【E257系JR東海管内入線不可?夜行バスに客を奪われている?でも使う人は多い!】「ムーンライトながら」2020年廃止か?!
東京~大垣の夜行快速「ムーンライトながら」。その昔は「大垣夜行」とも称された伝統的な夜行列車であったが、今や存亡の危機に立たされている。
もくじ
★185系の次の車両が用意出来ない事が「ムーンライトながら」廃止の本当の理由?


↑現在(2019年5月)はJR東日本の185系で運行。「青春18きっぷ」利用可能期間のうち、最も混雑する日に限定して運転している。
↑こちらによると、最後のページに小さく書いてあるだけだ。
東京23:10→大垣5:45(9391M、東京発8月1日~8月17日のみ運転)
大垣22:48→東京5:05(9392M、大垣発8月2日~8月18日のみ運転)
「ムーンライトながら」自体は2009年3月までは毎日運転(定期列車)であった。

↑定期列車時代はJR東海の373系(写真は特急ふじかわとして営業時)で運行。3両×3編成=9両にして、静岡19:30頃の東京行き普通列車として送り込み。東京到着後車内整備を実施して、23:10発(発車時刻は長年変わっていない)。途中の小田原までは全車指定席で、小田原から先は一部車両が自由席になる。そのため東京からの指定席を取る事が出来なかったがお客が小田原から大量乗車し、座れない事も当たり前だった。豊橋(4:00頃に着く。約50分程度の停車あり)から先は初発列車も兼ねるため全車両自由席になって、一部駅(ホームの長さが8両しかなく、373系はドアカットできる機能がないため)を除き各駅に停車。名古屋(6:00頃)で後ろ寄り3両を切り離し、名古屋~大垣は6両で運転。大垣着は6:50頃。大垣から先はJR西日本の221・223系の普通列車が待ち構え、これに乗り換えて米原(7:30頃)、京都(8:30頃)、大阪(9:00頃)を目指す。
「ムーンライトながら」は当時、「日本一指定席を取る事が難しい列車」とも言われていたので、お客が多かったのは事実。定期の「ムーンライトながら」に加えて、「臨時のムーンライトながら」も存在しこちらはJR東日本の183・189系(10両)で運転。こちらは全区間全車両指定席で、途中駅での長時間停車も少ないため、東京駅発は「定期のムーンライトながら」と大きく変わらないが、大垣駅着は1時間ほど早かった。そのため、米原、京都、大阪到着も1時間ほど早かった。
しかし、「定期のムーンライトながら」が廃止になると373系は撤退。JR東日本管内に乗り入れることさえもなくなった。しばらくは「臨時のムーンライトながら」がそのまま活躍したが、それでも混雑は激しい。「指定席を取る事が難しい」と言う事に変わりない。2013年頃に183・189系が老朽化により撤退。特急「踊り子」等で使われている185系(6両+4両)を「ムーンライトながら」に充てて現在に至る。
定期から臨時にした際、JR東日本とJR東海の両社は「ムーンライトながらの運転日は年間120日程度」としていた。つまり、「青春18きっぷ」利用可能区間は毎日運転と言う事を示していた。詳細は後術するが、現在(2019年夏)はたったの18日に留まる。むしろ運転しない日の方が多いのだ。

↑中央東線からはE257系が撤退した。撤退後は伊豆方面の「踊り子」に転用する事になっており、老朽化している185系が引退する予定だ。185系では4・5・6・7両と言った両数で編成を組成しているが、E257系では9両のまま「踊り子」に転用する見込み。増結用の2両は廃車する見込みだ。
そこで問題になるのは、「185系が消えるので、ムーンライトながらもE257系になるのではないか?」と言う事。
普通に考えれば、それで正しいのであるが現実的には「E257系のムーンライトながらは出来ない」と言うのが支配的である。公式発表もなく、いろんなウワサも出ている段階で、「確実にそうなる」とは言えない。あくまでも予想である。予想なのでハズレる(事実と異なる)事もあり得るので、それを前提に話を進める。
9両と言う両数とか輸送力については特に問題ないだろう。若干輸送力は減るが、それでも十分な輸送力は確保できているので、1両減車になったとしても大きな問題ではない。
問題なのは、E257系がJR東海管内を走行出来るか?
である。物理的には車両側、設備側(ホームや線路等)を改修する事なく、そのままJR東海管内に入線する事が出来る。E257系は今後「踊り子」以外にも、各種臨時列車として同社管内に入線する機会は増えるだろう。そう考えると同社管内に対応したATS等の保安装置を搭載する必要は出て来る。それくらいの投資はJR東日本もやるだろうから、これを問題にしている向きも多いが、私の予想ではこれは特に問題ではないと見ている。
「受け入れ側のJR東海が対応出来ない」と言う向きもあるが、これについても問題ではないだろう。乗務員については訓練すれば良いだけの話で、検修設備も同じく訓練すれば良いのだ。
「車両が用意出来ない」とは言っても、E257系0番台限定にしなくても良くて、房総方面のE257系500番台でも良くてこちらの方が車両数が余っているので、比較的用意しやすい。JR東海も373系の復活はありえる話で、使っている列車は静岡地区の「ホームライナー」と「ふじかわ」「伊那路」しかないので、車両そのものは余っている。名古屋地区の311系・313系(転換クロスシート車)を充てても良くて、それも嫌ならばJR東日本のE231・E233系であっても良いのだ。
従って、「185系の次に必要な車両がない」と言うのはウソで、探せば他にも車両はいくらでも用意出来る。
車両がないのでムーンライトながら廃止は、表向きの理由にしかすぎず、これが決定的な廃止理由ではないと私は見ている。
★「ムーンライトながら」を使うメリットが薄くなっている!10年前とは違い夜行バス、LCC等の方が安く速く移動出来てメリットが大きい!
「青春18きっぷ」の利用であっても、「ムーンライトながら」自体の運転日が減少しているので、お客が減っているのは言うまでもない。
「交通費は何が何でも青春18きっぷの分しか払わない!」「新幹線、特急、私鉄、バス、ヒコーキ、船には絶対に乗らない!」
と言うのであれば、「ムーンライトながら」の選択肢もあるが、今時そこまで”こだわりの強い乗り鉄”は意外と減った。課金にはなるが、夜行バスやLCC(格安航空)も増えてきて、昔に比べれば時間帯問わずに移動そのものの”価格破壊”が起こっているわけで、東京~大阪を夜行バスならば5,000円前後でも可能だ。「ムーンライトながら」自体に乗る事が目的ならば話は別だが、ほとんどは東京から京都・大阪・神戸が目的地で、中には中国・四国・九州もあるのだろうが絶対数は少ないはずだ。
それに意外と「ムーンライトながら」はこれら目的地の到着が遅く、到着を早めるならば夜行バスの方が断然有利だ。下手すれば値段差もなかったりする。そして運転日数が減少しているので、「使いたい日にムーンライトながらに乗りたい」としても、その日にムーンライトながらがない事も珍しくなくなった。そうなれば、「ムーンライトながら=不便」と思われても仕方なく、夜行バスやLCCを選ばれても当然である。
従って、「ムーンライトながら」を今や選ぶ(乗る)メリットが薄くなった。少なくても定期列車が走っていた2009年以前と比べれば、格安で移動出来る乗り物も増えているので、必ずしも「ムーンライトながら」しか選択肢がなかった当時とは状況が違っている。今や「ムーンライトながら」は”時代の産物”と言っても良く、JRも「慣例的に一応残している」と言うのが本音である。
これを書いている私自身も、まさにその通りである。定期列車時代の「ムーンライトながら」は頻繁に使ったが、臨時列車になってからは数回乗った事があるが、それでも2011年以降は一度も乗車していない。185系のムーンライトながらは一度も乗車した事がない。

↑夜行移動する機会がない事もない。そのほとんどは夜行バス(写真)。静岡からも東京、京都・大阪への路線があって、これに乗れば5~6時台に着く事が出来る。多少の課金にはなるが、翌日は行動範囲が拡大するので「ムーンライトながら」よりもはるかに便利な存在だ。
世の中のニーズが変わってきているので、「ムーンライトながら」のような列車は「要らない存在」になってきていると私は感じる。みなさんはどう思うだろうか?
★Twitterを見ていると「ムーンライトながら」を使う人は多い
(以下2019年8月25日追記)
Twitterのタイムラインに流れてくるツイート。ここには
ムーンライトながらに乗った
と言うものが多い。今の「18キッパー」にとっても、「ムーンライトながら」は重要な”足”。今や8月のお盆前後しか運行しなくなったが、「ムーンライトながら」に乗るために旅行の日程を調整している人が多いように感じた。悪く言えば「ムーンライトながら」がなければ青春18きっぷを使って西日本には旅行しないと言う事か。2019年夏の実績では、指定席は相変わらず良く売れる列車で、直前で「ムーンライトながら」に乗ろうとすると満席になっている事が目立った。
確かに一定数は、高速バス・新幹線・ヒコーキ等で送り込みをしておき、目的地付近から青春18きっぷを使う人も少なくない。実質的な費用は増額となるが、それでも良いので旅行したいと言う人が増えたような気がする。そんな今年夏の「ムーンライトながら」の利用実態だったように遠くから見る限りは思う。
追記した日現在でも、「ムーンライトながら」の運行継続有無は公表されていない。少なくても2019年~2020年の冬の臨時ダイヤでは運行される可能性が高い。ポイントになるのは2020年春以降の臨時ダイヤ。ここで存続するか?しないか?「ムーンライトながら」にとっては正念場を迎えると言って良い。とは言っても、2020年春から185系車両が全てE257系に置き換わると決まったわけではない。2020年春以降も185系は一定数残るので、本当の正念場は2021年春以降の臨時ダイヤなのかもしれない。
一部雑誌では「幕張のE257系500番台を東海道線方面に転属させる」と言う事が書かれた。それなりの裏付けを持った情報のはずなので、誤りの可能性は低い。房総方面では特急が減少しているので、余っている車両が多いように見える。
★まとめ
①車両については185系→E257系に変更出来る状況。受け入れ側のJR東海も関係者の訓練を行って、取り扱い方法を習熟させれば、問題なく乗り入れが可能。そのため「E257系になったのでJR東海管内は入れない」と言う事は考えにくい。
②「ムーンライトながら」の存続ポイントは、ズバリ「客数」。
今でも一定数の客がいるし、満席で運転する日も多い(2019年夏の実績)。混雑する日だけ「ムーンライトながら」を運転して、空席が少しでも発生する日は運転しないと言う方針なのだろう。「ムーンライトながら」については、元々から客単価が低い割には経費が掛かる列車として知られているため、損益分岐点は「乗車率8割」とも言われている。JRの列車の中では異例の高さだ。(一般的には6割と言われている)。
青春18きっぷ利用可能期間中、毎日満席にするほどのお客が期待出来ないと、運転日数を増やす事は考えにくい。
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