【車輪が故障し車両不足が本当の理由なのに】青い森鉄道意味不明な運休の理由は?
青い森鉄道は2019年1月12日以降、お客に利用を知らせずに運休する列車が多発している。お客からは「意味不明な運休」のため苦情の声が殺到している。一体何が起きているのであろうか?
もくじ
★ 「車輪が壊れて運転出来ません。車両の数が不足しているため、半分の列車が運休します。すいません」 とハッキリと言えないのか?
「運休のお詫びと復旧見込みについて」(青い森鉄道ホームページ)
↑こちらによると下記のような事しか書いていない。
このたび当社の車両において車輪の緊急整備が必要となる事象が続いたため、多数の運休により、通勤通学をはじめ多くのお客様に大変ご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。
一日も早い復旧に向け整備作業を進めており、1月21日(月)始発から平常運行の見込みです。
↑「車両の緊急整備」と称しているが、この表現は正直な話、いくらでもウソが言える。
他社事例だが、「車両の整備」と称して運休したのに実際にはそんな事はなくて、単に人員確保出来なかったり、車両ではなく駅や線路と言った他の設備が故障したため運休となった事もあった。「何の緊急整備なのか?」わからないし、抽象的な表現で、なぜ運休しないといけないのか?訴求していない。
青い森鉄道の各駅では「単に運休」と知らせているだけで、「○時○分発の列車は運休」とあるだけだったようだ。
これが私ならば、「青い森鉄道も遂に倒産してしまうか!実は経営状況が相当ヤバく、”夜逃げ”寸前なんだな!これならば明日から全ての移動はクルマにするしかないな!」と思う今日この頃だ。
※実際にはそのような事実はない。
↑これでは、苦情が殺到して当然である。
1月18日になって運休の理由がようやくわかった。社長が記者会見して判明した。その新聞記事が下記である。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190119-00010003-dtohoku-l02
青い森鉄道(千葉耕悦社長)は18日、車両の緊急整備によって12日から運行本数を大幅に減らしている問題で、運行列車10編成のうち5編成の車輪に安全基準を超える傷が生じていたことを明らかにした。原因は、荒天のためレールに多くの落ち葉などが付着し、強くブレーキをかけたため、車輪の負荷が大きくなったとみている。同社は21日に通常ダイヤに戻す方針だが、天災以外でダイヤが長期間乱れるのは初めて。合わせて上下123本の列車が運休し、1万人弱の利用者に影響が出る見通しだ。
同社が青森市の本社で記者会見して報告した。
車輪の傷は、列車がブレーキをかけ、回転が止まったままレール上を滑った際にできる「フラット痕」。法令では▽長さ7・5センチ超の傷が一つでも発生▽長さ5センチ超の傷が二つ以上発生―のいずれかの場合、車輪の緊急整備が必要になる。
同社で問題が生じた列車は、最大で長さ25センチ・幅1・5センチ、最小で長さ5センチ・幅1センチの傷が5編成(1編成2両)に計26カ所あった。8日から16日までの目視検査で見つかったという。現在、機械で車輪を削る「削正(さくせい)」を急いでいる。
千葉社長は会見で、「18年は台風の襲来が多く、倒木や停電、レール上の落ち葉の散乱などが車輪の負担増につながった可能性がある」と説明。「多くの利用者に多大な迷惑を掛けている。心よりおわびする」と陳謝した。
同社の18年度ダイヤは、目時―青森間で1日当たり上下93本。運行可能な列車編成が半減したため、「通勤、通学時間の朝夕も運休せざるを得なかった」(千葉社長)という。20日までに9516人に影響が出ると試算している。
短期間に車輪に傷がつき、相次いで判明したことを受け同社は、検査周期を短縮するなどの再発防止策を講じる。
5編成で車輪の傷確認、荒天でブレーキ負荷 青い森鉄道大規模運休、21日復旧方針 (デーリー東北)

↑青い森鉄道は写真の「青い森703系」を含めて、全てで11編成(2両×11本)が在籍。そのうち1編成が予備で、残りの10編成が毎日稼働する作業ダイヤ(列車運用)となっている。そのうちの5編成が車輪の故障により使用出来なくなった。つまり、残りの5編成ないし6編成で稼働させないといけない。単純に考えて半分程度の列車は「車両が用意出来ない」と言う理由で、運休せざるを得ない。
やろうと思えば、IGRやJR東日本から車両を借りて、一時的に”しのぐ”事も可能であるが、そちらも諸々の台所事情があるため、そう簡単に車両が用意出来ない。
車輪が削れた理由。2018年に相次いだ自然災害により倒木、落ち葉等により普段以上に速く車輪が削れてしまった。クルマのタイヤで言えば、「残溝」(ざんみぞ)がなくなってしまった状況と同じで、この場合は新品のタイヤに取り換えることになる。鉄道の場合はクルマ同様に新しい車輪に取り換えるor削れた分だけ車輪を削って車輪全体の高さを平行(フラット)にさせる必要がある。
説明の必要はないかと思うが、残溝がない(鉄道では車輪が削れてフラットな状態でない)場合、ブレーキの効きが悪くなり、最悪停車できない可能性があるほか、前進するための制御不可能になる事もあるため、非常に危険である。
青い森鉄道は自社で車輪を削る事が出来る整備工場を持っていない。恐らく車検(全般検査)も自社では出来ないはずだ。ではどこでやっているのか?と言うと、JR東日本の盛岡車両センターへ委託している。今回は「緊急整備」のため、現在整備中のJR車両やIGR車両(同社も自社では整備工場を持たないためJRに委託)もあるため、一応は優先的にやらしてもらえるようだが、すぐに作業が完了するわけでもないため、この記事を作成している1月19日現在では、「1月21日(月)以降は通常ダイヤで運行可能」としている。
Yahoo!ニュースのコメントにこんな事があった。
「正月に青い森鉄道に乗ったら、どの列車も停車直前の急ブレーキが多かった。運転が下手くそと思ったが、この時点で車輪がダメだったのでは?」
↑お客を乗せているので、停車直前に故意に急ブレーキをかけるのは某社の千葉支社管内以外ほとんどないが、鉄道は停車位置が決まっているので、ブレーキの利きが悪く停車位置を通り越しそうになれば、急ブレーキを使用する事はそれなりにある。
車両点検は毎日やっているが、車輪が削れて居る事がハッキリと分かったのは1月8日~1月16日にかけてで、「車輪が削れ過ぎているのでダメだね」みたいな感じで、検査をパス出来なかった時点で運休が決定。しかも、運転開始直前で青い森鉄道のような第三セクター私鉄は人員が少ない。自社ホームページの運休情報で細かく即時に知らせる事が出来ない、SNSもやっていないからやはり知らせられない、駅ならば貼り紙や電光表示板(確か最小限のものは主要駅には設置されていると思ったが)でしか知らせる事が出来ず、「駅に着いてから初めて運休を知った」と言うのがオチなのではないか?
それにしては、情報の伝え方が”ずさん”でしょ!これは!
鉄道業界は「悪い情報を隠す」慣例がある。
例えば、人身事故を「お客様と接触」(JR西日本)と言ってみたりとか、会社側のミスで乗務員が確保出来なかったのに「単にトラブル」・「車両故障」(JR東日本)、各駅でお客の乗降に時間がかかっているのが事実なのに「安全確認」(JR東海、小田急)と言ってみたり等の全く違う意味で、お客に運休や遅れの理由を説明する事が非常に多い。
青い森鉄道の今回の事例であればハッキリと、「車輪が壊れて運転出来ません。車両の数が不足しているため、半分の列車が運休します。すいません」で良いではないか!
↑これくらいハッキリ言わないと、お客はわからないし、納得しない。こういう事をハッキリとわかりやすく言えることこそが説明責任である。
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