【安積永盛→磐城棚倉→新白河】水郡線とJRバス関東白棚線に乗車
【乗車日】2017年12月30日(土)
【時刻等】本文参照
【備考】時刻、描写等は全て当時のもの。現在(2019年2月)とは異なる事もある。
もくじ
★新白河でもバスがない!
新白河駅からはJRバス関東の一般路線バス白棚(はくほう)線に乗る事にした。
白河駅から新白河駅を経由し国道289号線に沿いながら水郡線の磐城棚倉(いわきたなくら)駅まで結ぶ路線で、一部は「バス専用道路」を走行する。元々は鉄道であったがバス専用道路に作り変えた。今ではこのような路線を「BRT」と言うが、”元祖”が白棚線である。

↑バス停は新白河駅の駅舎を出て、1・2番のバスのりば。「JRバス関東 白河方面 棚倉方面」と書いた表示が目印だ。見た限りは変哲もない一般的なバス停。本来は禁止であるが、バス停の前に送迎のクルマが多く止まっている事が目立った。

↑しかし、年末年始期間は特別ダイヤで運行。
それによると、13:05発の磐城棚倉駅方面行きは運休。(本来は運行)。次発は14:00発までバスがない。
「えっ~!」と思うしかなかった。2017年に11月に島根県の三江線に乗車した際に、石見川本駅から乗車したいバスが来ず結局乗車を諦める事があったが、同じ事が二度もあるとはショックが大きい。
一応は14:00発のバスを待つ方針にして、新白河駅周辺を歩くが、小雪も降る中で”散策”をする気もなくなり、新白河駅に戻って白河駅方面行きのバスの時刻を覗き込むと、16:31発の便がある事に気付いた。この便は本来は土日祝日運休であるが、下記のルートで進めば乗車可能だと思った。
東北線~安積永盛~水郡線~磐城棚倉~白棚線
・・・で進む事にした。慌てて時刻表を開くと可能と判断。
★車窓がつまらない水郡線

↑新白河12:57発の2137M郡山行きに乗車。クモハ701-1024で、矢吹、須賀川での乗車が目立った。
安積永盛(あさかながもり)で下車。水郡線に乗り換え。水郡線列車は郡山発であるが、安積永盛~郡山の1駅分往復になる事、郡山駅の水郡線ホームは東北線列車が停車する位置から遠いため、乗り換えが楽な安積永盛乗換とした。


↑一応有人駅であるが、改札はやっていないらしく、フリーパス状態。仙台地区のSuicaエリアに組み込まれているが簡易式改札機で対応。
昔からの駅で、いわゆる国鉄配線の2面3線。水郡線・東北線ホームは供用で、水戸方面行き列車は改札前の1番のりばからの発車であった。
【列車番号】328D(常陸大子行き)
【時刻】安積永盛13:50→磐城棚倉14:49
【車両】キハE131-2




↑やってきたのは、水郡線用のキハE130系。ツーマン運行で、ドアの開閉や車内精算と下車駅のきっぷ回収は車掌が行うが、ドアは半自動ドアで首都圏の列車と同じ自動放送が搭載。
座席は基本的にボックス席のみで、進行方向左側が4人掛け、同右側が2人掛け。通路が広く、立ちやすい。むしろ、ロングシートよりも何気に座席数が多く、立つ事が出来るスペースも広いように感じる。
天気予報では晴れとしていたが、実際には曇りがちで風も吹いており、磐城石川付近では雪が降っていた。
水郡線はかなり昔に全て乗車した事があるが、とにかくつまらない車窓。眠くなりやすいので、眠らないように睡魔との戦いである事を覚えているが、それは今回も全く同じであった。
とにかく車窓に変化が少ないのが眠くなる理由だと思う。
「広ーーい北海道みたいな田んぼに大きくユルくカーブする豪華(贅沢)な線形。変化が少ないのでつまらないのではないか」とメモに記した。
部分的な徐行があるがそれでも60~70km/hで、三江線や広島県内の芸備線のように15~30km/hの徐行が慣れてしまうと、むしろ水郡線は”高速徐行”と思ってしまう。
★JR九州の唐池会長思い出の地である磐城棚倉へ。廃墟となったJRバス関東棚倉営業所跡地が磐城棚倉駅の真ん前に。

↑磐城棚倉駅で下車。ホームから連絡橋を渡り改札へ。乗り換え案内にはJRバスに乗れる事が記されている。列車内では特に案内はされていないが、水郡線から白河方面へ行くには白棚線(バス)で行った方が速くて短い。「鉄道の短絡」であり「鉄道の代行」と言う使命を今でも果たしているが、運賃は通算する事が出来ないため、磐城棚倉駅で下車する扱いとなって、白棚線は別途運賃が必要になる。
バス停には、「Suica等の交通系ICカードは使えません」「青春18きっぷは使えません」とあった。現金のみである。


↑駅舎の内部。有人駅で「みどりの窓口」も設置。まさに「昔ながらの駅」である。
自動券売機の左横には、運行情報や時刻表が液晶画面で表示されており、次発で少し遅れが発生していたようで、「6分遅れ」と表示。この液晶画面はJR東日本水戸支社管内で設置している独自の案内表示機のようだ。

↑駅舎。やはり「昔ながらの駅」で今も残っている事がうれしくなる。
特徴なのが、駅前のロータリーが極端に広い事。一部は月極め駐車場になっているが、それ以外はクルマが通る場所。特にセンターラインもない。

↑磐城棚倉駅の真横には、廃墟となった建物。そこにポツリとツバメマークの路線バス。
以前はJRバス関東棚倉営業所があった所だ。2014年に同白河支店に統合された。
「ジェイアールバス関東白河支店」(Wikipedia)
↑この中に2004年に全く同じ場所で撮影された写真が掲載されている。これによると、コインランドリーや待合室(ラーメンが食べられる?)や飲料水の自動販売機が存在し、後ろの大きな建物には「DUNLOP ジェイアールバス関東株式会社」と言う看板も見える。この写真を見る限り営業所がある時はそれなりに栄えていたようにも。
白棚線は歴史がある路線で、バス運行の拠点となったのが棚倉営業所であり、今の白河支店。国鉄時代の1982~1983年にかけて今のJR九州の唐池会長が営業所長を勤めた事があるのは意外に知られていない。国鉄に入社して5~6年目の時点で配属。1年だけであったが、国鉄バスの中では”組合意識”が高い営業所で、管理者が泣かされていたと言う。
管理者と現場の運転士の部屋は異なり、お互い話すらしない(話すら出来ないが正しいか)組織で、現場の運転士の中に”ボス”がいて実質的には営業所長よりも”ボス”の方がエライ。その雰囲気を大きく変えさせたのが唐池氏である。
自身の本によれば、唐池氏自らが運転士に対して毎朝「おはよう!」と挨拶。最初は何も返事がなかったが、毎日諦めずに繰り返していると自然と返事が来るようになり、管理者との距離感が縮まり職場の雰囲気も向上。唐池氏が営業所長だった1年の間にみるみるうちに業績が好転。全てが「優等生評価」に組織を大変革。「2メートル以内の男たちの軍団」と称し、「互いに心が通じ合うようになる」事を学んだとしている。
ガバナンス等の難しいやり方・言葉等が巷では並び、それをやるための指南書も山のように出ているが、組織の風通しの良さとか、従業員満足向上の方法と言うのは、管理者がこういうソフトの面で職場の雰囲気を良くさせる。パワハラとかモラハラ的な嫌な事を組織から「排除」するのが、働き方改革の一丁目一番地だ。嫌ならば今やどんどん人は辞めて行くし、辞めた人員の確保は簡単に出来ないし、悪いウワサは簡単にSNS等で拡散する時代だから人は近寄らない。それは当然とも言える姿であるが、今から35年前に磐城棚倉にあった国鉄バスの営業所では、素晴らしい働き方改革がやっていたんだなと思うと、何かパワーを感じる。
唐池氏は1年後(1983年)には大分鉄道管理局に異動になり、そのまま国鉄が民営化しJR九州に転じた・・・と言う形で、同社がJR他社以上に活力ある会社になったが、内部では従業員の士気を高める事が出来ないと、会社の業績も向上出来ない。そういう会社しか今後世の中には生き残れんし、世の中も必要としない。唐池氏のやり方は本当に参考になる立派なことだらけで、感銘を受けている。
★バス専用道の白棚線に乗る

↑話はそれたが、廃墟となってしまった磐城棚倉のJRバス関東の車庫にはポツリと1台だけ止まっていた。15:47発の白河行きの白棚線となる。
車両は日野ブルーリボン(だと思う)の福島200か1884、L517-03506であった。調べてみると元東急バスの所属で移籍してきたらしい。Lとは低床車を意味する。
基本的に白河支店の一般路線は新車がなく、他社からの移籍車が主力だ。
磐城棚倉駅の駅舎で列車が来ないのに10人以上待っていた。全員が白棚線のお客で乗車した。座席配置が変わっており、進行方向右側が1人掛けの座席、同左側がロングシートと着席重視よりも立席重視と地方のバス路線では珍しい。たまたまこの車両がこういう構造なのかもしれないが、白棚線にしては新しいタイプの車両らしい。基本的には2ステップの車両が主体で、低床車はそんなに多くないようだ。
運転席の後ろに着席。ロングシートでは落ち着かないため。国道289号線を走行し、高木バス停手前から専用道へ。特に信号や遮断機等はなく、国道は右カーブするのに対して、バス専用道は左カーブする格好。入口付近には除雪されずに残っていた雪が大量にあったが、躊躇う事なくバスは突っ込んで行った。これにはビックリ。温暖な国育ちの私に言わせれば、とんでもないカルチャーショック。雪国ではこれは当たり前なのかもしれない。
バス専用道は正確に言えば、JRバス関東の私道。同社の私有地。関係ない人・クルマの進入は認められていない。「一般車通行禁止」の看板があちらこちらに立っている。
やはり元鉄道。盛土を走る所もあって、まるで列車に乗っている気分だ。幅も線路と同じ分しかない。大型バスが通るには狭いようにも感じる。
しかし、私道のため手入れはJRバス関東が自社でやる事になる。国道・県道とは異なり、路面状況が悪い。デコボコでよく揺れる。国道の方が揺れない。白棚線の営業成績から言って、再舗装する経費が出せないのだろうか?
バス停と言うよりも「駅」と言う雰囲気で、磐城金山は「自動車駅」と言う位置付け。
300~500mおきに待避場が設定されており、対向車が来た場合にはここに避ける事になる。
専用道は概ね45~50km/h程度で、しっかりと制限速度標識もあるが、これは公道のモノよりも鉄道のものに近い。
専用道区間は短く、関辺バス停から再び国道289号線。白河市内が近づくと巨大なロードサイド店が増えてくる。
専用道を走るのが最大の魅力である白棚線だが、途中から乗車するにはアクセスが良好とは言えない。
「こんな静かな所に駅(バス停)があるの?」と思うほど、秘境っぷり。むしろ国道沿いが栄えており、ここに直接バス停を設置した方が集客しやすいと思う。だから、専用道区間における乗降は少なく通過がほとんど。一方で国道区間は乗降が多く、比較的短い利用も少なくない。

↑ 運賃は磐城棚倉~新白河730円であった。運賃はやや高め。専用道区間は段階的に廃止されており、私道なので維持管理も自社任せ。それが出来なくなってくると、専用道を廃止して国道経由に変わる事が来るかもしれない。遠方から来る人にとっては白棚線の魅力がなくなるが、実際の利用実態を考えると国道経由の方が良いのかもしれない。
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