【関連・開発事業の拡大/北海道新幹線速度向上/快速エアポート7両化と12分ヘッドと野球輸送に参戦/キハ261系1000番台増備とH100形登場/観光列車の深度化】JR北海道2031年度までの長期経営計画を読み解く

広告
広告
広告

JR北海道は先日、2019年度の事業計画と2031年度までの長期経営計画を公表した。これによると、「本当に出来るのか?」とビックリするような内容が目白押し!

広告
広告

JR各社に限らず企業活動においては、毎年必ず事業計画を策定するのであるが、当ブログではJR北海道のそれに限定して私なりの視点で読み解きたい。誤りや認識不足の点も含んでいる可能性があるため、修正するべき記述があれば指摘されたい。

こちらも参照。

【お客にも負担を求めざるを得ない】JR北海道運賃値上げか?

【初乗り200円!高いが値上げせざるを得ない】JR北海道2019年10月1日から運賃を大幅値上げ!

★2019年(令和元年)度事業計画の概要

「2019年度事業計画」(JR北海道ホームページ)

↑詳しくはこちらを参照されたい。

年間500億円(単体)の赤字を計上し、施設の老朽化で満足に設備投資が出来ていないためそれが原因による輸送障害も他のJR各社よりも多く発生。ファンとしては国鉄民営化後30年以上経過しているのに、今でも国鉄型車両が現役で多く活躍するのはうれしい限りであるが、逆に言えば「新車を買うカネがない」と言う事を示す。国からは「監督命令」が出されており、速やかな経営改善(黒字化)を求めている。その中では老朽化した設備の更新も求めている。2019年度設備投資額は合計で377億円にものぼり、そのうち老朽設備取替額は74億円を占める。

JR北海道では関連会社を含めて、社員による不正・不祥事が相次いで起きた。社員に対してコンプライアンス意識を高めるため、教育や研修を積極的に実施。技術的な教育や研修についても、より実践的なものを行い、現場で働く社員のスキルアップ向上も積極的に実施する。

JR東海のように「鉄道だけで飯を食う」と言う事は不可能に等しい。鉄道とは直接関係ない副業の強化は必須と言える。そこでJR北海道は札幌圏で分譲マンションやホテル事業の強化を行う。ホテル事業については道内各地でいろんな形態のホテルを展開するとしており、当面の店舗数目標は15~20としている。札幌は今や日本屈指のホテル激戦区で、鉄道業界だけでもJR東日本や北海道にはまったく地盤がない京阪電鉄でさえも進出するくらいだ。JR北海道のホテルは「高級路線」が基本。世界的に見ても「高級ホテル」を札幌をはじめ道内各地でも展開するが、客層は必ずしも富裕層だけには限定せず、安価な価格で宿泊したお客を狙った「リーズナブルなホテル」も今後やりたいとしている。

JR北海道にとっては鉄道に次ぐ”経営の柱”にしたいのが「ホテル事業」「不動産事業」「物販事業」。物販事業については駅売店(キヨスク)をセブンイレブンに転換。JR西日本同様にセブンイレブンにした事で売り上げが伸びていると言う。不採算店舗の閉鎖も同時に進めており、1店舗当たりの採算重視。それ以外にもさまざまな形態の物販店舗を経営しており、今後も店舗数を増やす方針。不動産については社宅用地をマンション化する事により、収入増加を狙う。2031年度の目標が鉄道事業が1,400億円の収入に対して、副業(ホテル、不動産、物販全ての分野で)1,200億円(利益は150億円)を目指すとしている。

だが、鉄道会社が副業を充実させるための一丁目一番地がやはり「安全輸送」と「確実な鉄道サービスの提供」だ。列車を強化する必要がある。詳細は後術するが、直近の注目点を冒頭に述べておくと、新千歳空港~札幌市内を結ぶ「快速エアポート」の本数増加・両数を増やす事を2020年春までに行う。

★2031年度までの長期経営計画

「JR北海道グループ長期経営ビジョン」(同社ホームページ)

↑詳しくはこちらを参照されたい。

鉄道ファンの目線では「新車」とか「設備」が気になる所だが、それを述べる以前として、経営上何をやらないといけないのか?から述べないといけない。これが全ての事業を実行する上での「前提」になるからだ。それが下記の3点である。

①開発・関連事業の拡大による事業構造の変革

②輸送サービスの変革

③鉄道オペレーションの変革

大前提として①がないといけない。続いて②や③に展開し、鉄道ファン諸氏は②や③が気になって仕方ないと思うが、①がかなり重要な変革(改革)となる。また世間的には「働き方改革」を進めているが、同社に即したそれも②と③では含まれている。

しかし上記リンクページには①の事は細かく書いていない。たったの1ページに留まっている。現段階では細かい所まで決まっていない事、新規事業もあるため「書きたくても書けない」事が多いのであろう。今までは「鉄道で飯を食って行く」と言う事が前提であったが、前述のように2031年度には副業による収益が全体の約半分を占めるまでになるため、札幌圏を中心にホテル、不動産、物販事業を少しずつ拡大する。私が思うにはこれを道北・道東・道南でも同じレベル展開するのが好ましい。北海道経済はこれら地域ほど不景気で、商売をやるには厳しい(採算が成立しない)事も容易に予想できるが、それでも旭川、帯広、釧路、函館では十分”商圏”としては札幌と比べれば小さいながらも成立するため、店舗数や規模の大小ではなく、事業展開そのものはやるべきであろう。「札幌圏だけで食って行こう」と言う考えは止めた方が良い。JR九州を見ればわかる話で、福岡や北九州だけで副業事業を展開していないか?と言うとそうではなく、地域により差はあるが、大分、宮崎、熊本、鹿児島等でも需要に合わせて事業展開を図っている。店舗数や規模が小さくても、お客のニーズや需要が合致出来れば、十分採算が取れる事を示す。その上で下記で、②と③について詳しく述べる

★維持困難線区について

JR北海道の喫緊の経営課題は「維持困難線区」の事であろう。

路線別に表現内容は異なるが、基本的に下記線区は「廃止」を前提だ。

◆石勝線夕張支線(新夕張~夕張)・・・2019年4月1日に鉄道事業を廃止してバス輸送に転換。今後はJR北海道も協力しながら将来に持続可能な夕張市内の交通体系確立を行う。

◆札沼線(学園都市線・北海道医療大学~新十津川)・・・2020年5月7日に鉄道事業を廃止(営業運転は前日まで)してバス輸送に転換。現段階では準備中である。なお廃線にする費用は決して安くなく、2019年度事業計画によれば、30億円の特別損失と言う形で計上している。

◆日高本線(鵡川~様似)・・・JR北海道としては鉄道事業継続を断念。バス転換を前提に地元と協議する。バスの増発も計画しており、元々の運転系統ではなかった浦河・静内~襟裳岬までの直通バスにする事も計画。

◆留萌本線(深川~留萌)・・・バス転換に向けて地元が納得出来るように協議を進める。具体的なバス転換時期は未定。(2019年6月現在)

◆根室本線(富良野~新得)・・・最適な公共ネットワークについて地元に相談を継続。地元が納得出来る取り組む。具体的なバス転換時期は未定(同上)。

↑留萌本線秩父別駅を発車する深川行きのキハ54。この日は平日であったが、乗っているお客は少ない。

↑夜の留萌本線深川行きの列車。ビックリするほどお客が乗らない。この時は私を含めてたったの3人だけ。これが「平均的な利用実態」なのだ。

上記の維持困難線区については、どこも留萌本線のような利用実態で、「大量輸送」を前提にした鉄道が即していない。しかも、設備老朽化が進み今後も鉄道継続ならば、老朽取替が必須であるが、必要な資金が用意出来ない。JR東海みたいに別部門で大量に利益を出しているのであれば、維持困難線区への設備投資も容易に出来たりするが、JR北海道には別部門で大量に利益を出している部署が存在しない。

今後も維持困難線区は利用増大が見込めない。出費だけが増えるので、利用が少ないのであれば廃止せざるを得なくなる。夕張支線が廃止した時に現地でよく聴いた話が、「汽車に何十年ぶりに乗った」と言う事。廃止になるので「思い出」として乗った地元の人が多かったのであるが、普段はクルマで移動しているので夕張支線を使う事はほとんどない。仮に鉄道が廃止になっても不便になる人は、極少数と言うのが実態なのだ。維持困難線区ではほとんどが、これなのだ。

しかし、自治体側は積極的に廃止したくないのが本音。なぜならば、「利用は少ないし、普段自分たちが通勤や用事で使う事はないが、鉄道があれば”街の看板”にもなるし、不便を被る住民も少ない。鉄道廃止になれば遠くからの観光客は激減するし、通学の学生や高齢者の移動手段を強制的に奪うのも良くない。それよりも”鉄道廃止=街の死刑宣告”のようなものだ」と言う考えが支配的だ。

JR北海道は維持困難線区の自治体を中心に協議を進めているが、留萌本線、日高本線の自治体とは方向性が決まっていない。地元側が廃止について強く反対しているため。

日高本線については7つの町があるが、7つとも意見や考え方がバラバラで合意形成は相当大変なものになるだろう。2019年3月に日高本線に乗ってみた。鵡川~様似は列車代行バスによる輸送で、静内駅で必ず異なるバス会社のバスに乗り換えとなる。鵡川~静内では比較的高校生や地元の人の利用が多少見られたが、静内~様似では数えるくらいの人数しか見られなくなった。乗降ゼロの駅も少なくない。代行バスが走る国道235号等は走りやすい道で交通量も多い。あえてバスを使うのは、遠くから来た人か・クルマがない地元の人くらいである。現状はバスでさえも維持困難と思われるので、こんな中で「鉄道を残せ」と言う要求はいかがなものか?

従って、維持困難線区については、そう遠くないうちに全て廃止しないとJR北海道の経営を余計に苦しくさせるだけと言える。

だが、維持困難線区と称しても宗谷本線、石北本線、釧網本線、根室本線(新得~根室)のように、幹線的な性格を持ち、国土防衛の観点からどうしても残さないといけない線区も多いのが特徴。都市間特急利用を除けば、他の維持困難線区と同じレベルの利用実態であるが、ここについては今後利用促進を行うとしている。

★輸送サービスの変革①・・・北海道新幹線

↑各マスコミ・ブログ・SNS等でも報じられている通り、2031年度に北海道新幹線は札幌まで開業予定。同時に青函区間を除く全線で最高速度を320km/hに引き上げる。所要時間の目標としては札幌から、倶知安(ニセコ)30分、函館60分、青森1時間30分、東京4時間30分が目標だ。青森・東京方面については、やはり青函トンネルの速度向上が欠かせない。これは貨物列車との共存が大きな問題で、2019年3月改正でやっと20km/hの速度向上が出来た。これはかなりハードルが高いと思う。「大人の事情」だらけで、理論上(技術上)は出来ても実際には出来ないと言うジレンマを抱える。

JR北海道の収益はアップはもちろんだが、北海道全体の社会・経済・文化の全体の底上げにつながる重大な事業だ。

JR北海道としては、今のうちに「320km/hを行う」を表明しておけば、それを前提に車両や設備の開発を行い、株主である国や直通先であるJR東日本でさえも、JR北海道が思うにように動かす事も出来る。東北新幹線の盛岡以北は260km/hに留まるが、北海道区間で320km/hにした所で、東北区間で速度低下があると、「よそのせい」で北海道新幹線のメリットを薄くしてしまう原因になる。直通している以上はJR東日本と足並みをそろえるのは言うまでもない。

だが、東京・仙台から北海道への移動はヒコーキが主体。上記リンクページの34ページを参照されたいが、仙台以南からの利用が低迷している。JR北海道が出来る事としては札幌圏を中心に教育旅行(いわゆる修学旅行)利用を獲得する事、「えきねっとトクだ値」の破格設定(定価から最大55%引き・不定期に期間限定で設定。通常設定は最大でも25%引き)する。インバウンド利用も促す方針で、片道はヒコーキでも残りの片道は北海道新幹線にお客を誘導させる。誘導方法は宣伝の強化やWi-FiをH5系等の車内に搭載して、青函トンネル内でもインターネットを使えるようにする。現在(2019年6月)工事中で今年度中(2020年3月まで)に全区間で使えるようになる。

すなわち、仙台以南の利用者増加やインバウンド利用の増加のカギは、速度向上もさることながら、宣伝での強化、北海道新幹線のメリット訴求、ヒコーキ並みのサービスアップと言った「営業面の良し悪し」によって、利用の増減が決まると言って過言ではない。

私は最近Twitterを開始した。ツイートを見ているとJALやANA、LCC各社から毎日のように、「安くヒコーキが使えます」と言う内容を見かける。一方でJR各社も公式Twitterはあるが「安く新幹線が使えます」等の宣伝はあまり見かけない。主に運行情報の提供に特化していると言って良い。Twitter等のSNSでの宣伝効果は極めて大きな成績を生む事を意外とJR関係者は知っていない。知っていてもやろうとしない。SNSでの宣伝は「無料で出来る」(有料プランもあるが)手段のため、「安く手っ取り早く効果的な宣伝が出来る」ため、JR北海道は今こそ航空会社並みの積極的な宣伝をSNS上に出して、北海道新幹線の利用者増につなげるべきではなかろうか?

★輸送サービスの変革②・・・新千歳空港輸送

↑733系3000番台の快速エアポート

↑721系の快速エアポート

いずれも6両で運行するが、慢性的に混雑している。JR西日本の新快速みたいな感じで、とにかく「混みっぱなし」。JR北海道は快速エアポートの混雑が激しいため、2020年春をメドに両数を7両に増やす。同時に本数を12分/本に増やす。1時間あたりは4本→5本に増やす事で、輸送力を拡大させる。

さらに2020年度までに快速エアポートで使用する車両全てにフリーWi-Fiを搭載する。(詳細は上記リンク37ページ)

なぜそこまで快速エアポートの輸送力を拡大させるのか?それは「インバウンド」(外国人客の増加)である。北海道庁は2020年度インバウンド利用は500万人、JR北海道は2030年度の予測で同750万人と1,5倍増加とみている。それがあれば当然輸送力を拡大させないといけない。しかし出来る選択肢は少ない。千歳線は道内トップの高密度路線で、特急、貨物も多い。時間帯によってはこれ以上の増発は困難と認めてもいる。貨物についてはJR貨物との諸々の調整が必要になるが、ハード面ではこれ以上に出来る事が乏しい。新千歳空港駅のスルー化(行き止まり式のホームを止めて、苫小牧方面に直通できるようにする)事くらいしかない。複々線をやろうとするとコストがかかるため、現実的ではない。さらに2023年にはプロ野球北海道日本ハムファイターズが北広島に新球場が出来るので、野球客輸送もやらないといけない。

野球輸送についてはJR北海道の社運を左右されるほど、大きなチャンスとなる。新幹線に期待しなくても野球客の輸送は相当な収益や利益が出て来るし、北広島駅周辺に関連企業の物販店舗を設置すればさらに収益アップにつながる。最も良いのは日本ハム(ファイターズの親会社)と一緒に球団経営もしてしまって、野球客の輸送や道内各地からの集客や宣伝にJR北海道グループを活用してしまえば、観客動員数のさらなるアップも期待出来る(現状でそれがどれくらいか不明だが)。野球客の輸送はJR北海道の列車、選手の輸送はJR北海道バスが専用車両(三菱エアロクイーン)で輸送している現実もあるので、協力体制は現段階でもある程度構築されている。

理想は阪神電車みたいに野球終了後、「本来の時刻表には書いていない超臨時ダイヤ」で野球客をピストン輸送する事が好ましい。しかし、JR北海道に限った事ではないがJR各社は阪神電車以上に多種多様な列車が所定ダイヤとして設定されており、そこに無理矢理臨時列車を挿入する事は不可能に等しい。そういう「大人の事情」は重々承知の上で申し上げているが、そのような事をやらないととてもでないが、野球客を全員輸送する事は出来ない。それほどボリュームが大きいのだ。その良し悪しでお客のJR北海道に対する評価が決まると言って過言ではなく、お客の評判が悪くてクルマやバスに流れてしまうようではダメだ。野球輸送については、惰性でやるのではなく、「社運をかけたこと」との認識で真剣にやっていただきたい。

需要が増える要素はタップリある千歳線だが、ここまで来たらハード面で改良しない対応出来ない。でもそんなカネはどこにもない。時間もない。それならば、両数拡大と快速エアポートの増発と言う、現状出来る事をしっかりとやっておくしかない。

私としては列車1両あたりの両数を増やすしかないが、意外にも有効長が短い駅が多いので、そう簡単には出来ない。私が思うには快速エアポートは9両にしておいて、新千歳空港駅ではホームからはみ出る3両分はドアカットで対応しても良いと考えるが、実態を考えると乗り降りに時間がかかるので、かえってマイナス面が大きいだろう。単に両数や便数を増やせば終わりと言う問題でないのが、根深いところだ。

また、苫小牧方面との直通運転について2023年度までに実現出来るように、早急に工事に入ると言う一部報道もあったが、JR北海道の長期経営計画を見ると「検討する」とあるだけ。4年で工事が完了できるとは思えないので、2023年度までにそれが出来る可能性は極めて低い。仮に作るとしてもJR北海道が必要な資金を出す事が出来る経営体力がない。

列車1本あたりの輸送力向上として、2024年までには転換クロスの721系を止めて、ロングシートの733系に変更する。721系6両から733系6両にすると、乗車定員が762人→821人と約60人増やす事が出来る。

★鉄道オペレーションの変革

巷で言われる「生産性向上」のJR北海道版である。ポイントとなるのが、IT機器を活用した維持管理をさらに充実させる。鉄道施設を常時監視したり、GPSで列車位置を把握し駅では列車が接近したら自動的に信号と進路構成を変更する。車両の維持管理も今までは車検時期が来れば、全ての部品を分解して1つずつ修理等をしていたが、それを止めて状態基準メンテナンス(車両側が不具合箇所を示してそこだけ修理する方法。既にJR東日本のE233系等で採用済み)に切り替える。つまりは、省力化を図る。これについては、すでに他社では実施済みの事で、他社と比べれば特に目新しいものはない。JR北海道ではやっていなかった事を着手する。

★設備投資計画~きっぷ編

35ページ目以降の内容を参考にする。

↑2018年12月から「話せる券売機」と称する新型の機械の設置を進めている。その名の通り有人窓口で対面できっぷを購入する事と同じように、画面に映し出された係員と対話して購入したいきっぷを伝える。係員は遠隔操作で「話せる券売機」からお客が欲しいきっぷを発券させる仕組みだ。これはJR西日本も2030年度までに管内全域に設置予定で、同社では「みどりの券売機プラス」と称している。

写真の「話せる券売機」は実際に私も操作してみた。タッチパネル方式の画面である。直接自分できっぷを発券する事や「えきねっと」予約を受け取る事も可能。いくつかある選択画面の中から「コールセンター」と言う部分を押すと、遠隔操作をする係員と画面越しで対話してきっぷ購入が出来る。これはテレビ電話システムを活用するのであるが、他駅でお客が同じ時刻に集中した場合は、「お待ちください」等の画面のまま長時間待たされる可能性がある。

市中では「paypay」に代表される「QRコード決済」「バーコード決済」が普及する中、JR北海道ではネット予約したきっぷを券売機から発券する際に、いちいち番号等を入力しなくても、スマホ等に予約画面に出てきたQRコードを券売機にかざすだけで簡単にきっぷが発券出来るようにしている。私が知る限りではそれをやるのはJRグループで最初ではないか?

↑釧路のキハ54の車内。左側の中づり広告には「パスもり!」と言う文字。これは石北本線の留辺蘂~網走と釧網本線の網走~知床斜里のみ利用可能な「スマホ定期券」の宣伝だ。JRのきっぷは原則的に駅で紙のきっぷを発券するか、定期券ではKitaca等のICカードでは乗車区間の情報や入金を駅券売機等で行う必要があった。しかし、北見・網走地区ではそもそも有人駅が少なく、駅は近くにあってもきっぷ販売自体行っていない駅が目立つ。わざわざ定期券を買うためだけに長距離列車に乗らないといけない。そこでお客の利便向上を目的に、スマホで直接定期券が購入出来るようにした。決済方法はクレジットカードかコンビニで現金払いとなる。実際に購入するとスマホの画面に定期券の情報が表示されるため、利用時に駅員・運転士にこの画面を見せれば良いのだ。但しIC対応はしていないため自動改札機は利用出来ない(北見・網走地区でそれを導入している駅は皆無)。

すなわち、鉄道乗車のために最初の関門である「きっぷ購入」を駅で時間をかけて行うのではなく、スマホ・パソコン等でどこからも直接購入出来るようにして、駅できっぷを発券させる場合も券売機の操作は最小限にとどめる。本州JR3社やJR九州ではこんなのは当たり前だが、JR北海道ではようやく始まる事になる。

★設備投資計画~車両編

みなさんお待ちかねの車両に関する事。

↑特急車両については、キハ261系1000番台を増やす。特急専用の新型車両の開発は実施しない。あくまでも既存のキハ261系1000番台を増備する。その中で札幌~函館の特急「スーパー北斗」については、2022年度までに全列車この車両に置き換える。

↑札幌から釧路に着いた「スーパーおおぞら」。釧路運輸車両所に入庫する事はなく、そのまま札幌行きとして折り返す。基本的に毎日札幌~釧路を1,5~2往復(約1,100~1,400kmを走行)しているため、必然的に総走行距離が伸びている。車齢の割には”クタクタな状態”である。

同時にキハ281系は撤退となる。キハ281系は「スーパー北斗」から撤退後、「スーパーおおぞら」へ移籍する可能性はあるが、車齢や総走行距離を考えると引退が妥当であろう。「スーパーおおぞら」のキハ283系の処遇については、長期経営計画では明らかにしていないが、キハ281系以上に状態が悪く当初は2019年度に引退と言われていた中で、経営難により延期された格好だ。私の予想としては、「スーパー北斗」でキハ261系統一後に、「スーパーおおぞら」にもキハ261系が登場するだろう。時期的には早くても2023年度以降だろうか?

↑一方で石北本線の特急はキハ261系への置き換え計画さえない。「特急でさえも維持困難」の状況の中で、新車を置き換えるための予算を計上する事が出来ないのだ。キハ183系は2014~2016年にかけて、キハ261系と全く同じエンジンに載せ替えたばかりのため、少なくてもさらに10~15年は使用継続するだろう。ある意味”実質新車”の走行性能であるため、今すぐにキハ183系を止めてしまう選択は賢いとは言えない。そのため、石北本線にキハ261系が入らないのは当然と言える。

↑キハ40を置き換えるために、新型車両をJR東日本と共同開発した。しばらく前までは、経営難で新車を購入できる予算が計上できず、当面はキハ40系を継続使用するとしていた。

しかし、長期経営計画によれば2019年度から随時新車のH100形を道内各地へ投入すると明らかにした。具体的な営業路線については現段階(2019年6月)で明らかにしていない。特に老朽化が激しいキハ40を優先的に廃車しており、5月~6月にかけては日高本線用のキハ40系350番台の少なくても2両が廃車となった。

キハ40は現在140両が所属。キハ54も対象となってくるはずで、両者合わせると170両程度ある。新車のH100形の投入両数は現段階(同上)では明らかにされていないが、JR北海道関係者は「キハ40の両数よりは少なくなる」と答えている。それもそのはずで、廃止路線が増えているため必要な車両数そのものが減少しているのだ。

H100形の大きな特徴は「電車システムを気動車に応用」している事である。詳しくは長期経営計画のリンクページの46ページに譲る。車内はロングシートが主体となる見込みで、車両中央がボックス席(4人掛けと2人掛け。JR東日本のキハE130系等でも見かけられる構造)が少しあるだけ。単行でも立客が多く発生する朝や晩の列車で効率よく輸送する事が目的だ。そのため、キハ54で見られた転換クロスシートはH100形でも受け継がれる事は期待出来ない。

なお、H100形の営業運転開始は2020年春ダイヤ改正からとしている。

↑札幌都市圏では731系の電子機器の更新を進める。検討段階であるが、733系(写真)等の電車は3両を1編成としている所を、2両を1編成としてワンマン化を始めたい方針。輸送力向上もさることながら、「両数を減らして本数を増やす」と言った国鉄が静岡や広島でかつてやって大成功した事をJR北海道もやりたいようだ。私としてもこれは賛成である。

↑観光列車についても集中的に設備投資を行う。写真の「北海道の恵み」シリーズについては引き続き継続。

↑キハ54-508の「流氷物語号」(釧網本線、花咲線)

↑くしろ湿原ノロッコ号(釧網本線釧路~塘路)

↑789系0番台(写真は特急ライラック運用時)を使用する「旭山動物園号」(函館本線札幌~旭川)

と言った既存観光列車については、さらに深度化する。ただ単に運転して終わりではなくて、「乗って楽しい列車」に。エンターテイメント性が高い演出を作り出すのであろうか?具体的な説明がなかったので、述べる事が出来る範囲も限られるが、釧網本線や富良野線では旅行会社や航空会社とのタイアップ企画が増えており、それが実際に集客効果を生んでいるので、それを多方面に拡大するのであろう。

↑そして大注目なのが、伊豆急行の2100系(写真は改造前)の「THE ROYAL EXPRESS」(実質的には東急が主導)が北海道を走る事。自走不可能なので、前後の機関車と電源車を付けて対応。2020年5~8月にかけて約1か月程度運行予定で、主に富裕層をターゲットとしたい所であろう。JR東日本からも「びゅうコースター風っこ」を同年の7月~9月の土日祝日を中心に宗谷本線で走らせる予定だ。

今の所2020年のみの予定が出ているが、2021年以降も継続しないと意味がない。単発的にやってもお客は集まらないのだ。新規客だけではなくリピーターも獲得するべきで、JR四国やJR九州にも協力を要請して北海道で走らせれば、さらに客は増えるだろう。JR九州のD&S列車が北海道の大地を走る日も現実的な話になる事を期待したい。

この辺は「他社にまかせっきり」になってしまうため、JR北海道もキハ261系5000番台と称する新型の観光列車を入れることが決まった。5両を1編成としており、さまざまな用途での利用を想定。2020年秋の登場予定である。

★まとめ

長文となったが、それでも主要項目は簡単にまとめた内容である。JR北海道にとっては2031年の北海道新幹線札幌開業時には、会社経営を黒字化すると言う目標達成のために非常に重要な長期経営計画。これが失敗すればJR北海道は確実に倒産する。失敗が許されない内容だらけなのだ。個人的な注文点としては、H100形の座席を一部でも良いので転換クロスシートを搭載して欲しいと言う事。普通列車の長距離客も多いので、ロングシートはさすがに体力的にしんどいし、”味気ない”。長距離客も短距離客も便利に乗り心地良い使い勝手の良い車両になる事を期待したい。

みなさんはどう思うだろうか?

当ブログに直接コメントされるか、Twitter宛(当該記事を紹介したツイートのコメント)にお待ちしている。

広告
広告
広告

KH8000

普段当たり前のように乗っている鉄道、バス、クルマは、意外と深い所まで知らない人が多いのではなかろうか? 例えば「何で大雨が降ると電車が止まってしまうのか?JRは簡単に止まるのに、私鉄が止まらない!その差は何か?」と素朴に感じるみなさんが知りたい”今話題のネタ”を、テレビ・新聞・SNSよりも詳しく、わかりやすく、深くしゃべり倒す!

あわせて読みたい

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)