東海は工事をする事が出来る。しかし国が認可する上でJR東海に付けた条件として「地元から連携して環境保全処置を講じる事」。つまり地元が工事する事を認めないと、リニア建設は一切出来ないと言うのがJR東海の立場なのだ。静岡県庁とJR東海が仲が悪いのは静岡空港の東海道新幹線新駅、静岡県内に「のぞみ」が止まらない問題でもおなじみ。今度はリニアで仲の悪さを見せた格好。話が複雑で、話が二転三転しているので、わけのわからんことになっているが、静岡県庁並びに川勝平太静岡県知事のスタンスとして、「リニア建設そのものに反対していない」のではない。むしろ「リニア建設は賛成」なのだ。なのになぜ反対している?

トンネルを掘ると大井川の水が枯れる可能性がある。本当に水が枯れないのか?ちゃんと科学的な根拠を示せ!

JR東海はトンネルを掘る事で山から出てくる水を外に逃がさず、”水を大井川に戻す”としているが本当にそんな事が出来るのか?

そのため静岡県は、JR東海と国交省鉄道局に加えて、同省水管理・保全局と環境省や農水省にも議論に参加してもらい、科学的な根拠を示せ!としているが、国交省側は環境省や農水省の参加には難色を示している。2019年12月現在まだ方向性は出ず、同月の社長会見で「2027年度の開業は難しくなる」と懸念を示している。こう着状態で本当に静岡県内でリニア工事が始まるのか?これが始まらない限り、リニアの開業はありえない。JR東海は経路変更は全く考えていない。その分建設費が高騰するためだ。「我田引鉄」と言う言葉もあるが、結局最後はJR東海の葛西会長とお友達の安倍総理の”鶴の一声”で静岡県内のリニア工事と大井川の水問題について方向性を示して、同社も静岡県庁もそれに従わざるを得ない格好になるのではないか?とむしろそれが不安に思う所も現実に否定出来ないと言える。

私が思うには、大井川の水を枯らせない、大井川の水を全量戻す事が可能であれば、静岡県は工事する事を認めると見ている。だが大井川の水を枯らせない、水を全量戻せると言う事は、静岡県庁の役人も、JR東海の東大法学部卒業のエリートも、環境省や農水省の役人も、工事するゼネコンでさえも、誰もわからない。こんなのは

掘ってみないとわからない

が正しい答えなのだ。もっとも現実的なのは、経路を変更するべきで、実質的に国家事業なのでJR東海の自己資金任せではなく、整備新幹線と同じスキームで国が資金を注入するべきである。もちろん開業後は国がリニアの線路等を国に貸し与えて、使用料を取るのは当然である。JR東海はこのやり方を強く嫌う傾向があるが、そうでもないと2027年と言う時期にリニアの開業は出来ないだろう。

★ローカル線の「大廃止時代」が到来する!

↑2010年代、利用不振で鉄道の廃止が多くあった。直近では2018年には三江線、2019年には石勝線夕張支線がJRの路線図から消えた。2020年には5月7日(最終運行日は5月6日)に札沼線(北海道医療大学~新十津川間)の一部が廃止される予定だ。

利用不振による鉄道の廃止は、昔からあったが国鉄からJRになった時には、第三セクター鉄道として一応存続したが、今やそれでさえも存続が厳しかったりする鉄道が多い。40社中32社が赤字運営なので、今後少子高齢化で利用者が減少するとますます経営が厳しくなるだろう。

JR各社が最も重視する「数字」が輸送密度(1日1キロ平均の利用者数)である。JR北海道は200人以下は原則廃止を打ち出している。国鉄時代は4,000人以下が原則廃止だったので、”ボーダーライン”がだいぶ下げられた印象を受けるが、輸送密度200人以下では路線バスでも足りないほど。何年かしないうちに代替バス路線も廃止の危機で、三江線のそれでさえも2年経たないうちに利用不振を理由に一部で廃止する事を決めている。

クルマこそが唯一の交通機関

となっているのが地方ローカル線の現状。代替路線バスと気安く言うが、バスでさえも運転士不足で減便しているありさま。そうなれば代替路線バスでさえも用意出来ない可能性が高い。そうなるとそこに待っているのは

公共交通の崩壊

である。そんな事が現実的にあり得るのだ。都会に住んでいればそういう実感は薄いかもしれないが、2020年代このような事があり得るのではないか?!と私は思っている。

ならばどうすれば、地方のローカル線が残るのか?

乗って残そう

それしかないのだ!和歌山電鐵が盛んに宣伝しているが

1年間に4回乗れば残ります

こういう事を鉄道会社側が積極的に発信しないとお客にはわからないし、それ以下の回数だったら「ひょっとしたら廃止になるかもしれない」と不安を煽らないと行動に移さないのが人間の性。旅情では鉄道は残す事が出来ない。運営にはカネがかかるので、それに必要な収入を得るには乗ってもらうしか方法がないのだ。必ずしもクルマだけの移動にこだわらず、「○○に行く時は鉄道を使う」等と決めて、鉄道に乗らないと本当にローカル線は生き残る事が出来ない。国はローカル線の生き残り対策は極めて消極的。なぜならば「クルマこそが唯一の交通機関」と考えているから。役人や政治家が使うのは新幹線や特急だけで、仮に目的地にローカル線があっても乗る事はせず、公用車と称するクルマで移動していないのだ。旗振り役になるべき人が手本を示すように毎回利用しない。だったら国民も乗ろうとしないのだ。

地元の人が乗ってくれないならば、ローカル線で1日3本くらいしかない所であっても、仕事や出張で遠くから来る人がみんなローカル線に乗って、残そうとするだけでも、それが社会的貢献と言えるし、そのようなトレンドになる事を願いたい。

だが、現実にそうなる可能性は低く、2020年代は残念ながら多くのローカル線が消えてしまう可能性が高い。特にJR北海道では候補がたくさんあって、JR東日本・西日本もその方針を打ち出しているので(「輸送モードの転換」と称している)予断を許さない。路線の「さよなら運転」と言うのはこれ以上みたくないし、そうならない事を2020年代で願うのは矛盾する記述ではあるが、それは願望論過ぎる一方的な要求とも思う。

★鉄道趣味はさらなる多様化!

↑車両センター、運輸区、車両工場等の普段一般人が入る事が出来ない鉄道会社の施設、ネタ列車と言う珍しい列車が運行する時になると、写真のように撮り鉄(撮影を好む鉄道ファン)が多数集まる。写真のように今や女性の姿も少ないながら居る。「男一辺倒」の時代はとっくの昔に終わっている。今や「鉄子」と言う女性鉄道ファンも少なくないし、この種のイベントがあれば男性に交じってカメラを持ってバンバン!撮影しているのも、少ないながら存在するようになった。2020年代は「鉄子」そのものがもっと増えるのではないか?とも思う。

鉄道趣味における三大派閥は

  • 乗り鉄
  • 撮り鉄
  • 模型

であるが、現実にはこれから派生した鉄道趣味が山のように存在する。Youtubeで動画を見ていても、各動画投稿者で着眼点が見事に異なり、その動画が売れてYoutuberと称する芸能人に近い存在になっている。だがそれでも「偏見」が満ちており、誰とは言わないが「この鉄道の見方は正しい見識の基で行われているとは思えない」と言うものが少なくないのも事実だ。こういうのは”鉄道をネタ”にした芸能人の一種と思えば良い。

今の世の中、「ニーズの多様化」と称しているが、2020年代もさらに加速するだろう。悪く言えば「俺が良ければ全てヨシ」なのだ。これは鉄道趣味の世界でも当然現れる現象で、三大派閥のどこかに属しながら、そこから派生したものをさらに”極める”みたいな。そこから職業化する、芸能人化する人が、今のネット社会、スマホ社会も相まってさらに進化するのではないか・・・と思っている。

今の若者(2000年代生まれ)は、「JR完乗」「紙の時刻表をじっくりと読む」等の昔からある王道的な鉄道趣味は楽しまず、「必要最低限の所だけ(目的としている路線・車両・駅など)だけ楽しむ」

”スマート鉄”

がこの世代を中心に広がるのではないか?今や大学の鉄研(鉄道研究会)でさえも、紙の時刻表は使わずスマホの乗り換えアプリを好む、鉄道雑誌は読まない(情報収集はSNSかネット媒体から)、目的地までは他の鉄道を使わずLCCや高速バスでシュッ!と行ってそこだけ楽しんだらあっさり帰る・・・みたいなことが当たり前になると、残念である。それは昭和世代の人の意見で、平成世代・令和世代の若者諸君とは強烈なギャップの差を感じる今日この頃だ。

このように、王道な鉄道趣味も残りつつ、特定の分野に特化した鉄道ファンがもっと増えるだろう。一言で「鉄道ファン」「鉄道オタク」「鉄道マニア」と言うのは”いろんな派閥”が出来そうな気がするのが、「鉄道趣味の多様化」が2020年代ではなかろうか?と思うのは私だけだろうか。

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KH8000

普段当たり前のように乗っている鉄道、バス、クルマは、意外と深い所まで知らない人が多いのではなかろうか? 例えば「何で大雨が降ると電車が止まってしまうのか?JRは簡単に止まるのに、私鉄が止まらない!その差は何か?」と素朴に感じるみなさんが知りたい”今話題のネタ”を、テレビ・新聞・SNSよりも詳しく、わかりやすく、深くしゃべり倒す!

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