【313系の日】似ているようで微妙に違う!313系の見分け方
もくじ
★似ているようで微妙に違う313系
今日3月13日は「313系の日」である。
313系はJR東海在来線電化路線全線で活躍している電車で、1999年以降今に至るまで製造が続いている。
基本的な作りは大きく変えていないが、部分的な改良や投入路線に応じて車内の作りを変える等の「微妙な違い」が目立つ車両でもある。
知っている人であれば「313系の微妙な違い」はわかるが、知らない人に言わせれば「全く同じ車両」にしか見えない。
似ているようで実は微妙に違う313系は、どこがどのように微妙に違うのか?
【東海道線静岡地区(熱海~豊橋)】
静岡支社の担当路線は東海道線の熱海~豊橋、御殿場線、身延線。
全線で313系が運転されており、全て静岡車両区(静シス)の所属だ。沼津、富士、浜松にも広い車庫があるが、これは一時的に車両を置く場所に過ぎず、車両配置はない。

↑2500番台T9編成

↑T9編成のクハ312-2318
静岡地区の313系は大きく区分して、ロングシートの2000番台とセミクロスシート(ボックスシート)の3000番台に分かれる。
2000番台ではさらに4つに分かれる。
◆2300番台(2両)=W3~W9編成で、発電ブレーキを搭載。これは御殿場線の急勾配線区に対応した装備で、急勾配における制動力を向上。ワンマン運転には対応していない。将来的にワンマン運転するかもしれないので、整理券発行機と運賃表が設置できるように準備されている。
◆2350番台(2両)W1~W2編成のみ。2300番台と同じ装備を搭載するが、異なるのはクモハ313形にパンタグラフ2基を搭載し霜取りで使用される。
W編成は静岡地区全線で運用されており、東海道線では211系や後術する2500番台等の”増結用”となる。
◆2500番台(3両)T1~T17編成。2000番台グループの最も基本的な車両。クハ312形は発電ブレーキ搭載車と同一仕様に近いので、2300番台となる。暖かい場所、勾配がない路線向けで、113系を置き換えた形だ。
ドア間の座席数は10席で、車端部は4席としているため、座席数が少ない。ドア間の座席には3~4席ごとに縦長のポールが立っている。
床を見ると、座席部分は薄いグレーで配色されているのに対して、立部分は濃いグレーで配色する事で、明確に「着席するスペース」「立つスペース」をわかりやすくしている。
営業範囲は東海道線が原則で、主力車両だ。6両で運転する場合、T編成2本を併結する事はなく、必ず211系と併結する。
極一部の列車が御殿場線沼津~御殿場に入る程度だ。
◆2600番台(3両)N1~N10編成。基本的な装備はW編成に準じる。寒い場所、勾配がある路線向けで、115系を置き換えた形だ。
ワンマン設備はないため、身延線、御殿場線でも車掌が乗務する。
静岡地区全線で営業しており、やはり東海道線で6両で運転する場合211系と必ず併結する。
・・・2000番台のクハ312形は複雑だ。
クハ312-2301はどの編成に連結されているか?
普通に考えれば、W1編成となるが、同編成は2350番台と特殊な車両。
2300番台の事実上のトップ編成であるW3編成が起点で、W9編成まで順番通りに振る。(W9編成がクハ312-2307)
同2308がW1編成、すなわち2350番台になって、次の同2309がW2編成。
同2310からはT1編成から順番に振る。T17編成が同2326になる。
そして、同2327からはN1編成からやはり順番通りに振り、最後(N10編成)が同2336となる。
私は普段から静岡地区の2000番台に乗るが、単に編成番号やクハ312形の番号を見ただけでは、「これがどの編成の所属か?」または「この編成のクハ312形は何番か?」すぐに出て来ない。
この記事を書いていて、初めて知った次第である。

↑3000番台(静岡のV8編成)

↑3100番台(静岡のV13編成)
◆3000番台・3100番台(いずれも2両)は主に身延線・御殿場線で運用。両線で列車番号のアルファベットに「G」が付く場合はワンマン列車で、ワンマン設備が搭載されているため必ずこの車両で運転する。車内はボックス席搭載のセミクロスシートになっている。
3000番台がV1~V12編成、3100番台がV13~V14編成。
両者一体的に運用。3100番台は2006年に登場した車両で3000番台の増備車の位置付けのため搭載設備はこれとほぼ同じだ。
登場から10年経過したが、今まで見る事はあってもなかなか乗車する事が出来ず、つい最近やっと初めて乗る事が出来た。
静岡車両区に整備の関係で入庫するため、静岡~沼津で東海道線の営業列車として毎日1往復程度走っている。この場合は2500番台・2600番台との併結になっている。
【飯田線】


↑こちらも3000番台。静岡地区の3000番台と何が違うか?と言うと所属場所だ。
元々は中央西線の中津川~塩尻~松本、関西線で運転していたが、2012年に全て飯田線に移籍。現在は飯田線全線とJR東日本との直通運転も実施しており、中央東線の茅野~岡谷~辰野である。
搭載設備は静岡地区と全く同じで、静岡のV編成は・・・
クモハ313形が3001~3012
クハ312形が3001~3012
飯田線では・・・
クモハ313形が3013~3028
クハ312形が3013~3028
と”続番である。
R101~R116編成で、大垣車両区(海カキ)の所属。極まれに豊橋~大垣の東海道線で運用に就く事もあるらしい。
大垣に入庫する際には同区間は回送になる事もあり、119系時代から変わらない。
飯田線南部(豊橋~中部天竜)では列車番号に「G」が付けばやはりワンマン列車で、この車両で運転する。
但し同線北部(天竜峡~辰野)にも一部でワンマンが存在するが、列車番号は「M」のままである。



↑飯田線専用なのが1700番台。
神領車両区(海シン)の所属で、B151~B153編成の3本。
B151~B153編成は中央西線で営業に就く事はなく、豊橋運輸区常駐でもっぱら飯田線と直通先のJR東日本中央東線と篠ノ井線になる。
整備は神領で行うため、車両の入れ替えは豊橋~神領を回送する。
1700番台導入経緯は静岡にあった115系を置き換えるためで、当時は長野行きの快速「みすず」として充てるためだった。
装備は他の番台と大きく異なるのが微妙なと言うか、大きな違いだ。
具体的には、押しボタン式の半自動ドア、霜取り用にパンタグラフを1両に2基搭載、発電ブレーキ搭載、急勾配対策で砂撒き装置、除雪機・・・とかなりの”重装備”である。
車内は、写真のように転換クロシートになっており、ドア付近はボックス、車端部はロングシートだ。
ワンマン運転に他は対応していないため、必ず車掌が乗務する。飯田線では足の長い列車で運用される事が多く、544M(上諏訪9:22~豊橋16:16)や216M(松本12:39~飯田15:49/元々の長野発の快速みすず、いずれもダイヤは2019年3月16日以降)等で乗る事が出来る。
【中央西線・関西線・武豊線】
中央西線の運転は中津川より南側と北側では大きく異なる。
南側は名古屋都市圏のため、運転本数が多く313系の中では最も種類が多い。
一方で北側は特急「しなの」の通過本数は多いが、普通列車はワンマンが主体。私は3000番台時代に乗った事があるが、数年前から走る1300番台は一度も乗った事がない。

↑1000番台(神領のB103編成)
車内は転換クロスシートが基本であるが、東海道線(名古屋地区)と異なるのは、車端部はロングシートになっている事。
初期に登場したグループで、後術する東海道線の0番台・300番台とほぼ同じである。
4両が1000番台(B1~B3編成)、3両が1500番台(B101~B103編成)の2種類存在する。
クハ312形の1(クハ312-1)はB1編成に連結されており、B101編成ではクハ312-4となる。
クハ312-7以降は東海道線の0番台Y1編成から順番に連結している。
運用範囲は、中央西線、愛知環状鉄道線、武豊線(1000番台のみ)、関西線(1500番台のみ)となっている。

↑1100番台(4両/写真)・1600番台(3両)は2006年に登場したグループで、1000番台・1500番台の後継で、車両性能もこれに準じる。
編成番号は”続番で、1100番台がB4~B5編成、1600番台がB104~B107編成である。
1100番台には2011年に登場したグループも存在し、ほとんどは後術する東海道線であるが、中央西線にはB6編成が唯一だ。
クハ312形は400番台になっており、クハ312-401がB4編成から、クハ312-403がB104編成から連結。
クハ312-407が飯田線のB151編成から、クハ312-410が東海道線1100番台大垣所属のJ1編成から連結する。
クハ312は複雑なので、区別する事が大変だ。
乗った事がないのが1300番台。(1100番台も乗った事がない)
2両で組成されており、ワンマン運転に対応。運賃表示機や半自動ドアボタンも搭載し、キハ25系と同一品になっている事、JR東海で初めて液晶タイプの運賃表示機を導入。
編成番号はB401~B408、B501~516、B517~B524の3種類が存在する。
B401~B408編成は登場時ワンマン運転に対応していなかったが、後になってそれに対応するように改造された。
B500番台編成は登場時からワンマン運転に対応しているが、B501~B516編成は2011年に登場したグループ、B517~B524編成は2014年に登場したグループ。
2014年に登場したグループは若干仕様変更があり、車内照明はLED等にしている。
全て神領車両区の所属で、運用範囲は1000・1500番台に準じるが、1300番台はワンマン運転に対応しているため、中津川以北、関西線、武豊線が中心だ。
車両番号はB401編成がクモハ313-1301+クハ312-1301を基準に、編成が異なっても”続番”となっている。


↑313系で最も特殊なのが8500番台。
JRの番台区分で「8000」と言うのは特別仕様車、他社所属で使用する事が多い。313系の場合は前者で、1999年の登場時から名古屋~中津川の有料列車「セントラルライナー」専用であった。
3ドアではあるが、「セントラルライナー」で運用される際は、中央のドアを閉め切りにして、車端部以外は全ての座席が転換クロスシートになり、他番台よりもシートピッチが拡大。
車端部は固定クロスシート(=ボックス席、373系のこの部分にもあるセミコンパートメントと同じでテーブルもある)。
全員着席が前提だったので、マクラギ方向に対してLED式の案内装置(次駅等の表示)がある事も特徴だ。
3両×6本(B201~B206編成)あり、当初は4編成しか登場しなかったが、「セントラルライナー」が好評により2編成増やされた。
しかし、313系は素人目で見ると番台区分が細かく違うとは言え、「同じようにしか見えない」車両だ。
だから、「快速や普通はライナー券不要なのに、セントラルライナーにはライナー券が必要なのか?しかも、多治見~中津川のみの乗車では不要で良いのか?」と言う事に最後まで理解を得られなかったと思う。
「セントラルライナー」は名古屋~多治見の1区間でも乗車するとライナー券310円が必要であった。
さらに、間合い運用でライナー券不要の単なる快速や普通で運用する事もあったので、”310円支払う価値”が段々とあいまいなものになってきた。
ライナー券支払いを嫌がって、「セントラルライナー」には乗車せず、次発以降の快速や普通に乗るお客も増えてきたため、2013年春のダイヤ改正で「セントラルライナー」を廃止。
以後、8000番台は名古屋~中津川の快速(通称「中津川快速」)を中心に運用されており、他線区では臨時列車として営業する事が多い。意外と入線実績の多い路線も多く、武豊線、飯田線、東海道線静岡地区でも走った事がある。
【東海道線名古屋地区(豊橋~米原)



↑0番台(Y6編成、4両)。313系で最初に登場したグループの1つ。東海道線静岡~米原で運用されて、特別快速から普通まで多種多様な列車を担当。登場から20年が経過するが「古くなった」と感じない。

↑300番台は2両単独で営業する事は少ない。東海道線では0番台や5000番台の”増結用”と言う位置付け。豊橋発大垣行きの特別快速として、西小坂井を猛スピードで通過。

↑これは余談だが、311系も東海道線で活躍中。新快速の運用に入る事もあるが、2019年3月16日以降のダイヤではどうなるか不明。


↑0・300番台の車内。(写真は0番台Y4編成のクハ312-10)
ドア付近の座席はボックス形状になる事が特徴。JR西日本の転換クロスシート車で見られる簡易座席(ジャンプシートとも言う。ドア付近の折り畳み式座席)は一切搭載されていない。
0番台・300番台は1999年に登場したグループ。
1000番台等の違いは、車端部を含めて転換クロスシートになっている事だ。
しかし、ドア付近はボックス形状になるため、実際には約半分の座席がそれになってしまう。
ワンマン運転は全く考慮されていないため、当然ながら運賃表示機や整理券発行機はなく、ドア開閉用の押しボタンもない。
車内の保温効果を高める際に使用するのは、静岡地区の2000番台と同じく、2/3閉め切りである。
運用範囲は0番台が東海道線の静岡~米原と武豊線、300番台が同線の掛川~米原となっている。
両者とも基本的な仕様や車両性能は同じで、違いは単に両数。
300番台は0番台の「増結用」の位置付けで、飯田線(新城以南)を除き単独で運転する事はない。必ず0番台や5000番台と連結するため、東海道線で6両や8両だと300番台(または5300番台)に乗れる機会が増える。
0番台はY1~Y15編成、300番台がY31~Y46編成。
クハ312形は0番台は前述のとおり、300番台がクハ312-301から番号通りに振られており他線区への配置はない。

↑東海道線にも1300番台の配置がある。
J編成と称し、J1~J7編成が2011年に登場したグループ、J8~J10編成が2014年に登場したグループである。写真はJ3編成である。基本的な仕様は神領の車両と同じであるが、私は静岡地区で1回か2回乗った事があり、車端部がロングシートになっているような気がした。なお大垣の車両は1日1往復だけ静岡~掛川にも乗り入れる。
基本的には豊橋~岐阜の普通列車として運転されており、一部で新快速等の快速列車で運転される。
乗り入れ範囲自体は静岡~米原となっており、実際の運用は0番台と共通化されているらしい。
5000番台の大きな特徴は、座席が「オール転換クロスシート」。全ての座席で転換するため、ボックス形状になる事はない。当然ロングシートもない。
また黄色くなっている部分は優先座席で、神戸方(西側)の車端部付近に設置。0・5000番台の転クロ車ではシートカバーのみ黄色で、座席モケットは青のまま。それに対して静岡地区の2000番台は一部車両でモケットも黄色に変更している違いがみられる。
東海道線の主力車両であり、313系の象徴とも言えるのが5000番台。現在17編成あって、特別快速、新快速、快速では乗車出来るチャンスが高い。もちろん普通でも運用されるが、朝や晩が中心となる。
大きな特徴は新幹線にも搭載されている、「セミアクティブサスペンション」や「車体間タンパ」がある事。313系でもこの番台だけのもので、乗り心地が大幅に向上。
揺れを吸収するため、とにかく「揺れない」。高速走行域(100km/h以上)でも安定した走り心地と乗り心地が実現し、ライバルの名鉄にはない高レベルな車両である。
2006年に登場したグループは5000番台がY101~Y112編成である。
5300番台はZ1編成(増結用の2両)と5000番台のY113編成が2010年に登場したグループ。
Z2~Z5編成が2012年に登場したグループで、Z編成の位置づけは5000番台の「増結用」である。車両性能もこれに準じるが、車体間タンパは未登載だ。


↑Y117編成
2012年に登場したグループがY114~Y117編成で、5000番台では最も新しいグループ。基本的な仕様はY101~Y113編成とほぼ同じである。
5000番台は東海道線浜松~米原の新快速等の快速列車で運転する事がほとんどで、間合い運用で普通列車として運転する事もある。
ホームの長さの都合で武豊線には入線する事が出来ない。
クハ312形は、5000番台は単純にY101編成から順番通り(クハ312-5001~)振っている。
それに対して5300番台は”続番”で、Z1編成がクハ312-5318~となっている。
まとめ
最後に、タイトルの通り「似ているようで微妙に違う」のが313系。
番台区分だけでも細かく存在するが、”続番”が多いため数字が枯渇する事態にはなっていない。
車両の数の割には、まだまだ使える数字が多く、4000と6000~7000番は空いている。
バラエティーの豊かさでは、中央西線のB編成や東海道線のJ編成が該当し、編成番号が1つ違うだけで製造年や仕様等が異なる。これはかなりの”差”である。
公表はされていないが、あと数年(2021年頃から?)すれば今度は211系の置き換えになるだろう。その際には新たな313系がさらに増える見込みと私は予想しており、新形式が登場するとは思っていない。
なぜならば、313系は完成度や相当高い車両で、新形式(新型)にする必要がないからだ。
私鉄で言うならば、京急1000形シリーズと共通する所がある。
313系の「微妙な違い」を区別するためにも、みなさんにとってはこの記事を参考にされたい。
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