【2018年5月乗車記/UST(浦賀スタートトラック)】なぜJRは「京急の逝っとけダイヤ」と同じ事をやらないのか?

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2018年5月乗車記。京急は人身事故等の輸送障害発生時、運転見合わせ区間を必要最小限にして関係ない区間は出来る限り運転している。この事を「逝っとけダイヤ」とか「UST」(浦賀スタートトラック)と言う。実際に体験してみた。ところで、JRは全くの逆で関係ない区間も運転見合わせにして、全く関係ない路線や他社でも遅れや運休を拡大。なぜJRは京急と同じような運転整理術が出来ないのか?

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もくじ

★2018年5月乗車記。京急の「逝っとけダイヤ」を体験!😆

京急(京浜急行電鉄)の輸送障害(人身事故等)が発生した時の運行整理術がスゴイ!「JRも真似しろ!」と私は言ってやりたい今日この頃、2018年5月20日(日)実際に「逝っとけダイヤ」を経験したので、その模様を”完全描写”する。

↑金沢八景(KK50)から乗った、羽田空港(KK16、KK17)行きのエアポート急行。1000形の1001編成のトップワン編成であったが・・・・・・・・

先発の泉岳寺(A07)行きの快特は、私がホームに入った時にはしっかりと発車装置には「快特 泉岳寺」とあったのに、当該列車が入ってくる直前に「快特 横浜」に変わっていた。

この日の15:00頃、京急本線の鶴見市場(KK28)~京急鶴見(KK29)において、架線に付着物があったため、除去作業のために京急川崎(KK20)~神奈川新町(KK34)が運転見合わせとなった。

この時に京急が行った対応は、京急川崎~神奈川新町以外の区間では、出来る限り運休させず、運転を継続した事だ。具体的には、浦賀・三崎口方では快特が横浜折り返し、エアポート急行と普通車は神奈川新町で折り返し運転を実施。品川方については具体的な事は不明であるが、恐らく京急川崎折り返しを実施したはずだ。

これは私の憶測になるが、ダイヤパターンとして、事前に用意されているように見て取れた。「○○駅~××駅で運転見合わせになった場合、品川方は△△駅で折り返し、浦賀・三崎口方は◆◆駅で折り返し」と言う”台本”がないと、即座に臨機応変に「臨時特別ダイヤ」として運行できないだろう。

前述の快特の場合、金沢八景15:26発の泉岳寺行きは所定では品川に16:01、泉岳寺に16:04に着く。実際には、横浜到着直前に再び行先変更が発生し、品川行きとなった。
これは、最後まで横浜行きとして運行した場合の理屈になるが、横浜~泉岳寺は運休となるため、横浜15:44着の時点でお客は全員強制下車。

一旦神奈川新町まで回送し、転線や車内整備等を行い、横浜16:15発の横浜始発の三崎口行き快特として運行する事も可能。

なお、所定のダイヤでは泉岳寺15:55発、品川15:57発である。車両運用も所定ダイヤとは異なる。京急の場合、車両運用は別列車として運行すると、その時点で運用そのものも変わってしまうと言う。

京急線では一部で運転見合わせ区間が発生しているが、輸送障害と直接関係ない区間では、ほぼ通常通り運行している事が京急の最大の持ち味!

仮に同じような輸送障害がJR各社で発生すれば、間違えなく京急と同じ事は即座に出来ない、やらない。

基本的には、当分の間近くの駅で列車を止めて、運転再開を待つ。運転見合わせ時間が長くなれば、やっと重い腰を上げて、「しょうがない・・・・やるか・・・・」となってようやく行動する、相変わらずの”お役所体質”とも言える遅さが持ち味。顧客満足も低い。

さて、神奈川新町行きとなったエアポート急行では、車掌が当該輸送障害についてハッキリと説明。JR各社のように変に事実を隠すような言い回しではなくて、わかりやすく端的に説明。
京急では日本語放送は車掌が実施。JR東日本みたいに全部が全部自動放送と”手を抜いた感じ”になっていないので、輸送障害等の異常事態に強い!すると、車掌から下記のような放送が入る。

「運転を再開いたしました。この後の運行状況により、行先、待ち合わせ駅を変更する場合があります。現在振替輸送を実施しております。JR線などの他社線のご利用をご検討ください。運転を再開いたしました。」

「逝っとけ宣言」キター!!😆

所定のダイヤでは上大岡(KK44)で後発の快特に抜かれ、南太田(KK41)で先発の普通車を追い抜く事になっているが、ダイヤが乱れている状況のため、必ずしもこうなるわけではないのだ。状況によっては、例えば上大岡到着直前に突然、上大岡止まりに変更!→折り返しエアポート急行新逗子(KK53)行きとして戻れ!と言う事になる事も十分ありうる。

従って、運転士、車掌としては乗務終了の駅まで(本来は神奈川新町まで)、お客としては下車駅まで列車がどこまで運行されるのか?誰にもわからないのだ。

しかし、「お客もプロ」😆

例えば突然、上大岡止まりになっても少なくても京急の日常的な利用者は「いつものことか・・・。仕方ないなぁ」と思って、足早に荷物をまとめて、下車。上大岡から別の列車に乗り換える。

「行先をコロコロ変えるな!」と苦情を出す者は、京急の日常的な利用者でないか、事情を知らない遠くから来ている人に限られる。

駅でも、「次の列車はコレ」と適切な案内放送が入るから、お客が混乱に陥る事は、あまりないように見える。JRみたいに、ダラダラと「回送」と言うサボも出さずドアを開けたままにして、路頭に迷いに迷って、誤乗誘発も甚だしい事もやらない。下車が完了すると即座にドアを閉めて、転線。次の列車として営業開始する。

私が乗車したエアポート急行神奈川新町行きは、杉田(KK46)を発車した直後、車内の液晶画面が「羽田空港行き」に変わった。即座に車掌から放送が入り、付着物が除去されて15:40に運転再開したとの事。杉田を発車したのは15:43。

たった3分で、行き先変更する事、運転計画の作成も出来てしまう!こんなのJRにやらせたら、それだけで何時間もかかっておかしくない。この”差”は何よ?!

★停止位置不良(オーバーラン)の対処も素早い!

架線付着物による輸送障害とは関係ないが、この先の井土ヶ谷(KK42)ではこんな事もあった。ナント停止位置不良(オーバーラン)が発生。1両分余計に前に行き過ぎた。

これも対応は快特並みに速かった!

車掌が停止位置不良を認める→電鈴(運転士~車掌の間で業務連絡するベル)で運転士に停止位置修正を要求→車内、車外にその旨を放送→車掌が電鈴で所定停止位置へ動けと指示→後退開始→所定停止位置に停車→ドアが開く

この間、どれだけの時間がかかったと思うだろうか?🤔

たったの30秒で完了!😆

これがJRならば、最短でも3分かかる😩

無駄な事にJRではたかが1両分の停止位置不良でも、指令所に無線でその旨を伝えて、指令所が修正指示を出さない限り、現場(乗務員)の判断だけで、行動に移す事が出来ない事がほとんどである。京急の現場の雰囲気として、少しくらいの停止位置不良は日常的にあるらしい。手慣れた手つきで作業しているのが印象的であった。

★なぜJRは京急と同じ事をやらないのか?「UST」とは何なのか?

ところで、JR各社では京急と同じような運転整理術を絶対にやろうとはしない😩

例えば、京急と並走する東海道線や京浜東北線で、今回と同じ架線付着物による運転見合わせが鶴見付近であったとするならば、運転見合わせ区間は川崎~横浜だけとはならない。

むしろ、もっと広く、東海道線では東京~熱海(良くても東京~小田原)、京浜東北線では基本的に大宮~大船の全線で一斉に列車の運行を見合わせる。

すなわち、無駄に運転見合わせ区間が長く、運転再開後も何時間もダイヤが乱れたまま。終電までダイヤが正常に戻らない事も珍しくない😠

JR東日本の超広域的な運転見合わせが問題視されているが、これはJR東日本以外のJR各社でも同じ事である。

では、なんでJR各社は京急と同じ事をやらないのか?🤔

①設備面に制約がある(折り返し運転が出来る駅が少ない等)

②対応出来る人が少ない

③運行管理が面倒くさくなる事を嫌う(特にJR東日本、JR東海)

京急は上記①~③とは逆の事が全て出来るが(これが私は正しいやり方と考える)、JR各社では①~③のいずれかが出来ないためである。


①JRの幹線系路線では、10~20キロごとの主要駅に通常は使用しないホームや線路が設置されている。中には上り線と下り線を連絡する「渡り線」を設置されており、物理的には元々下りとして運行していた列車を途中駅で運転を打ち切って、上りとして戻る事も可能である。

京急もこのような取扱いをしており、UST(「浦賀スタートトラック」、浦賀・三崎口行き列車を途中駅止まりにして、途中駅から品川方面に戻るための運転手法の事で、京急の正式な用語)と称する。Youtube等で、京急「逝っとけダイヤ」に関する動画や記事がある場合、「UST発動」と言ったらこの事を示す。

しかし、JR等の他社はUSTのような事を積極的にやらない。出来ない事はない。やろうと思えば出来る。

その1つが、信号。京急ではCTC等自動化されていない。全てプロの信号操作係が”テコ”を扱っている。信号を人に頼ると、人員が増える事からJRをはじめ嫌がる社が増えているが、自動化してしまうと大雑把な信号操作しか出来ないので、輸送障害時に副本線や側線までの細かな操作が難しくなる。

さらに、京急に乗り入れる列車は全部制御電動車(デハ。JRではクモハ)。それに対してJR東日本では制御車(クハ)が主体のため、重量が軽い制御車だと信号が切り替わるまでの時間がかかるのがデメリットである。

②これは上記①でも言える事だが、信号を人が扱う場合は、当然人員が必要。しかし、JRの運転現場ではとにかく人が少ない。

まさに「少数精鋭」で、基本的にはコンピュータが決まった時間に決まったポイント操作する事がプログラムされているので、それが正常に作動するか?見ているだけが仕事である。だが、それでも誰でも出来る内容ではなく、専門の資格や技術が必要だ。

乗務員も然り。地方ではワンマン運行が当たり前で、東京メトロ副都心線のように10両の通勤電車でも今やワンマンだ。運転見合わせとなれば、列車を動かす人が増えるのも事実で、通常のダイヤでは足りる人員も、輸送障害時には一時的ではあるが欠員となる。JRのように運行区間が広く、しかも乗務員1人あたりの乗務距離が長いと、人の確保が難しくなるのは言うまでもない。

京急では、快特の”通し”乗務が存在しない。(私が見る限りでは)泉岳寺~金沢文庫、金沢文庫~京急久里浜、京急久里浜~三崎口の3区間に分かれており、それぞれの区間を”通す”乗務は見た事がない。これがエアポート急行や普通車ならば、京急蒲田、神奈川新町等も入ってくるのであろうが、「頻繁に乗務員を交代している印象」である。これも、輸送障害に備えた対応で、臨時で列車を運行する際に、速やかに必要な乗務員等の人を確保出来るようにしている工夫が見える。

③については、こういう事。今回の場合、京急川崎~神奈川新町は運休。それ以外の区間、すなわち、泉岳寺・品川~羽田空港・京急川崎、神奈川新町~新逗子・浦賀・三崎口では動いている事になるので、大きく分けて2つの運行区間が存在する。1ヶ所で「動いている区間」と「動いていない区間」の両方を管理しないといけないため、これが面倒である事。

さらに、それぞれの区間に管理する指令員を配置しないといけないので、ここでも人手不足。また、それ以外にもいろんな対応があるので、「動いている区間」と「動いていない区間」の両方があると、作業が追い付かなくなるので、結果として運行再開まで時間がかかる。

支障物の処理終了後は速やかに正常にダイヤに戻す事を考えるので、とりあえず一斉に列車を止めておき、運転再開後はスムーズにダイヤを戻すと言うのが基本的な考えで、「運転出来なくなるのは仕方ない」と言うのがJRの考え。京急のように「運転出来る区間をなるべく確保しておく」と言う考えとは根本的に違うのだ。

★まとめ

JRでもやろうと思えば、京急の「逝っとけダイヤ」は十分可能である😆

しかし、頻繁に行き先変更、待ち合わせ駅変更を実施するため、お客が混乱するのは必至。それをJRはとにかく嫌っている。典型的な「減点主義」である。「逝っとけダイヤ」をやった上でのリスクも当然考えないといけないが、私としては関係ない所まで無秩序に一斉に列車を止めるのは良くない。京急のように「運転出来る区間をなるべく確保しておく」と言う考えに改めるべきだ。それが顧客満足にもつながるし、その事が評価されて京急は「日本鉄道賞」も受賞している。

それにしても、JRは京急以上に少ない人員で鉄道を動かしているのが気になった。国鉄民営化後の徹底的な合理化の結果であるが、異常時には鉄道として機能しなくなると言う、社会的損失を防止するための事が出来ないと言うのは、企業の社会的責任を果たしているとはとても言えない!
さて、みなさんはどう思うだろうか?ご意見、ご感想、「俺ならこうする!」と言うものをコメントされる幸いだ。


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KH8000

ご覧くださいまして、ありがとうございます。 当ブログは鉄道・バス・ヒコーキ・船について、読者の皆様が”乗りたくなる”公共交通機関の魅力をお伝えします。 実際に私が乗った時・撮った時の感想などについて「乗車記」「撮影記」として、各地の秘境駅や注目の鉄道駅に直接訪問し現地で知り得た事を「現地調査」として、”他所よりも詳しく”、鉄道系YouTuberに負けぬほどの勢い・情報量・知識・感動体験を当ブログでお伝えします。 私はJR全路線全区間乗車(JR完乗)済みで、鉄道友の会の正会員(一応某支部の幹部・撮影会などの行事についても詳しくお伝えします)です。当ブログのフォロー(ブックマーク)は誰からも大歓迎です。

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