【聴いた事がない/誰がどんな目的で?】JR東海211系から深夜に運転台やサボが盗まれる!
2019年5月25日(土)夜~5月26日(日)朝にかけて、JR東海の東海道線島田駅(CA24)構内に止めていた211系から運転制御装置(スピードメーター等)やサボが盗難被害に遭っていたことがわかった。
もくじ
★事件概要
JR東海は26日、島田駅(静岡県島田市)に25日夜~26日早朝に停車していた2車両から、運転を制御する装置や警報器などが盗まれたと発表した。JRは島田署に被害届を出し、同署が窃盗事件として捜査している。
島田署やJRによると、26日午前4時10分ごろ、警備会社の社員が駅構内に停車していた5車両のうち3車両で運転席の鍵が開けられているのを見つけた。1車両は運転席からレバーなどを使ってスピードを制御する装置が盗まれていた。別の1車両では、車両の外部にある行き先表示板が盗まれていた。
JRは始発列車を遅らせるなどの安全確認の対応を取り運行を始めたが、午前11時50分ごろ、静岡駅に移動した車両で自動列車停止装置(ATS)の作動を知らせる警報器などがなくなっているのを運転士が見つけた。この車両は行き先表示板がなくなったのと同じ車両だったが、JRは島田駅の段階では発見できなかったという。
JRはいずれの車両も鍵がかかっていたとしており、同署は何らかの方法で鍵が開けられて部品が盗まれたとみている。事件の影響で、東海道線の上下線計3本が運休するなど約1070人に影響が出た。
https://mainichi.jp/articles/20190526/k00/00m/040/111000c

↑写真はイメージ。当該編成ではない。
ウワサによると、盗難被害に遭ったのは211系5000番台のSS3編成らしい。
★忍び錠があれば容易に運転台に入る事が出来る
運転席に入る事が出来るドアは、外側(211系の場合正面と左右側面の3ヶ所)と車内(1ヶ所)にある。施錠していたと言う事であるが、鉄道車両の場合「忍び錠」と言われるカギ1本でどちらとも施錠解除する事が出来る。外側専用のカギ、車内側専用のカギと言うような用途別・場所別にカギ(忍び錠)は分けられていない。
すなわち、同じ1本のカギ(忍び錠)で複数のドア等を施錠解除(カギを開ける事)が出来るのだ
それでは、カギ(忍び錠)はJR東海(鉄道会社)関係者しか持っていないのか?と言うとそうではない。いわゆる「収集鉄」と称する分野の鉄道趣味では、カギ(忍び錠)を集める事がある意味一丁目一番地的な基本的なアイテムで、広く世の中に出回っているのが実状である。
カギ(忍び錠)自体は互換性があるため、211系どころか併結相手の313系や373系、静岡では普段走る事がないキハ75やキハ85、他社だとE233系や223系であっても施錠解除は理論上可能である。(誤りがあれば指摘されたい)
そのため、しっかりと施錠していたとしても施錠解除自体が容易に出来てしまうので、深夜に車内に入る事は出来てしまうのだ。J自社の事務所に入る場合関係者以外が入らないようにするために、セキュリティーカード・社員証等を機械にタッチした上で警備を解除し、さらに別のカギを回さないと入る事が出来ないと言う仕組みを用いるのが、今や世間一般的になっている。これはあくまでも建物に対する対策で、車両に対してはそのような対策はしていない。
なぜならば、そもそも運転台などの車内備品が盗難被害に遭うと言う事は”想定外”の事だし、事故等の緊急事態発生時に施錠方法を二重化・三重化させてしまうと被害が拡大したり初動対応出来なくなるためだ。
★誰が何の目的で運転台やサボを盗んだのか?
そう言う事になる。島田駅の留置場所はホームに面してないため、ここから直接入る事は難しい(やろうと思えば出来るが、線路を歩く必要がある)。
これは一般論だが犯人像は下記の2パターンしか考えられない。
①内部犯(JR東海関係者)
②盗り鉄(鉄道部品を専門的に盗む者)
①についてはよくある話。施錠解除は容易に出来るし、運転台の構造(部品の外し方を含めて)も把握しているので、盗む事も容易に出来る。過去にはJR北海道やJR西日本でも運転台の備品の盗難や破壊行為があったが、これらは全て会社側に対して何らかの不満や恨みがある者の犯行である。この点は否定出来ない。
②鉄道趣味でも存在するのが、動画や写真を撮影する「撮り鉄」ではなく、モノを盗む「盗り鉄」と言う分野。その名の通り盗む事を専門とするもので、スリや置き引きと言った簡単に出来るものから、今回のように運転台に入って備品を盗む事まで多岐にわたる。運転台の備品は溶接等でガッチリと固定されている事があるため、工具が扱えないとダメ出し構造的な事も知っている必要もあるし、ある意味専門的な訓練を受けておく必要もある。いずれにせよ、これらは犯罪であるため正式な鉄道趣味ではないのは言うまでもない。
②について。鉄道部品を販売する店はたくさんあるが、これを入荷する時点でそもそもその部品が「盗品か否か」と言う事はすぐにわかると言う。それがわかれば入荷しないどころか警察に通報するようだ。そのため「窃盗品は入荷する事も出来なければ、店に売る事も出来ないし、お客に売る事も出来ない」。
鉄道は詳しくなくても、外国人等による「窃盗団」も少なからずいて(トヨタのプリウスとかランクル、レクサス等の高級車の部品やクルマごと盗む)、当然機械の構造や取り外し方等も知っているし、”手慣れた手つき”で短時間で盗む事だって可能だ。盗んだらそれを「単なる鉄の塊」「単なる工業部品」として外国に転売してしまえば、高額で取引できるから普通に働くよりも生産性の高い仕事だ。場合によっては盗んだ部品を加工した上で転売する事もあり得る。
いずれにせよ、深夜に止めてある車両から部品を盗むと言う事は聴いた事がなく、他でも起り得る可能性があるため一刻も早く犯人逮捕が望まれる。今回は運転開始前に盗難が判明したが、例えば台車や走行機器等の足回りが盗難に遭って、走行中に不具合が生じてそれが事故に直結する事もあって、それが原因で事故になったら盗まんだ人物の殺人事件並みの責任を負わせないといけない。
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