【自殺対策に効果的?】JR西日本「人身事故」→「お客様と接触」に案内方法を変更
もくじ
★自殺対策に効果的?JR西日本は人身事故=「お客様と接触」に変更
JR西日本は2017年11月から、人と列車がぶつかった事故、すなわち「人身事故」について表現方法を改めた。
「JR西日本 ”人身事故”を”お客様と接触”に変更」(ねとらぼ)
↑こちらを参照されたい。

例えば2017年10月31日に発生した人身事故。
「JR東西線新福島駅で発生した人身事故のため・・・」
↑この日まではしっかりと「人身事故」と言う表現を使っていた。日付が変わって、同年11月1日にも人身事故が発生したが、表現が変わっていた。
「JR神戸線兵庫駅で列車がお客様と接触したため・・・」
↑この日から「人身事故」→「お客様と接触したため」と表現方法を改めた。
これはホームページ上での運行情報、駅や列車内での案内全てにおいて、「人身事故=お客様との接触」に変わったのだ。
なぜ、人身事故と言う表現を止めたのか?
これは、鉄道総合技術研究所が公表した論文が根拠。
「『人身事故』という表現は『自殺』を連想させやすく、そこから鉄道を自殺の手段に用いる考えが生まれやすくなる可能性がある」
・・・つまり、人身事故の原因を考えてみると、不慮の事故(ホームからの転落、踏切内の閉じ込め等)よりも、意図的に自ら死のうとする事による列車との事故が多いと言う。
「自殺するにはどうすれば良いのか?」と考えた時に、「自殺するために列車に轢かれ死んだ方が楽」と思わせない意図がある。
一般のお客に対して、「人身事故で思い浮かぶ事は?」とアンケートした所、「ホームからの飛び込み」が全体の6割になった。
酔っぱらったお客がホームから足を滑らせて線路に転落し、列車とぶつかったと言う”本当の事故”ではなくて、故意に自らの意志で線路に入って危険な状態を作ってやってきた列車に轢かれ死んだと言うのが、我々のイメージなのだ。
実際に欧州のオーストリアでは、実際に列車と人が接触する事故が起きても、その旨を広く公表しなくした結果、大幅に人身事故が減少したと言う「数字」も出ている。
日本では鉄道による自殺は極めて多く、極端な話自殺自体がなくなれば人が接触した事による輸送障害は大幅に減少出来るはずだ。これは論文の通りである。
そもそも、日本の文化や社会は今や「ストレス社会」「ハラスメント社会」で、「生きるのがしんどい」「早く死にたい」「早く離脱したい」と言う人が少なくない。それで本当に自殺に手を染める人は年間に約3万人いるとしているが、この「数字」は近年変わっていない。
すなわち、「ストレス社会」「ハラスメント社会」を打破するべきで、それが打破できない限り、表現方法をソフトに改めた所でも、少しは鉄道自殺が減っても、大きくは減らないだろう。
★JR西日本は「お客様と接触」と言っていても、世間に広く知らせるマスコミが「人身事故」と言ってしまうと無意味になるのでは?
JR西日本は「人身事故」と言う表現方法を止めたが、JR東海はとっくの昔(いつかはわからない)に「人身事故」と言う表現を止めている。
「人が列車と触車」と表現している。
鉄道業界の人間ならば「触車」と言う言葉の意味は誰でもわかるが、一般人には「触車」と言われた所で、つまり何が起きたのかわからない。
そのため、リンクした当ブログのようにさまざまな問題点が生じているのも事実。
それに対してJR東日本は「人身事故」のまま。表現方法を改める予定もないと言う。首都圏私鉄各社も同じ動きであろう。
JR西日本は「お客様と接触」と表現を改めたが、イメージとして、「そんなに大きな事故ではないだろう」と過小評価されがちだ。
「接触の程度」と言うのは本当にさまざまで、例えばホーム入線中、発車後にホームの端に居たお客と車両側面が接触した事故と、線路のど真ん中に入った人がガッツリと列車に接触し確認したら即死状態では、処理にかかる時間はまるで違う。
JR東海のように「触車した」事だけを繰り返すだけの案内では、苦情や混乱状態になるのは目に見えている。
難しいのが、「線路に居たお客様と接触」と「ホームに居たお客様と接触」では、前者が自殺、後者が”本当の事故”と目に見えてわかる人も少なくない。
前者のような言い方を状況説明として放送した時に、果たして本来の目的である自殺抑止に効果的なのか?と言われると、私の解釈では大いに疑問と言わざるを得ない。
「程度の説明」がなくても、「運転再開見込み時刻」はわかるので、列車がある・ないと言う面で考えれば、「何時になれば列車が動くようになる」と言う時間的なメドがたつので、予定変更や他私鉄への振替輸送等で対応出来るだろう。
静岡地区の場合、JR東海から公表される情報は「人と列車が触車」と案内されるが、これをテレビ・ラジオ・新聞・乗り換えサイト等で報道する段階では、マスコミが自ら「人身事故のため・・・」と置き換えられてしまうので、別媒体から”本当の事がわかってしまう”事が日常だ。
在阪のテレビ・ラジオは今後、どのように表現するのかわからないが、もし仮に今まで通り「人身事故」と報道してしまったようでは、JR西日本が「お客様と接触」と置き換えている事自体が意味をなさなくなるのではないか?
みなさんはどう思うだろうか?
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