【気仙沼線BRT大谷海岸→陸前階上→前谷地】東日本大震災で被災した鉄道を見る⑩
もくじ
★津波で破壊されたホーム、線路が手つかずのまま残っている大谷海岸
【訪問日】2018年1月4日(木)
【場所】大谷海岸駅

↑気仙沼からのBRTは本吉止まりのため、石巻線方面へ進む事が出来ない。本吉で下車しても良かったが、駅から直接海岸線が見られるらしい事を知っていた大谷海岸で下車した。
国道45号沿いにバス停があって、立派な小屋も。ミヤコーバスの路線バスのバス停もあるので、供用のようだ。道の駅と併設しており、駐車しているクルマも多数。

↑道の駅の奥が海岸線。一見すると防波堤のように見えるが・・・



↑ナント!ホームと線路が残されていた。これこそが鉄道時代の大谷海岸駅であった。列車交換は出来ないらしい。



↑線路に降りてみた。列車は来ない。ホームも破壊されており、何年も列車が通っていないので線路も腐っている。 東日本大震災の津波では大谷海岸駅と周辺を直撃。14時46分の地震から約40分後の15時23分に津波が襲来し高さは20メートルもあったという。津波から逃げきれず亡くなった人が多数居ると、大谷海岸駅近くの高台にある石碑は伝える。 BRTとして気仙沼線は一応は復旧している。だが、今後の津波対策を考えると国道以上に海岸線に近い所を通るのは良くないのではないか? 震災で破壊されたまま。手つかずの状況であるが、これがそのまま残るのか?被災した鉄道として「被災鉄道」をそのまま後世に伝えようとしているのだろうか?
★ホーム、跨線橋、駅舎がそのまま残る陸前階上
【便名】大谷海岸16:04→陸前階上16:09
【車両】観光型車両「旅」(ナンバープレート未確認)


やってきたのは、観光型車両「旅」と称する緑色の塗装。座席の向きが後ろ側はロングシートとなっており、天窓も。時刻表にも観光型車両「旅」で運行する旨が記載されており、どの便が該当するのか見つけるのも容易である。
しかし、一般的な路線バスは改造したものに過ぎないため、トイレが設置されているわけではないし、座席がリクライニングするわけでもない。




↑陸前階上で下車。ここは専用道区間で、鉄道時代のホーム、跨線橋、駅舎までもが残っている駅だ。1つ手前の大谷海岸は海岸沿いであったが、陸前階上は多少内陸に入った所である。


↑時間が止まったような感じ。立ち入る事は出来ないが、そのまま残っている。今にも列車がやってくるような感じだ。でも現実にはBRTと称する路線バスに切り替わっており、線路も剥がされている。


↑駅舎もそのまま残されている。BRTまではノンステップで乗車する事が出来て、バリアフリーにも完全対応。誰にでも優しい作りの駅である。運行情報を示す画面はBRTのほとんどの駅に設置されており、これから乗車するBRTが今どの辺を走行しているのかすぐにわかる。 1点気になったのが、専用道で事故やトラブルがあって走行出来ない場合は、近くにあるミヤコーバスのバス停に乗車場所を変更すると言う貼り紙もあった。それに変更する機会は少ないと思うが、実際にそうなった事はあったのか?
★途中休憩一切なし!トイレに行きたくても行けない前谷地行きBRT
【便名】陸前階上16:30→前谷地18:32
【車両】宮城200か2224、日野ブルーリボンシティー

↑石巻線の前谷地へ向かうため、上記便に乗車。気仙沼線BRTは区間運転便が多いのが特徴で、気仙沼~本吉は30分/本程度あるが、本吉~柳津は60分/本に半減。一部は志津川止まりがあったり、前谷地までの便もある。柳津駅では鉄道の気仙沼線に乗り換える事も出来るが、この時乗車したのは前谷地まで”通し”のBRTであった。
乗車時間が長くなるので、陸前階上でトイレを済ませておく。何回も書いているがBRTにはトイレがない。高速バスのように途中でトイレ休憩と言うものも存在しない。途中でトイレに行きたくなったが、行きたくても行けない。ウワサによれば運転士に申し出ればトイレがある駅で停車してもらえるそうだが、他の人の迷惑になるので我慢した。 気仙沼~前谷地では”通し”で2時間30分もかかる。
高速バスならこれだけの運行時間あれば休憩は当たり前のようにある。しかし、BRTには休憩がない。運転士の交代もない。トイレに行きたいお客は絶対にいるので、1時間程度走行した場所(本吉、志津川、柳津等)でトイレ休憩5~10分程度ダイヤに反映させるべきである。それがダイヤに反映できないならば、トイレ付車両を用意するべきである。
小金沢~本吉も専用道。専用道は”ぶつ切り”のようにあって、陸前港~歌津でもあった。トンネルが長い区間もある。BRTの最後尾の座席に座ると寒い。暖房が車内満遍なく暖まらないようで、座席によって暑い・寒いの差が激しい。
南三陸町の中心部、志津川は陸前高田のような構造の駅。コンビニが2店舗あったがそれ以外は広い更地が続く。 宮城県の太平洋側はそんなに雪が降らないイメージであるが、この時は雪が数センチ程度積もっていた。むしろ岩手県の三陸側よりも多い。国道45号は着雪している。
陸前横山は道沿いにBRTの駅。信号も何もない暗い夜道となった。鉄道に接続しないので、柳津での乗降はゼロ。宮城県道21号線を鉄道に沿いながら進む。BRTの場合、柳津~前谷地は無停車。本当に何もない所を進み、小さな街並みとなってくると前谷地に着いた。
いずれにせよ、2時間30分の乗車で休憩なし、トイレなしはいくらなんでもキツい。車両にトイレ設置はハードルが高いが、途中駅でトイレ休憩の設定は容易に出来るわけだから、今すぐにでもダイヤに反映させるべきである。
11回目に続く。
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