【新静岡→柚木・1007編成最終運転列車に乗る】静岡鉄道1000形1007編成最後の日とA3000形A3005・A3006編成最初の日⑦
【訪問日】2019年3月9日(土)
【時刻】新静岡(S01)18:17→柚木(S05)18:21(臨時普通柚木行き)
【車両】1000形1007編成
【備考】当該車両の現役最終運転列車
★1007編成の最終運転列車に乗る
新静岡駅では1000形1007編成が3番のりばに止まったままであった。

↑ホームには、こんなホワイトボードがあった。同業者(鉄道ファン)は撮影したり、車内でグッズ販売も継続していたため、これを求めている。それに対して一般客は多くが1・2番のりば発の先発列車に乗るが、一部は1007編成が先発列車と誤解する人も。駅の雰囲気やホーム上で時々流れる放送を聴いて、慌てて1・2番のりばに向かう。

↑1枚だけ3番のりばに止まる1007編成を撮影しておく。車内は解放されたままなので、着席して待っているのも悪くないと思って、クハ1507の座席に着席。ドアは開いたままで、窓の上部も開いたままなので、そのまま冷気が入る。車内に居ても体感温度的にはホーム上と変わらない。
車内は私のように着席して発車を待つ同業者、毎度恒例のように「鉄道ウンチク話」を披露している同業者の集団などなど。日頃から静鉄に乗って思うのが、「熱心なファンがいないのでは?」と。確かに他県(静岡県外)からの遠征組も多いが、若い鉄道ファンが「単なるイベントして」軽く扱われている感じが、何か不満である。もちろん、静岡在住で長年静鉄のヘビーユーザーで、私のような”本家本元の静鉄ファン”も少なからずいた。この場合年齢層は高めになるが。
発車直前まで、これと言った「儀式」は存在しない。単に駅放送で「1007編成がラストラン」と言う事を繰り返すだけ。駅長や偉い人が出てテープカットみたいな大げさなものはない。あくまでも「長沼車庫へ戻すための臨時列車」と言う形で、客扱いしているに過ぎない。これがJRだったら客扱いはしないで、そのまま「回送」(「廃車回送」と言う場合もある)となる事がほとんど。
通常のダイヤでは、18:14発と18:20発の間に柚木行きとして挿入するため、柚木到着後は即座にお客には降りてもらって、すぐに発車。回送で長沼車庫へ入庫と言う流れだ。これで43年間の歴史に幕を閉じることになる。
ところで、「長沼車庫へ入庫するんだから長沼まで営業したら良いのではないか」と思うかもしれない。しかし、それは構造的に不可能である。なぜならば、長沼駅まで営業した場合、一旦新静岡方面へ後退して長沼車庫へ入庫する配線のため、過密ダイヤの静鉄線では早朝や深夜でないと出来ない。客扱いを柚木まで行い、柚木から回送にすればそのまま長沼車庫へ入庫できるため、運転上は都合が良いのだ。
18:15になって、「臨時普通列車柚木まもなく発車します」と放送。「1007編成ラストラン」と言う事も多少言っていたが、特別強調する事はない。運転士も普段通り1人だけ。車内販売員以外に静鉄関係者が数人乗務するが、これはお客を誘導するためで、実質的には車掌の役割であった。
日吉町、音羽町、春日町・・・と淡々と停車と発車を繰り返す。車内放送はあくまでも「普段通り」。「特別強調する事、飾る事はやらない」。静鉄は駅間が短い。沿線の店舗や企業等の広告も放送するため、普段から黙っている時間の方が短い。
最後の1区間は、自動放送が発車直後から到着直前までしゃべり続けた。どこにも「1007編成はこれで運転終了」と言う言葉を挿入する場所は、どこにもない。
「新清水方面はお乗り換えください」と言う聴きなれない内容も。よく考えてみると、新静岡行き、新清水行き、平日朝に運転している県総合運動場前行き以外の行き先の列車には乗った事がない事に気付く。県総合運動場前行き列車は平日の極一部で、乗車する機会も少ない。ほとんどが新静岡行き、新清水行きなので、聴きなれなくて当然である。

↑柚木に到着。同業者は一斉に下車。クハ1507の先頭部分で「撮影会」に。

↑下車が終了しドアが閉まった。この時点で43年の歴史が終了する。


↑すぐに発車。
↑同業者からは「ありがとう!」の声がホームのあちらこちらから飛んできた。
すぐに新清水行きが到着。これに乗って長沼へ追いかけて、長沼車庫入庫時点の所を撮影する同業者も多かったようだ。
最後は本当に「普段通り」。特に飾った事をしないと言うのは、静岡の県民性なのか?静鉄の方針なのか?その辺はわからない。私としては「これで良かった」のだと思う。
静鉄は1000形が1編成引退するたびに、このようなラストランイベントを実施しているため、他の編成に対しても同じ事をやるだろう。1011編成の「ちびまるこ」については、後継となるA3000形も出るだろうから「引き継ぎ式」も行うかもしれない。
1編成ずつにラストランイベントをやる鉄道会社は、JR・大手私鉄ではありえない事で、地域密着を謳う地方私鉄ならではで、長年静岡・清水で生きてきた静鉄だからこそ出来る、ある意味では「お客様感謝イベント」の一環とも感じた。
静鉄1000形、1編成ごとにお別れイベントやるのは素晴らしいです。