【JR東海の年収は高い】鉄道会社で働く人の平均年収はいくらか?
もくじ
★JR・大手私鉄各社は全産業平均(414万円)よりも高い給料をもらっている。一方で地方私鉄はそれを下回る会社が少なくない
当ブログの検索ワードでよく出てくるもの。
「JR東海年収」、「JR東海給料」と言ったものだ。
要は以前これに関連した事を少し書いたので検索ヒットしたのであるが、具体的に「年収何円」と書いた記憶はない。
各社の財務諸表等を確認すると、平均年収と言うものはおおよそわかる。それを広く世間に公表するかと言うとそういうものではない。
「鉄道事業を営む203社の”平均年収”ランキング」(2016年7月13日配信の週刊東洋経済オンライン)
↑『週刊東洋経済』の鉄道分野における名物記者が書いた記事。
この記事で言う「鉄道事業者」と言うのは、必ずしも鉄道車両を保有し直接運転している会社(第一種鉄道事業者)だけではなく、線路等の施設だけを保有し列車の運行は他の鉄道事業者任せると言う会社も含んでいる。
週刊東洋経済が1社ずつ財務諸表を細かくチェックして仕上げたのではなく、国土交通省が公表しているデータ「平成25年版鉄道統計年報」を参考にした。
ここには、1人1か月あたりの平均月収が記載されており、これを12倍して年収額を算出。
但し、各社で社員数や平均年齢や雇用条件は当然異なる。社によって必ずしも正社員だけではなく契約等の非正規雇用者も含んでいる場合もある。必ずしも実態に即した額ではないと言う事を断っておく。また数字は全て2016年時点のものである。
最も年収額が高い鉄道事業者は、「成田空港高速鉄道」と言う会社。年収額は1,176万円。
聞き慣れない会社だが、成田空港周辺の鉄道路線約18キロを管理しており、乗り入れをしている京成・JR東日本から線路使用料(通行料)を得ている。
社員数はたったの6人で、京成・JR東日本・ANAHD(全日空グループ)等の出資している。
第2位は、阪急電鉄の830万円。
第3位は、新関西国際空港の825万円。空港自体の運営会社である。線路施設も維持管理しており、関西空港に乗り入れるJR西日本と南海電気鉄道から線路使用料を得ている。
第4位は北大阪急行の809万円、第5位が神戸高速鉄道の795万円。
第2位、4位、5位の共通点は「阪急阪神ホールディングス」のグループ会社である事。個人的なイメージとして阪急阪神HDは「カネありそう」と言うのがあるが、経営自体も健全なのであろうか?
以下続くのが、仙台市、神戸市、横浜市、大阪市(2016年当時)、札幌市、福岡市、東京都と言った公営の鉄道事業者。「赤字体質」の経営が少なくない。一部では民営化を検討している市もあると聞くが、さまざまな人からの反対でなかなか進展していないのが実情だ。
いずれも公務員と言う立場なので、民間よりも給料を含めて待遇が手厚いのは言うまでもない。具体的な年収額は上記リンクを参照されたい。
★ JR各社の年収は?

↑やはり第1位(全体では第10位)はJR東海だった。年収額は771万円。

↑第2位(同21位)がJR東日本で、712万円。

↑第3位(同35位)がJR西日本で、663万円。

↑第4位(同52位)がJR九州で、586万円。

↑第5位(同59位)がJR四国で、552万円

↑第6位(同63位)がJR北海道で、544万円

↑第7位(同73位)がJR貨物で、527万円
JR各社の平均年収は680万円で、トップのJR東海とビリのJR貨物との”差”は244万円もあった。
給料の”差”が生じる理由は、各社どれだけ多くの売り上げを得る事が出来るか、利益がどれくらいか等によって左右される。
JR東海は東海道新幹線で大幅に稼いでおり、しかも自腹で5兆円もするリニアを建設している。なお関連子会社も給料が高いか?と言うとそういうわけではなく、JR東海バス(JR東海の完全子会社)の場合平均年収は約480万円である。バス会社にしては高い。
一方でJR北海道は札幌都市圏以外は全て赤字で線路維持費用等が売り上げよりも大きく赤字。北海道では優良企業である事には変わりなく、札幌市民の平均年収が約305万円なのでそれよりも大幅に高い。
とは言え「JR」は”安定企業”である事には変わりなく、さすがにJR北海道やJR貨物でも全産業平均の年収額414万円を下回る事はなかった。
地方私鉄レベルでは、これを下回る会社が多数ある。具体的な年収額等は上記リンクに譲るが、例えば静岡鉄道では380万円と言う「数字」であった。
列車本数が多く、お客も多い。静岡鉄道(株)単体では約1,600億円を稼いでいる。約半数は事実上の本業であるトヨタ車を販売するカーディーラーによるもので、本当の本業である鉄道事業は約150億円ほどと少ない。「客単価」が低い事も要因だが、鉄道部門だけで言ってしまえば、多く給料がもらえる環境とは言えない。
★大手私鉄の年収は?
大手私鉄各社について簡単に触れておく。
第1位が大阪を拠点とする阪急電鉄がトップであったが、2位以降は東京を拠点に置く会社が集中する。
京王電鉄、東京急行電鉄、相模鉄道、東京地下鉄(東京メトロ)、小田急電鉄、京成電鉄が700万円台。
関西私鉄で2番目に年収が多いのは京阪電気鉄道で693万円。再び関東私鉄に戻り、京浜急行電鉄、西武鉄道と続く。
近畿日本鉄道が644万円、東武鉄道が641万円、阪神電気鉄道が637万円・・・とここまでが600万円台。
以下は一気に下がり、名古屋鉄道が585万円、西日本鉄道が553万円、最下位が南海電気鉄道の544万円となった。
関東私鉄ではどの社もほぼ同じで”横並び”と言う感がある。
一方で関西私鉄は社によって大きく”差”が出ており、最下位の南海電気鉄道は、いわゆる「先細り」の利用形態で大阪市・堺市の大きな駅を出るとどんどんお客が減る特徴。
名古屋鉄道も名古屋市周辺ではお客が多いが、人口が多い都市に路線網を展開しながら、愛知県は超クルマ社会なので、なかなか鉄道利用につながらない。
利用者の多さと利益の高さが年収(給料)の高い・少ないに直結するのは、どの業界でも共通と言える。
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