【新幹線を白く塗るロボット/架線点検車実演】新幹線なるほど発見デー2019②
JR東海は毎年新幹線の車両整備工場である「浜松工場」で一般開放イベント「新幹線なるほど発見デー」を開催している。”新名所”が「新幹線を白く塗るロボット」。「空飛ぶ新幹線」が消えたのも久しいがやはり大行列!どんなように塗っているのか?新幹線の生命線とも言えるのが電気。これを点検整備するのが「架線点検車」だ。架線点検車実演を見る事が出来た!これはどのように作業するのか?
【日時】2019年10月5日(土)
【場所】JR東海浜松工場
もくじ
★”新名所”!新幹線を白く塗るロボット!
「新幹線なるほど発見デー」と言えば今までは「空飛ぶ新幹線」であった。しかし浜松工場のリニューアルと同時に「空飛ぶ新幹線」が必要なくなった。なぜ新幹線が空を飛ぶ必要があるのか?と言うと、車検・検査する際に新幹線に限らず車体・車輪・部品をバラバラに分解して、細かく整備しないといけない。昔(国鉄時代)からある工場では、車体と車輪の切り離し(または取り付け)を行った後、車体は大型クレーンで別の場所に移動させていた。地上を水平移動すると危険なため、車体を大型クレーンで上空まで吊り上げて移動させていたのだ。今は車体と車輪の切り離しまでの作業は変わらぬことだが、車体を別の場所に移す事自体非効率のため、その場で必要な整備を行うやり方に改めたため、「空飛ぶ新幹線」は廃止された。
それでは「空飛ぶ新幹線」の代わりはあるのか?と言うと「ある」!まさに”新名所”!「新幹線を白く塗るロボット」が登場したのだ!確かに東海道新幹線のN700系は、いつ見てもキレイに白く塗られている。白は意外と目立つ色でキレイ・汚いはもちろん、定期的に色の塗り直しが行われているか?までわかってしまう。塗装が必要な車両は職人の手で塗られるケースも未だに残っているが、東海道新幹線の浜松工場では専用のロボットで白く塗っていた!

↑新幹線を白く塗るロボットは正式には、「先頭車研ぎロボット実演」と言う。4回に分けてあるが1つの作業は40分続くので、実質的に見学できる時間帯は長い。


↑既に大行列。新幹線を白く塗るロボットの見学時間は1分程度なので、どんどん人が流れて行く。10分待てば見学可能であった。ここは全般検査(車検)する工場の一部であった。




↑白く塗られていたのは、N700系2000番台X67編成の16号車(784-2067)
1両の半分程度が専用の箱の中に入り、前半分に白く塗られるためのロボットが上下左右に稼働する。新幹線を白く塗るロボットは日本車輌製造が作ったものらしく、テレビ画面にはいろんな角度からの映像、進行具合がグラフで表されていた。透明な頑丈な箱に覆われているため、白く塗っている時に塗料が外に飛散する事はない。本来車体を塗る作業は何人も集まって行う大掛かりな内容であったが、新幹線を白く塗るロボットを導入したおかげで作業する人数は大幅に削減。ロボットを操作する関係者らしき人は私が見た範囲では誰もいなかったが、恐らく別室から少ない人数で行っているのだろう。


↑正面から見た新幹線を白く塗るロボット。N700系は先頭部分が複雑な形をしているが、そこもしっかりと塗る事が出来るように、細かな動きも可能になっている。
★物販コーナーの片隅には整備中のN700系

↑新幹線を白く塗るロボットの隣にある建物は物販コーナーと休憩用のテーブル。弁当をはじめ、新幹線関連のグッズが多数販売されている。その中に「待ち時間」のホワイトボード。多少の前後はあるのだろうけど、それでもドクターイエローは人気だ。

↑物販・休憩スペースの奥は整備場。立ち入る事は出来ない。特にイベントや作業実演が行われているわけでもない。ロープも張ってあって先に進む事は出来ない。再びスローガン。
「絶対起こすな!!触車・感電・墜転落」
↑これが「鉄道の三大労災」である。


↑奥には整備中のN700系が見えた。大きな「A」の文字も剥がされている。浜松工場の内部でないと絶対に見られない。
★架線点検車の実演

↑車両整備する建物と建物の間は通路として開放。東海道新幹線のN700系は1編成16両で、前から後ろまで約400メートルもある。浜松工場も広くて当然で整備する工場の建物が東から西に向かって長く連なる。歩く距離とか歩数も必然的に増える。浜松工場に限った事ではないが、車両工場内部にはデコボコや足元が悪い所が多いため、来場する際には歩きやすい靴・動きやすい格好で来る事は必須だ。


↑「止まれ」の標識。見た感じ交差点にはなっていないが?よく見るとここにはレールが埋め込まれている。つまり整備中の新幹線が通行する事があるのだ。「新幹線なるほど発見デー」開催中は、レールの部分はガムテープで埋め込まれていたが、足元が悪い事には変わりない。鉄道会社の車両工場ならではのものとして「指差確認」を求めている所。線路を横断する場合、列車が接近していないか?左右を指を差して確認する事は基本中の基本である。



↑今度は架線を点検する車両を見学する。新幹線の命とも言える電気設備を点検するための車両だ。基本的には上空での作業となるため、「鉄道の三大労災」にある「墜落・転落」は注意しないといけないし、新幹線は25,000㎸の大電圧が流れているため、電気が流れていない事を認めてから作業開始する事が大前提だ。


↑架線を点検する車両は4種類あって、それぞれ役割が異なる



↑架線点検車の実演を開始。作業は1つずつ入念に確認をしながら行う。大声を出して1つずつ慎重に進める。そこで手落ちあると事故につながるからだ。架線点検車は1両で作業するのではなく、作業内容に応じて数両連結して行うのが一般的だと言う。点検中は架線の電気は使えないため、点検車の動力源はディーゼルエンジンである。

↑作業用のクレーン(左)とアーム(右)を上空に上げる。これも事前にしっかりと確認した上で少しずつ上げて行く。このような作業は新幹線が運転していない0~5時頃にかけて見られるもので、昼間作業する事は法律により禁止されているため出来ない。新幹線の生命線とも言える架線点検車の存在は広く知られていない。この地道な作業があるからこそ新幹線がしっかりと動いている事を忘れてはならないだろう。
3回目に続く(下記リンクをクリック。10月30日公開)
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