【知られざる内部へ潜入!211系が交番検査中】静シス(JR東海静岡車両区)見る
もくじ
★知られざる静シス内部に潜入!
【訪問日】2018年5月19日(土)
【さわやかウォーキングのタイトル】「~静岡プレDC記念~集まれ鉄道大好き!体験”静岡車両区”と”トレインフェスタ2018”」
【設定上のコース】静岡駅南口(JR東海静岡支社建物前)から海に向かって「石田街道」を道なりに→約2,5キロ歩き縄文時代の史跡が残る「登呂遺跡」→駿河区小鹿・池田地区を通り東静岡駅(CA16)近くへ→静岡車両区(静シス)の中を見学→東海道線の北側(国道1号線等)を通る→静岡鉄道長沼車庫も同時に一般開放→東静岡駅を通り抜けてグランシップ(ホール等がある大型文化施設)で開催の「トレインフェスタ」を見学→グランシップ芝生広場のど真ん中がゴール(目安は約9キロ、2時間30分)
【実際に歩いたコース】登呂遺跡→路線バス→静岡駅→432M(静岡10:33発)→東静岡駅→静シスへ
いよいよ静シスへ! 432Mで1駅進み東静岡へ。先発の9512M「トレインフェスタ2号」は既に消えていた。東静岡は単純な島式1面2線しかないホームなので、9512Mが入線していれば432Mはそもそも東静岡に入る事は出来ない。
9512Mに乗っていたお客は全員すぐに下車して、すぐに回送された。回送先は1駅進んだ草薙(CA15)で、ホームに面していない中線で折り返して静シスへ戻ったはずだ。
気になったのが、9512M乗車のお客は静シスに入る事が出来る権利があったのか?と言う事。そもそもさわやかウォーキングに参加していないので、入場に必要なコースマップはもらっていないはずだ。ひょっとしたら、9512M乗車のお客専用の静シスへ入れるための入場証の配布があったかもしれないが、それにしても9512Mに乗車した静シスへ入場不可なのもおかしな話だ。
東静岡駅ホームは、「★」マークを着けた幹部(主に助役)が何人もいた。普段は「★★★」の幹部は現場ではなかなか見られないが、この日はすれ違う人の2/3くらいは”★3つ”と極めて珍しい光景。 東静岡は業務委託駅(子会社の東海交通事業が受託)なので、「★★★」の制服を着た人はどこかの駅や運輸区等のその他現行機関から臨時に派遣されたのであろう。
改札口を出て左に。長い連絡通路を歩く。真下は新幹線が高速で通過する。新幹線の線路沿いを道なりに進み、大型商業施設「マークイズ静岡」の横を通り過ぎる。このマークイズ静岡の裏手側は静シスの敷地内で、普段は道路から定期的な検査をしている模様を一部だが見る事が出来る。 国道1号線に出て、静岡鉄道線と並走。近くにあるのが柚木駅(S05)。駅を越えずに頑丈そうな正門が見えてきた。これが静シスの入口だ。

↑静シスの中は一方通行のコースとなっていた。正門を通って右側にあるのが入場口。ここでさわやかウォーキングのコースマップを提示。「印」をもらって入場が認められた。

「どんな時でも”安全最優先”の行動をしよう」
このような労働スローガンは鉄道会社の車両整備工場では掲げられている事が多いが、JR東海は特にこの存在が目立つような気がするのは私だけだろうか?
この翌日に行った京急の車両整備工場では、ある事にはあったがそこまで目立つ存在ではなかった。

↑動輪。記念撮影場所で、「静岡車両区見学記念 さわやかウォーキング 平成30年5月19日」とあった。
だが、この動輪の前で記念撮影や”自撮り”する人は誰もいなかったが。

↑車掌が扱うドアの開閉スイッチ。恐らく211系のタイプであろう。右側には383系となっているが、すなわち半自動ドア扱い出来ないタイプである。
下が「開」ボタン。上が「閉」ボタン。車掌は駅到着後にカギ(通称忍び錠)で切→入に回して、「開」ボタンを押す。なお半自動ドア扱いできるならば「半自動」と言うカギの場所が設定されている。
ドアを閉める時は「閉」を押すが、駆け込み乗車もあるため「開」の位置にも指を触れている。

↑トレインフェスタの臨時列車はナント!JR東日本も運行していた。485系の「華」が到着。この時点では客扱いは終了し、静シスで整備を受けるための入線。JR東日本が自社の旅行商品「びゅう」で集客し、これを購入したお客だけが乗車出来る、団体臨時列車扱いであった。どうやら横浜支社が中心になって行ったらしい。

↑これは制輪子(せいりんし)と言われるブレーキ部品。簡単に言えば、回っている車輪を”挟んで”車輪の回転を抑える。ディスクブレーキとも言われる。

↑電車が走る仕組み。簡単に言えば、パンタグラフから燃料である電気を架線から得て、それを床下にあるモーターを回す事で電車が動くと言う事だ。

↑パンタグラフ。JR東海がシングルアームパンタグラフを開発して実用化したと言う事は、広く知られていない。写真左に写っているバネを活用する事で、わずかな力でパンタグラフを上昇させる事が可能。下降させる事も容易で、写真がその状態。折り畳みが可能で、今やJR東海の電車では昔ながら「ひし形パンタグラフ」は見かけない。


↑静シスの説明パネル。車両の清掃業務等の一部は子会社の東海整備(株)に委託している。JR他社では多くが関連会社に委託している事が多く、恐らく静シスも細かな所についてはそうなのだろうと思う。見た限りは自社で整備している比率が高いようにも見えた。


↑静シス構内の線路を渡る。この日は一般公開日なので列車が通る事はないが、普段は頻繁に整備を受ける列車が通る線路だ。
★普段乗っている313系の床下を見学。茶色い粉が大量に付着したフタを開けると・・・

↑検修庫の中に入ると、「クハ312-2327」と言う車番と「東田子の浦」の側面サボがデカデカと見えてきた。

↑313系2600番台N1編成が入場中で、記念撮影できるスペースを設置。写真撮影の補助や説明のために、静シス関係者が数人常駐。
サボは「団体 東田子の浦」となっていた。普段だと、なかなか見る事が出来ない。営業列車でも東田子の浦行きは存在しない。存在しない行先がサボに収録されている事もあって、この車両ならば・・・
下曽我、松田、駿河小山、下土狩、函南、東田子の浦、吉原、富士宮、内船、東花輪、南甲府、蒲原、由比、用宗、金谷、愛野、舞阪、弁天島・・・等あるだろう。あくまでも私の憶測だが。

↑検修庫はご覧の通り。完全に一方通行で後戻りできない。

↑台車と車輪。こんなに近くから見る事は、普段ならばありえないことだ。

↑コンプレッサー。ドア開閉操作、ブレーキ等は今やエアー(空気)で動かす事が多い。それを作っている機械で、これがないと動く事が出来ない。

↑モハ313-2601の様子。


↑モハ313-2601のブレーキ装置。本来はフタに隠されているので、素人目ではそれであることがわからないが、フタを開けるとご覧の通り。複雑な電気回路によって構成されており、当然だが基本的な事は運転士は知らないといけない。

↑本来はこのようなフタで隠されている(写真はクモハ313-2601)。茶色い粉のようなものがビッシリと付いているが、これは線路から削れた粉が走行中に巻き上げられるため。

↑クモハ313-2601の様子。サボが点灯し、車内灯も点いている。「入」は架線に電気が通っている証拠だ。なお、この時は車内入る事は出来なかった。


↑検修庫の様子。この部分は立入禁止。いろんな工具が置いてある。
★前代未聞!211系6000番台GG4編成が交番検査中。「本当の検査中」を見せてくれた!

↑313系の先に止まっていたのは、211系5050・6000番台の2両GG4編成。 ここでやっていたのは、「交番検査」であった。 具体的には、運転室ではマスコンが正常に作動するか?メーターが正常に作動するか?、車内ではドアが開閉するか?照明が”球切れ”を起こしていないか?破損個所がないか?等々多岐にわたる。 交番検査は4人で1日かかる内容との事。
これは90日に一度定期的に点検しないといけない部分をまさに本当にやっているのだ。これはお客に見せるための「実演」ではなくて、本当の検査中なのだ。
数人の作業員が作業中であったが、本当の検査中なので「声はかけないように」の断りが出ている。質問等があれば、外の専用ブースで受け付けるとの事。 いろんな鉄道会社の車両整備工場を見てきたが、「本当の検査中」と言うのは初めてであった。こんな所まで見せてくれるのか!と思ったが、恐らくGG4編成が偶然この日交番検査となって、一般公開と重なったため、見せていたようだ。

↑作業員が車輪をハンマーで叩く。「打音検査」と言う。ボルトがしっかりと締まっているか?確認するもので、高い音=ボルトが締まっている、鈍い音=ボルトが締まっていない事を示す。
これはバスでも行われており、子会社のJR東海バスの高速バスが休憩地で運転士が打音検査しているが、それはお客に対して安心感を与えるとともに、バスや鉄道では基本中の基本とも言える内容の点検である。

↑右側の赤い旗は「移動禁止」を示す。



↑グランドスイッチ。これは検査中電気を切る必要があるため、電気を切るための装置である。これも基本中の基本だが、鉄道車両の検査は電気を切る事になっていて、最も最初に確認する事が電気が入っているか?切っているか?である。仮に電気が入ったまま検査すると感電する可能性が高いので極めて危険だ。


↑主制御器。運転士がマスコン操作した際に、最初に伝達されるのがこの部分。運転士が力行(アクセル)投入したら、主制御器からモーターに対して回転数を増やし、モーターの力を車輪に伝えることで、列車が走る。まさに列車内の”司令塔”とも言える部分である。

↑バッテリー。今まで知らなかったが、列車にもバッテリーが搭載されているとは。これはパンタグラフの上昇や停電時の非常電源として活用。211系の場合100ボルト(一般的な自動車は12ボルト、トラック等の大型車では24ボルト)もあると言う。

↑これが211系交番検査中の全体の様子。サボはなぜか「熱海」。サボも点検しているはずで、JR北海道で先日ニセモノのサボが設置されている事件があったが、そのような事がないか?の点検もあるだろう。
幕式ではどうしても”黒いすす”が付着してしまうが、交番検査では取り外して掃除する事はしないようで、それは全般検査(4年に1回、車検)の時になるのだろう。

↑外に出ると、313系2500番台T11編成。ありえないサボ(ワンマン快速山北)を出していた。この車両は車内収受式のワンマンには対応していない。この場合のワンマンは、駅では運賃をいただく形となる。T編成は普段は御殿場以東の入線は存在しない。

↑211系GG5編成(左)、373系F7編成(右、トレインフェスタ号のサボ)も。これは単に展示で、車内に入る事は出来なかった。この付近では簡易な休憩所や物販コーナーがあった。
・・・静シスを見せてくれることはほとんどない。「毎年見せてくれる」と言うわけではないのが、他社との決定的な違い。初めて静シス内部に入ったが、検修するスペースは意外にコンパクトで、基本的には車庫として機能しているように見えた。
この後は、静岡鉄道長沼車庫を見学し、グランシップでゴール印をもらった。トレインフェスタは模型や物販中心で、個人的にはあまり興味がなかったので、立ち寄る事なくそのまま終わってしまった。
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