【JRからお客を奪った今大人気!富山→名古屋の】東海北陸道高速バス(富山地方鉄道運行の名古屋線)に乗る
もくじ
★富山~名古屋へ乗り換えなし!北陸新幹線開業でJRから客を奪った高速バス?に乗る
【乗車日】2016年8月22日(月)
【時刻】富山駅12:20→名鉄BC16:00
【経路】富山IC(E8北陸道)→小矢部砺波JCT→E41東海北陸道→一宮JCT→E1名神→一宮IC→名古屋高速16号(一宮線)→同6号(清州線)→明道町出口→ミッドランドスクエア―(名古屋駅)→名鉄BC
【備考】細かい描写については、全て当時(2016年)のもの
IC=インター、JCT=ジャンクション、SA=サービスエリア、PA=パーキングエリア、BC=バスセンターと略
【車両】富山地方鉄道の日野セレガ(38人乗り・高速バス仕様)/富山230あ732
富山からJR(鉄道)で名古屋・大阪へ行くのは不便になった。
今までは特急「しらさぎ」「サンダーバード」で乗り換えなしで行けたのが、新幹線・あいの風とやま鉄道を使い、金沢乗り換えが必須となった。
金沢乗り換えを含めて移動時間は新幹線利用で若干短くなった程度で、「乗り換え」と言う面倒な行為が生じる事になったので、富山では利便性が低下。
一方で高速バスは、そもそも乗り換えがなく、しかも安くて快適なので、距離的に近い名古屋では相当有利になった。
E41東海北陸自動車道を全線通り途中乗降を扱わない「東海北陸道高速バス」は、富山~名古屋を14往復/日(昼行のみ・2019年現在)と都市間高速バスでは多い部類に入る。
2019年現在は 富山駅5:50発から毎時1本ずつ運行し、12:20発までは富山地方鉄道(以下、「地鉄バス」とする)、13:20以降は名鉄バスの担当で、両社とも7往復。
こんなに本数があればお客も多いはずだ。果たして実態はどうなっているか?どんな高速バスか?乗ってみた。

↑富山駅は新幹線改札口を出て目の前にあるバスのりば。
地鉄バスの市内路線も発着するバスのりばと共用で、1番のりばが長距離高速バス専用。隣の2番のりばが中距離高速バス専用で主に金沢行きが使う。
12:10発の大阪行きの地鉄バスの709(日野セレガ・3列座席)がお客を乗せていた。
地鉄バスは社番がなく、ナンバープレートで区別する。
区分が「富山230・・・」と希望ナンバーになっているが、それ以降に続く番号は700番台が主体で続番だ。
1番のりばにはすでにスーツケースを持った若いお客がずらりと並んでいる。言うまでもなく名古屋行きの便に乗るのだ。

↑709の後ろには「回送」のサボを出した日野セレガ732。
12:10発の大阪行きの709が発車すると、「回送」→「高速 名古屋」と言うサボに変わり、ドアが開いた。
スーツケースを持ったお客は、改札を受ける前に自分からトランクルームに入れて行く。その辺のルールは既に知っているようで、地鉄バスの高速線や東海北陸道高速バスを何回も使っているリピーターのようだ。
今回の乗車券は「ハイウェイバスドットコム」で用意した。
京王バスが主体になって、中央高速バスの予約システムであるが、最近はそれを使って名鉄バスや九州各地の路線(主に西鉄)も参入。
クレジットカードで決済すれば、チケットレス(プリントアウト・スマホによるチケットレス画面の両方に対応)も可能であるが、これと言った割引はなかった。
運転士に乗車券を出すと、氏名と座席位置を確認。具体的な場所(左側の最後尾)を言われ、プリントアウトした乗車券は回収された。
「ハイウェイバスドットコム」は、シートマップから座席選択が可能になるため、後ろのお客を気にせずにリクライニング出来るトイレ前の9Aとした。この時に限らず、最近はこの座席を選択する傾向が強く、逆に足を伸ばす事が出来ない最前列は4列座席車では座らなくなった。


↑座席はメーカー標準の高速バス仕様で、窓側と通路側で腰掛が完全に独立しているため、ややスキマがある。
通路側のお客と肩を触れ合わないようにしているため、腰掛の快適性も高くなっているが、ワイドシート(楽座シート)のようにホールド感が極端に強いわけではない。
モケットの柄は富山をイメージする立山連峰等が描かれており、旅情が高まった。こういう柄をした座席は鉄道だとJR東日本管内を中心にそれなりにあるが、高速バスでは少ない。
リクライニング角度が深く、シートピッチも広いので、4列座席としてはかなり快適であるが、あくまでもこれは”地鉄バス特別仕様”ではなく、「メーカー(日野)標準仕様」である。
座席の網ポケットには何枚か冊子が入っていた。
内容はシンプルで、「車内設備のご案内」と言うタイトルの表面には、シートベルトの着用、具体的な非常口の開け方等が書いてあった。「バス車内から地上までは約2mあるので、飛び降りると危険」とも。
裏面には、リクライニングする事、読書灯やエアコンの使い方、エチケット袋が座席前の網ポケットにある事、車内での通話と禁止と禁煙と。
決して豪華さはないものの、シンプルながらもわかりやすく丁寧に表記してある事が印象的だ。
★平日昼間の便でも多くのお客が乗る
窓側がほぼ全て埋まり、前5列目までは通路側を含めて満席。後ろ側は通路側の空席がやや目立つが、平日真昼間の便でこれだけ乗れば”好成績”だ。
約20人弱のお客を乗せて12:20に富山駅を発車。
富山市内は、富山市役所前、総曲輪(そうがわ/富山大和と言うデパートの前)、富山市民病院前・・・と停車するが、乗車はゼロ。
最後に止まった富山IC手前のアピタ(スーパー)前にある西上袋で2人乗ってきて、乗車確定。
富山駅発車してから、特に放送はなく、前面の液晶画面には「ひるが野高原SAで休憩」と名古屋市内の降車可能バス停名が表示されるだけだった。
富山ICからE8北陸道に入り金沢方面へ進む。
しばらくすると「航空機注意」の標識。北陸道のすぐ近くに富山空港があり離陸・着陸する航空機に注目し過ぎてわき見運転しないように注意するためのものである。
地鉄電車と同じ「ピンポン」と音が鳴り、自動放送が始まる。
これからの経路、休憩場所、停車バス停と丁寧に案内される。
続いて、運転士も補足的な案内が中心だが内容が丁寧だった。
空調は自動調整となっており、暑い・寒いによる室温調整は衣類で行ってほしいとの事。どうしてもと言う時は運転席で温度を調整すると言う。公共の乗り物なのでそれが基本と言えば基本である。
その他車内設備についてもいろいろと案内があったものの、気になる事が。
この先のE41東海北陸道の飛騨清見IC~荘川IC通行止めとの事。バス通過時までに通行止めが解除されないと一般道経由になるため、到着時刻が大幅に遅れる・・・とも。
NEXCO中日本のホームページを見てみると、故障車により上下通行止めだった。
★北陸と東海を結ぶ大動脈東海北陸道は2016年当時片側1車線区間が長かった
北陸道の小矢部砺波JCTで左に分岐。これを右に分岐すると能越道に入る格好だ。バスは左に曲がり片側1車線の東海北陸道に入る。
一宮JCTまで約185kmあるが、そのうち片側2車線は2016年時点では岐阜県白鳥IC以南の約76kmに限られた。残りの約110kmは片側交互通行で、最高速度も70km/hに制限される。
国やNEXCO中日本は今後片側交互通行区間についても随時片側2車線に変更したい方針で、2019年時点では飛騨清見IC以南が片側2車線になった。つまり名古屋・岐阜~高山までは全区間片側2車線になったので、渋滞も随分減った。飛騨清見IC以北も一部だが片側2車線化する事にしており、2020年には完成すると言う。
田んぼのど真ん中で、日本らしい良い風景。交通量は決して多くなく、たまに対向車とすれ違う程度だ。
砺波付近から雨で、タイヤから弾く水しぶきがすごいものだった。
3列座席夜行では当たり前の運転席と客席の仕切りドア。昼行では閉めない事が多いが、地鉄バスではそれを閉めていた。
さすがにカーテンは閉めていないが、運転席と客席を仕切る事で別世界のような感じだ。
城端PA(ハイウェイオアシス)を越えると城端トンネル。全長3,196m。続いて袴腰(はかまごし)トンネル。全長5,939mと長大トンネルが連続する。
標識は「危険物搭載車両通行禁止」とあった。つまり、ガソリンや軽油等の危険物を積むタンクローリーは通ってはいけないのだ。
東海北陸道は全線で54のトンネルがあり、長大トンネルも少なくない。そのため標識には「○○(何本目)/54」と丁寧にトンネルの本数が書いてあり、山岳部のため標高の表示も。
確かに標高が高く、トンネルを出ると並行する山の頂上のと同じ高さ、天気が悪かったためちょうど雲と同じくらいの高さだった。
景色は非常に良く(特に飛騨白川PA付近)、袴腰トンネルを出ると「合掌集落」や「三角屋根」をした建物が見えてきた。
白川郷ICを越えると東海北陸道最大の難所、飛騨トンネルに入る。
長さは10,710mと10kmを越える非常に長いトンネル。このトンネルの完成により東海北陸道が全線開通したようなものだ。
道路トンネルでは日本で3番目に長いトンネルである。バスはこのトンネルを抜けるまで約10分を要した。携帯の電波状況は常に3Gでなんとか通じる程度であった。
飛騨トンネルを出るとすぐ左に、飛騨河合PA。非常に小さい休憩施設でよく見ていないと気付かない存在だ。
故障車による通行止めは解除。引き続き東海北陸道を進む。
飛騨清見以南は片側2車線化の工事が急ピッチで進んでいた。大型クレーンに工事用のトラックが何台も行き交う。
飛騨清見ICは飛騨高山の玄関でもあるため、同IC以南は圧倒的に交通量が増える。特に冬は名古屋・岐阜近郊からスキーをする人たちのクルマで大渋滞を起こす事でも有名で、早期の2車線化が好ましいだろう。
この先の松ノ木峠PAは日本の高速道路における休憩施設で最も標高が高い。一部区間では追い越し車線もある。
★高速道路の「標高日本一」が連続


↑ひるが野高原SAでは14:19~14:30までの解放休憩。
止まっているクルマが非常に多く、バスが停車する場所を探すだけでも大変であった。
景色がよく、「高原」と称するだけに気候が涼しく気持ち良い。さまざまなPAを見ると止まっているクルマの台数は限定的だが、このSAだけはまるで別世界であった。
サービスエリアとしては「標高日本一」を誇る。標高は860メートル。鉄道では山梨県と長野県の小海線が「標高日本一」の駅が連続するが、高速道路では2019年現在は東海北陸道に集中する。意外とE20中央道ではない。

↑しばらくして通ったのが鷲見橋。地上までの高さが118mとこれも日本一の高さ。地上の建物はかなり小さく見える。鷲見橋自体は曲線であった。
★鉄道で言うと長良川鉄道に並走する東海北陸道
白鳥ICで福井方面に向かうE58中部縦貫道と分岐。岐阜~福井県境は未開通との事。鉄道で言えば越美南線(今の長良川鉄道)と越美北線(今はJR西日本が運行)に並走する形だ。
白鳥・郡上八幡とそれなりに大きな街が続くが、鉄道では長良川鉄道の沿線だ。名古屋へ直接行くには不便のため、郡上八幡付近にはバス停が設けられており、JR東海バスの名古屋行き(高山発と思われる)が乗車扱いをしていた。
美濃関JCTで東海環状道と分岐。「新東名」と言う案内が妙に新鮮であった。
★あっという間に名古屋市内へ
各務ヶ原・一宮木曽川ICまで来れば完全に都市部。交通量も圧倒的に増える。
東海北陸道は岐阜市を通る事はなくそのまま愛知県に入る。
そして長い東海北陸道が終了し一宮JCTで名神に。わずかな区間だけ走行し一宮ICから名古屋の都市高速に。
何か所かの料金所が存在するが道なりに進むと、名古屋市中心部が近づいてきた。
明道町出口を降りると、一般道には行った事とミッドランドスクエアー到着の放送が入る。
少し入ると名駅(名古屋駅)が見えてきた。時計を見ると15:55の定刻。このバス停は降車のみで、富山行きの乗車は名鉄BCに限られる。
★まとめ
地鉄バスのサービスレベルは、シンプルながらもレベルの高いもので、非常に満足出来るものであった。
所用時間がJRと大差なく、乗り換えもなくダイレクトに富山~名古屋を結ぶのであれば、バスにお客が流れても仕方がないと思った。
一方で、東海北陸道は特に岐阜~富山の県境付近では片側1車線が多く山間部を通るため、道路状況や気候によっては運行に支障が出やすいのが弱点と言える。
今や14往復もある路線だが、今後も利用が増えてもおかしくない状況にあるとも言えるだろう。
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