【気になる運用は?こだま683号東京→静岡】引退直前の700系に乗る
JR東海は、東海道新幹線で使用する車両を2020年度(2020年3月から)全列車をN700系に統一する。これにより全列車の速度も285キロになるため、スピードアップや「のぞみ」の増発(1時間あたり最大12本)が実施される予定だ。逆に言うと「2019年度(2020年3月まで)に古いタイプの車両700系が引退する」と言う事を示す。今や「こだま」でさえほとんどがN700系。数少ない「700系こだま」の中で、2019年8月偶然乗る事が出来た。今回で700系新幹線に乗るのは最後かもしれない。改めて東海道新幹線の「700系こだま」に乗って、N700系にはない魅力を見つけてみた。
もくじ
★気になる700系の運用は?(2019年3月ダイヤ改正以降)

東海道新幹線における700系は、どの列車で運行されているのであろうか?2019年3月16日以降のダイヤによる。
「のぞみ」は臨時列車のみで運行。それでもほとんどの臨時列車はN700系で、700系使用の「のぞみ」はかなり少ない。具体的には「のぞみ193号」(東京17:13→博多22:19、特定日のみの運転)等である。臨時列車は毎日運行するわけではないし、同じ時刻の列車でも日によって車両が異なる事も多い。具体的な運転日・使用車両など詳しくは「JTB時刻表」等で確認されたい。
一方で「ひかり」については、定期列車(毎日運転)臨時列車ともに、700系で運転する列車は存在しない。全てN700系だ。
「こだま」については、下記の列車のみ700系で運転する。
「こだま631号」東京6:33→名古屋9:09
「こだま683号」東京19:26→新大阪23:26
「こだま636号」名古屋8:34→東京11:16
「こだま652号」名古屋12:34→東京15:16
たったの2往復4本しかない!しかも名古屋~新大阪に限れば、「こだま683号」しかなく昼間のうちに乗る事は不可能になってしまった。
さらに日によってN700系で運転する事がある
一部は時刻表にN700系で運転する日も書いてあるが、何の予告なく急にそれになる事も珍しくないので、本当に700系で運転するか?は当日駅に行くまでわからない。
私の経験上、突発的な車両故障やダイヤの乱れがない限り、時刻表でN700系で運転する予告がない日は、大方700系で運転すると思って良い。
それでも、これら「こだま」が2020年3月まで700系で運転するとは限らない。700系は廃車が進んでおり、700系の車両数が減少すると、自ずとN700系に代わってしまう。乗車前に最新の時刻表で700系で運転するか?どうか?確認する事を強くオススメする。
★700系の「こだま683号」に乗る!
【乗車日】2019年8月19日(月)
【列車番号】683A(こだま683号新大阪行き)
【車両】JR東海の700系C53編成、1号車自由席723-52
【時刻】東京19:26→静岡20:50
月曜日の東海道新幹線は1週間の中で、最も利用が少ない曜日だ。東海道線・山手線ホームは帰宅ラッシュで混雑する中、なにか「ゆとり」があった東京駅の東海道新幹線ホーム。東京駅19:16着の上野東京ライン1931Eから急ぎ足で乗り換える。「スマートEX」を使うため、「青春18きっぷ」で在来線に乗った場合は一度在来線側改札口の出て、改めて新幹線改札口に行かないとならない。新幹線乗り換え改札口が使えれば便利だが、スマートEX~青春18きっぷの乗継では使えないのだ。




↑東京駅15番のりばには、700系「こだま683号」が止まっていた。階段・エスカレータに近い5~7号車自由席は通路側の座席も埋まるほど混雑している。一方でそれらが遠くなる1~3号車は5~7号車の混雑がウソかのように、座席が相当空いている。そんな事はとうの昔から知っているので、私が東京駅から東海道新幹線自由席に乗る時は、1~3号車としている。前に行けばいくほど空席チャンスは高いので、撮影を兼ねて1号車まで行ってみる。
いつの間にか東京駅にもホームドアが設置されていた。在来線のように車両ドアの大きさとホームのドアの大きさがピッタリと言うわけではなく、東海道新幹線のホームドアは、車両ドアの大きさ+前後の座席2席分確保されている。ホームドアとしては大型だ。




↑東海道新幹線の中では古いタイプの車両となる700系であるが、それでもC52編成は2004年製なのでまだ15年だ。東北・上越・山陽新幹線では20年程度使う事が前提なので、それと比べると早い引退だ。
N700系では当然と言える、喫煙室、電源コンセント、フリーWi-Fiは700系には搭載されていない。700系登場当時にはそんなものはなくて良かった。しかし”要求レベル”はアップした。時代に合致していない新幹線と言われればそこまでだ。時刻表に使用車両の記載があるので、それらがない700系に乗る事自体が、一般客には敬遠されているような気もする。JR東海にとっては、それらをタップリ使いたがるビジネス客が主要顧客なので、700系の廃車を急速に進めて、代わりにそれらを搭載するN700系こそが”要求レベルを満たした新幹線”なのだ。
座席はN700系に比べて小さい。特に肩幅が。全体的にホールド感が低い。だがN700系の座り心地はE233系と良い勝負だったりするので、どちらの座席が良いのか?と聞かれると迷う所だ。
700系は内装的に何か落ち着く。これは2012年まであった300系新幹線と同様だ。300系ベースで700系と変化する中で、走行性能が多少変わった以外には極端に大きくは変わらなかった。それがN700系では700系以上に大きく変わっており、「700」と言う形式名を称している割には、「まるで別の車両」と思ってしまう。JR東日本で言えばE2系からE5系・E7系への変化であろうが、基本的な性能はE2系をベースにしながらも、実質的にはN700系同様「まるで別の車両」。東海道のように形式名の”世襲”も行っていない。本来はそうあるべきで、数字が枯渇しているので「700」と称するしかないのが実状だろうか?そうなると2020年に登場するN700Supermの番台はどうなるのか?気になる所。今や番台と称する細かい数字でもN700系シリーズは枯渇が始まっているのだ。
★品川・新横浜から通勤通学客が”慣れた足”で大量乗車
東京駅を定刻に発車。1号車に乗ったお客は少なかった。窓側も半分程度が空いている。利用のほとんどは5~7号車が中心である。「こだま」の自由席ではこの車両が走行区間関係なく最も混む。山手線・京浜東北線と並走しながら、”大東京”のビル群と夜景と言う車窓から「こだま683号」は始まる。お約束の通り「AMBITIOUS JAPAN!」のチャイムが流れて、自動放送だけが淡々と放送を始める。東京~品川は距離が短いため、車掌・パーサーによる放送は原則実施しない(下りのみ)。これもお約束の浜松町の文化放送メディアプラスビルを見ることにしているが、この日はなぜか見つける事が出来なかった。
品川に到着。しなの鉄道115系と全く同じチャイムが鳴ってドアが開く。東京とは正反対に1号車自由席には大量にお客が乗ってきた。慣れた足で車内に進むので定期券客で、その人たちは三島で大量下車した。毎日使えば「こだま」のどの部分が空いているのかよくわかっている。
品川発車後に車内放送が始まる。元々は車掌が行っていたが、2018年3月以降は車両の人数が原則3人→2人に減少し、代わりに接客専門のパーサーが車内放送を担当するようになった。「こだま」の場合、始発駅(下りの場合は品川発車後)や大きな駅(名古屋や新大阪)発着前後にパーサーが放送。途中駅では後乗り車掌(最後尾の車両に乗務してドアの開閉を行う)が放送する。最近は放送内容も増えているため、自動放送を含めると長い。これが全て終わると「まもなく新横浜」である。
新横浜駅では「のぞみ号ではありません。お乗り間違えなさいませんようご注意ください」とホームから聴こえてきた。逆に「のぞみ」に乗れない立場からすれば、この列車が本当に「こだま」や「ひかり」なのか不安になる。空席はほとんど埋まり発車。次の小田原までは15分ほど。後から来る「のぞみ」から逃げる。東海道新幹線では285キロで運行する列車が多いが、これはN700系限定。性能的には700系も可能ではあるが270キロに制限されている。
★東海道線よりも速い「700系こだま」
小田原には20:00着。東京からたったの34分!「こだま」でも速い。これが東海道線1931E(東京まで乗車した列車)だと、小田原着が20:42なので42分も速い。「こだま」は小田原で後続列車に抜かれる事が多い。次の熱海が構造上後続列車の通過が出来ないためだ。「のぞみ127号」と「ひかり531号」に抜かれた。
★「のぞみ」に追い抜かれない熱海駅。最近は丁寧にその旨の放送も。意外と速い「こだま」
次の熱海は追い抜きがないため、「熱海駅では後続列車の通過待ちはありません。お客様の乗り降りが終わり次第速やかに発車します」と車掌が言う。「こだま」=長時間停車と言うイメージは誰にでもある。しかし、最近は必ずしもそうではない。上りの掛川駅では追い抜きを行わないダイヤになっている事が多く、他の駅でも昔に比べて多く見られるようになった。追い抜きがあると少なくても4~5分止まる事が多かったが、これも最近は2分程度の停車時間でも後続の「のぞみ」にあっさりと抜かれる。4~5分もあれば2本の後続列車に抜かれる事になる。さすがに3本抜きは存在しないが、追い抜き駅の数の減少や短縮により、「こだま」全体のスピードアップにもつながっている。昔は東京~静岡「こだま」で1時間30分を超える事もあったが、今や全く追い抜きがない列車(こだま705号等)だと1時間12分、平均的には1時間25分前後である。
次の三島まではトンネル区間。新丹那トンネルは東海道新幹線で最も距離が長いが、それでもスマホは通じる。ずっと4Gであった。これはトンネル内でもスマホが通じるように光ケーブル等の設備があるためで、今や東海道に限らずほとんどの新幹線トンネル内でスマホは通じる。在来線については相変わらず圏外になるが、これも2025年頃には解消させたい方針が国にはあるようだ。
★700系は「普通の新幹線」だった
三島で品川・新横浜からの通勤通学客が大量下車。乗って来る人は数えるくらいしかいないので、空席が大量に出る。この先新大阪までこの状態だろう。改めて700系に乗ってみると、「N700系より揺れる・走行音が大きい」と思った。それでも300系に比べればだいぶ良くなっているが、私は「これが新幹線だ!」と。N700系は乗り心地、走り方、車内の設備どれをとっても”化け物”なので、「普通の新幹線」である700系が遂に終わる。山陽新幹線ではまだ残る見込みだが、東海道新幹線ではN700系シリーズに統一。”当たり外れ”はなくなるものの、「同じ車両しか来ない」ので余計つまらなくなるのも本音。



↑静岡に到着。最前列の1席だけは電源コンセントがある。これは700系登場当時からあるもので、最前列(最後尾)席の”特権”。これを知っていたようで、ここに座っていたお客はパソコンを広げて使っていた。静岡まで「こだま」に乗るお客は多くない。ほとんどが「ひかり」に乗ってしまう。時間差は約20分程度であるが、途中駅で何分も止まるのが遅く感じてしまうのだろう。
★まとめ
700系は2020年3月までに東海道新幹線から引退する。最終的には定期列車で運行する事が消えて、「のぞみ」の臨時ばかりになるのではないか?と思う。最終運行日には「ラストランのぞみ○○○号」として有終の美を飾るのだろう。「のぞみ」は一切止まらない静岡県にとっては、乗車チャンスは大幅に限られている。「こだま」の定期列車として残るうちに、ぜひもう1回乗っておきたい。東海道新幹線では「普通の新幹線」よりも「化け物新幹線」しか楽しめないのが寂しい。
最近のコメント