【クルマこそが唯一の交通機関】通勤ライナーを強化して収益向上に走る?それは鉄道が「斜陽産業」なのではないか?
2018年(平成30年)も終わりが近づき、新しい2019年(平成31年)が始まろうとしている。
例年当ブログでは、年末にその時「言いたい事」を分野関係なく書いている。「年末年始特集」として今回も実施させていただく。当ブログの編成の都合上、年末に数回、年始に数回の”年またぎ”とする。
2回目は「通勤ライナーを強化して収益向上に走る?それは鉄道が「斜陽産業」なのではないか?」とした。
もくじ
★鉄道各社が通勤ライナー、通勤特急、ホームライナー等の「着席サービス」を強化する理由は?


↑朝、夜で通勤列車が混雑する時間帯にあえて特急車両(またはそれに準じた車両)を走らせて、お客からは乗車券以外に「乗車整理券」とか「ライナー券」と称する料金を徴収する代わりに、「速達性+確実に着席出来る」を付加価値としていた。これが「ホームライナー」や「通勤ライナー」と称する列車である。
JRでは一応全国的にあるものの、路線や地域によってはホームライナー、通勤ライナーを廃止して特急に1本化する傾向も最近では加速。特にJR東日本の首都圏地区はそうだし、JR九州に至ってはとっくの昔からそうだったりする。

↑面白い所では京阪特急。本来は転換クロスシートの8000系が特急料金不要(6号車のプレミアムカーを除く)で営業しているが、朝と夜の「ライナー」は乗車するだけ別途料金が必要。その代わりに本来の特急よりも速達性を高めて、確実に着席出来るようにしているのは他社と変わらない。似たようなものでは京急も実施している。
写真はないが、元々有料列車を運行した実績が全くなかった東武東上線、京王、東急でさえも開始。特急車両をわざわざ用意するのではなく、本来はロングシートで運用するが、「着席サービス」実施時間帯のみ座席向きをマクラギ方向(横向き)に変えて営業。座席のリクライニングは出来ないが、スマホやパソコンを充電出来るコンセントを搭載し、フリーWi-fiもある。
これは顧客サービス向上がタテマエ上の目的。ギューギューに混雑した通勤列車で毎日通勤通学するのは肉体的に精神的にもしんどい。これを少しでも解放されたいお客も少なくない。「課金してでも着席したい!」と言う要望は昔から多いのだ。それが今になってようやく始まった理由は、むしろ顧客目線と言うよりは事業者目線が理由であった。
それは、「鉄道事業の収益を確保するため」である。
え?って思うかもしれない。「いやいや鉄道会社は鉄道で飯を食っているわけだし、毎日あんなにもたくさんの人を運んでいれば、潤沢に収入が入って来るでしょ?」と思っているのがみなさんのご意見だろう。
実は、鉄道会社が従来収益モデルとしていたことが難しくなっているのだ!
みなさんご存じのとおり、日本は少子高齢化が進行。鉄道利用の6割程度は定期券である。(路線や列車の性格により比率は異なる)
鉄道会社に言わせれば、少子高齢化で仕事に行く人が減る、学校に行く人が減ると毎日の通勤通学で定期乗車券(定期券)の収入も減るし、今後増加する見込みがないため、それ以外の分野で売り上げを確保しておこうと言う事だ。
「それ以外の分野の売り上げ」とは最も手っ取り早いのが鉄道事業における付随事業。元々運賃しか取っていなかった列車を特急や通勤ライナーに格上げして、特急券やライナー券を取るようにすればその分が増収につながる。顧客に対しては今までなかった新サービスの開始で、顧客満足の向上になるので他社やクルマに逃げる事もしないと言う”囲い込み”も出来るのだ。
究極的な所は鉄道とは直接関係ない副業で、JR九州のように鉄道事業は赤字だが、副業の不動産や物販事業の収益が大きいのでこれが実質的な本業と化している会社も今や出現している。JR九州ばかりがこの点では注目されるが、全く同じビジネスモデルは東急、京王、小田急、阪急、近鉄等の私鉄も昔からそうだったので、鉄道会社そのものが副業を最近始めた事か?と言うとそうではないのだ。むしろ副業で稼ぐためのノウハウは私鉄の方がたくさん持っているのだ。
★「着席サービス」を全国展開せよ!私が最近思う”思案”はこれ!
普段東海道線の静岡地区に乗っていて思う事。
「普通列車にも着席サービスをやってくれ!」
ご存じのとおり、ロングシート地獄の静岡。座っても立っても地獄。まさに快適性を求めているお客は、静岡ではそんな事は出来ず、”家畜”同然に運ばれている。「動物を運ぶ乗り物とはこんなもんなのか!」とよくわかる。
静岡地区に限った話ではないが、既存の列車に1両新造した車両に、リクライニングシート搭載の車両を連結してくれ!もちろん指定席で!
だいたいJR側の言い分は、「カネがかかる」「需要がない」等のこと言うが、こんな事を国鉄の時からずーっと言っているからお客が増やせず、クルマに移行しているわけで(特に地方)、いくら速達性が高くても、快適性とコスパではクルマに完全に負けている。
コスパは仕方ない所があっても、快適性では負けるならば普通は積極的に乗りたいとは思わない。同じ移動区間を仕事の日は嫌々鉄道に乗っても、休みの日は定期券があるから値段は実質的に安くても、”ロングシート地獄”で着席出来るかもわからない・・・であれば、鉄道を使う示しがつかないと思う。クルマがあれば100%とは言わないが、80~90%くらいの人はクルマになる。今のJRは「快適性」ではクルマ以下!
だったら、「京阪プレミアムカー」と全く同じ車両を全国のJR普通列車(当然非電化単線のローカル線も含む。例えば東北ならば陸羽西線とか北上線とか左沢線、西日本ならば姫新線の岡山県内、芸備線の三次から東側、木次線、美祢線などなど)に必ず1両連結して欲しい。
ここで絶対に上記の理由で、「はい無理です」っていう奴がいるんだが、それだから鉄道利用を増やせない。
完全な指定席も、ネットから買えれば良いし、駅の近距離券しか売っていない券売機でも買えるようにすれば良い。
乗車時には指定券を入口で機械(または車掌)にかざす(または提示)しないと車内に入れない→指定座席の位置に着いたら、座席が収納中→指定席券を”専用のきっぷ差し込み機”に入れる(ICカードならばタッチ)→正当なきっぷと認める→収納座席が出て来て着席出来る・・・こうすれば良いだけの事。
下車駅が近づいたら・・・座席が揺れだす→下車の支度をするように促す→到着後座席は自動的に収納・・・これをやるだけで良くて、この指定席車両だけに車掌等の余計な人員は不要になる。機械的に全てこのような事をやれば良くて、別にやろうと思えば出来る事。
指定席の料金もシンプルでよく、指定席券の値段が乗車10キロまでは100円、20キロまでは200円・・・50キロまでは500円とすれば良い。
こんな列車あったら、毎日でも使っている。指定席の予約は発車3分前までスマホや駅の券売機で出来るようにして、当日購入で確実に購入出来るようにするために、運行する3~7日前から発売開始で良い。これくらいJRは大胆な事をやってくれよ!
★鉄道は「斜陽産業」なのか?
一言で言ってしまえば、私はそうだと思う。
「斜陽産業」とは、これから成長が見込めない産業、仕事、業種の事を示す。プロ野球チームの親会社を見ればそんなのはわかる話で、昭和30~40年代は国鉄、西鉄、南海、阪急、近鉄と言った鉄道会社が保有していた。
しかし、親会社の経営が悪くなりどんどんプロ野球チームを手放して、今や西武と阪神しか持っていない。鉄道よりもプロ野球チームの方が有名なのは今や阪神しかなく、阪神電鉄の経営の中心はタイガースなのだ。西武もどちらかと言うとそうかもしれないが、何が何でもライオンズとは言い難い。西武グループの1部門としてのライオンズに過ぎない。
今のプロ野球チームの親会社を見ると、ソフトバンク、楽天と言ったネットを使った会社が目立つ。将来的にはZOZO TOWNも参入する可能性もあるため(一応今の所は保留としているが)、プロ野球チームの親会社と言うのは”時代のトップランナー”とも言える会社がなるものなのである。もちろん、読売新聞(巨人)や中日新聞、ロッテ(菓子メーカー)、日本ハム(精肉メーカー)等の老舗企業も目立つが、いずれも親会社の経営が良いからプロ野球チームを保有できるわけだ。
何が言いたいのか?と言うと、プロ野球チームを手放しているほどなので親会社の経営には余裕がない!と言う事。
見た目では収益が多くて東証一部上場企業でもあったりするJR、大手私鉄であるが、「有利子負債」(借金)を見てみると累計では年間収入以上の額があって、今も増えてづけている。近鉄のように借金を銀行から新たに借りるが、設備投資に回すのは一部で、ほとんどは借金返済に充てると言うようなことになっているのが現状だ。JR東海も自前でリニアを作るほどカネがある企業ではあるが、実際には莫大な借金を持っていたりする。つまり、借金体質の経営になっているのだ。

↑JR北海道は年間収入以上に年間運営費がかかるため、差し引くと毎年500億円近い赤字を計上。その赤字の累計はどんどん増えるばかりで、「普通の会社」ならば倒産していておかしくない。2019年には運営資金が枯渇(ショート)する可能性が現実味を帯びている。詳細は2019年正月のブログで述べるとして、今JR北海道がやっている事は何か?


それは路線の廃止である。駅の廃止はまだかわいい方。路線そのものは残っていても、乗車出来るチャンスを減らす駅の廃止は1日平均利用者1人以下が中心。「人が居ない所に駅があっても意味がない」ので、それを削減しているのだ。
路線の廃止候補地に行ってみると、とにかく人が居ない。産業がない。鉄道があっても意味がない所が多いのだ。中には札沼線の非電化のように人が居て、産業もそれなりにあって並走する国道のクルマは多いが、鉄道の利用に結びつかない所もある。むしろ本州ではこのようなパターンが多い。
路線が廃止されれば確実に地図からは消える。鉄道は公共性が高いため廃止直後にすぐに地図から消す事が原則だ。今や地方ではワンマン列車、数時間に1本が当たり前。それで誰が使うのか?!と言う話。地元レベルでは利用促進活動も多々見られるが、広く波及していない。クルマ→鉄道への移行は見られない。大きく譲ってクルマ→高速バスへの移行も見られない。
すなわち、交通機関は今や国民の意識としてクルマしかないのだ!
この結論は乱暴な言い方だと思う。批判もあるだろう。
しかし、現状ではとにかく公共交通を使ってもらえないのが現状だ。片道400キロくらいまでの移動ならばクルマで十分。それ以上の距離ならば新幹線やヒコーキ、島しょ部になればフェリーも選択肢に入る。鉄道は長距離の新幹線しかないのだ。
それは政府の政策にも見えてきて、道路に対してはたくさん予算を付けるが、鉄道にはほとんど予算を付けない。理由は「民間設備に税金投入は出来ない」がこの議論の一丁目一番地なのである。
同じ民営の鉄道が諸外国でも多数あるが、たくさんの国家予算が鉄道に入っている。鉄道会社は運行部分だけやって必要なコストは自前で負担して、「線路や架線等の設備は道路と同じ公共のもの」と解釈するのが一般的なため、道路予算と同じく民間の設備である鉄道に対しても税金注入して維持管理に努めているのだ。これを「上下分離」と称するが、外国ではこれが当たり前。日本では整備新幹線でさえも国がJR各社に設備を貸して、30年、40年も毎年リース料(家賃)を支払う、世界的に見て非常識な仕組みが成立しているのだ。海外では鉄道会社に線路設備を貸し与える事はあっても、リース料を鉄道会社から取る事はありえない話だ。
こんな事をやっていれば、仕組み的に鉄道そのものを日本から消すと言わんばかりで、自民党や公明党は鉄道の支援は否定的な政党なので(誰が総裁、党首であっても)、少子高齢化が進行する今やこんな仕組みが永続的に維持出来るとはとても思えない。
時期に”天下のJR”でさえも北海道や三江線みたいにどんどん地方路線が廃止されて、気付いたら都市部の通勤路線と新幹線しかない!と言う事になるだろう。
だから、鉄道は斜陽産業だと思う。
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