【乗る事が出来ないのに】なぜ「ドクターイエロー」は人気なのか?
東海道・山陽新幹線の車体の色は基本的に「白地+青い線」である。


↑車両もほぼ統一されているため、似たような車両しか来ない。山陽新幹線は多少の変化があって、500系、700系、九州直通N700系8両が異なる色合いとなっている。この辺は特に説明しなくても、みなさんはわかるはずだが、特に目立つのがこれ
もくじ
★非営業のドクターイエロー。なぜ人気なのか?




↑これが「新幹線電気軌道総合試験車」、いわゆる「ドクターイエロー」である。形式名は923系(または923形)である。
鉄道ファンならば常識的にわかると思うが、百の位が「9」となる車両は「事業用」である。つまり、旅客輸送・貨物輸送をやらない車両と最初から宣言しているのだ。
何のための鉄道車両なのか?と言うと、正式名の通り新幹線の架線や線路の状態をチェックするための車両である。ドクターイエローを旅客列車と同じように走らせて、架線や線路に異常がないか走りながら「数値」を取得する事が出来る。この「数値」を参考に、「東京起点○○○キロの線路が××ミリ軌道狂いがあるので、適正に修正せよ」と言う指示が作業現場に飛んできて、後日に作業するのである。つまり人に例えれば「健康診断」なのだ。
ドクターイエローのダイヤは公表していない。そもそもお客が使うわけではないので公表する必要がないのだ。しかし、ネット上では過去の実績や「新幹線の健康診断の周期」を考えて、「今日は○時○分に走る」と言う事を”予想”して掲載しているホームページが多数ある。
「新幹線の健康診断の周期」とは、概ね10日に1回程度はドクターイエローを走らせて、架線や線路に異常がないか定期的にチェックしているのだ。東海道新幹線は1日に300本の列車が走行しており、しかも285km/h運転が多いので、本数が多く+速度が多い=架線や線路の劣化も速いことになる。劣化を見逃すと事故や臨時作業等の重大な輸送障害につながるため、定期的にドクターイエローを走らせているのだ。
ドクターイエローは、「のぞみ」・「ひかり」・「こだま」のダイヤに似たスジを設けており、「のぞみ」のスジの場合ドクターイエローの運転がない日は、旅客列車の「のぞみ」の臨時が入る事もある。
ドクターイエローの内部は原則として企業秘密となっている。検測装置等は「新幹線技術の結晶」の塊で、車両自体は700系ベースなので古くはなっているが、検測装置自体は定期的に新型に置き換わっており、新技術も積極的に導入している。
では、なぜドクターイエローが人気なのか?
乗る事が出来ないし、企業秘密だらけで車内がどうなっているか?よくわかっていないのに、ドクターイエローが現れれば人が殺到する。黄色=幸福を示すので、俗に「幸せの新幹線」とも称するが、それは「偶然見られたこと」と言う意味合いが強い。
変な話、ドクターイエローのスジを把握したり、新幹線線路際にずっと居れば(住んでいれば)、頻繁に見られるので、意外と珍しい存在ではない。

↑もし、黄色一色であれば、岡山地区の115系はほとんどそれだし、「岡山の在来線は黄色い幸せな電車だらけ」なので、「幸せな電車」と言う広い意味で見れば、ドクターイエローと大きくは変わらない。なのに、「岡山の電車を見れば幸せになれる」なんて聴いた事がない。ドクターイエローほど人気とも言えない。
私としては、「ドクターイエロー=単なる検査用車両」と”正統派な解釈”をしている。在来線ならば「ドクター東海」のようなものと同じ存在にすぎないのだ。偶然見られたら嬉しいが、わざわざドクターイエローを見に行くために、スジを調べてまでも行こうとはしない。あくまでも、「偶然見られたらそれで良いでしょう」で終わっているのだ。
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