【復旧まで車内待機原則】東海道新幹線京都~新大阪における架線断線事故とJR東海の乗客対応について

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電気鉄道において、架線すなわち電気は命である。
電気を通すために必要な架線が切れる(断線)、電気が送電されなくなる(停電)と前に進むどころか、照明や空調、トイレさえも使用出来なくなる。
近年では2015年にJR東日本が根岸線において、エアセクション内で列車が停止し発車した所、大電流が流れて架線が断線し、暑い夏の中お客が車内に閉じ込められる重大事故が起きたのは記憶に新しいだろう。
もし同じ事が、”天下の東海道新幹線”で起きたらどうだろうか?

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★事故概要。架線断線で運転再開まで5時間は速い方

↑写真はN700系1000番台(N700Advance)JR東海所属のG27編成。(2016年6月に日本車輌製造で製造、東海道新幹線で最も最新の車両)当該列車は2016年4月に日立製作所で製造された1つ若い、G26編成であった。

【当該列車】

列車:241A(のぞみ241号 東京17:00→新大阪19:33)

日時:2017年6月21日19時48分

場所:東京起点503km290m(駅間で言うと京都~新大阪、地名で言うと大阪府高槻市)

【状況】

同日の19:48頃、東海道山陽新幹線の京都~新神戸で瞬時停電(瞬間停電)が発生。しばらくは送電されていたと思われるが、5分後の19:53に停電し(電気が流れなくなり)運転出来なくなった。
JR東海の電気部門等の係員が調査した所、20:29に上記の場所で架線断線を認めた。
当然すぐに復旧出来ないのは誰が見てもわかる状況であった。
上り線(東京方面行き)では列車を動かす事が可能な状況であったため、駅間で立ち往生した列車(下り線)の乗客救済、すなわち上り線に対して並行に列車を停止させて、乗客は下り線から上り線の列車に乗り換えて隣の駅(今回の場合京都)に輸送した。
このような救済は極めて珍しい。普段ならば絶対にやらない。
原則として、復旧まで車内で待ってもらう。

駅が近ければ線路を徒歩移動する事も選択肢としてはあって、JR東日本の東北新幹線で過去にそのような実績がある。

しかし、全ての列車が乗客救済の対象ではなく、それが行われたのは極一部だけ。ほとんどは架線断線が復旧するまでの間、約5時間そのまま車内で待たされることになった。停電しているので照明は消える、空調は点かないので車内は蒸し暑くなる、喫煙室やトイレは使用不可(電気を動力にした装置を使用するため)になった。

運転再開は事故から約5時間後の25:54(6月22日の午前1:54)であった。当該列車は新大阪まで運行し365分(6時間5分)遅れた。運休自体は12本に留まり、基本的には最終目的地の駅までの運行になった。そのため6月21日の「のぞみ64号」(博多18:59→東京23:45)等が300分(5時間)以上の遅れで、早朝に最終目的地の駅に着いたと聞いている。
また今回の事故とは別に、6月21日は静岡県内で大雨のため日中120分程度運転見合わせたため、事故当時もダイヤが乱れており、当該列車は約20分程度遅れていたことになる。

↑写真はJR西日本所属の700系3000番台B11編成。
当該列車(241A)の前に走行していた、9391A(のぞみ391号、JR東海700系C56編成)のパンタグラフ(集電装置)を確認した所、5号車のそれに地絡痕と思われる痕跡が4か所あり、そのうちの2か所は直径10mm程度貫通していた。
9391Aや241Aのお客の証言によれば、「爆発音がした」と言う情報がある。一般に架線断線が起る瞬間は、大きな音がするため、お客であっても「異常があった」事がわかる事が多い。
架線はトロリー線(パンタグラフに直接触れる部分)が完全に切れており、下記リンクの写真を参照されたい。
なお、架線やパンタグラフは元々から異常や破損はなく、地絡痕は事故により生じたものと思われる。

「東海道新幹線京都~新大阪の架線断線事故」(JR東海ホームページ)

↑詳しくはこちらを参照されたい。

ニュースやネット上の意見では、「早く運転再開出来ないのか?」と言うものが目立つ。
架線断線の場合、断線場所を特定した上で、断線場所の送電停止しないといけない。架線周辺の作業では電気が流れていないと言うのは基本中の基本で、東海道新幹線の交流25000㎸の高圧電流が流れていれば、直接架線等に手を触らなくても、近くにいるだけで感電するリスクが極めて高く、感電と言っても無傷で済むレベルではなく、即死するレベルである。
そのため、車内にいるお客には苦痛となるが、照明や空調等は作業中は点かない事になる。この事をよく知っておきたい。

新幹線は電車なので、電気と言う燃料がないと動かす事が出来ない。燃料源である電気が確保されるまでは運転見合わせとなるため、架線をしっかりと張って、通電(電気が正常に流れるか)を確認して、安全に列車を動かすと認められないと、運転再開出来ない。

従って、「作業終了までずっと車内で待機」と考えるべきだ。
長期戦を覚悟しないといけない。
この事はみなさん知っておいてほしい。

架線断線で5時間で復旧と言うのは、私に言わせれば速い方で、遅いと3日や4日もかかるケースもある。
これも記憶に新しいが2016年3月にJR東日本の高崎線で起きた変電所の火災で3日間も運休できなかったのが当該例。大雑把に見れば「電気事故」で今回の事故に近い所があるが、運行に直接かかわる重大設備の破損であったため、修理に時間がかかった。
今回は単に架線が切れただけで、作業できる係員も近くにいたのが不幸中の幸いと考えるべきだろう。
もしこれが同じJR東海でも飯田線の大嵐駅や小和田駅付近で同様の事故が起きても5時間で復旧する事は難しい。2~3日はザラにかかるだろう。

★JR東海の乗客対応は妥当なものだったか?

最初に断わると、私は現場に居たわけではないので、「良い」「悪い」と言う判断は出来ない。

【上り線を使用した救援列車について】

妥当と考えるべき所が、送電可能な上り線を使って救援列車を走らせたこと。
駅間で立ち往生するとお客がドアコックを操作して、ドアを手動で明けて、線路を徒歩で移動する者が出るだろう。今回はそのようなお客は居なかったと思われる。
理論上、JR東海の車両(在来線も含む)では5km/h以上で走行すると、ドアコックがあるフタはロックされるため、お客が意図的にそれを操作する事は出来ないが、今回は完全停止していたので操作しようと思えば操作する事は出来た。
鉄道側はこのような事を徹底的に嫌う。なぜならば”後始末”がとんでもなく面倒だからである。

車内が蒸し暑い、トイレが使えない=熱中症のリスク、体調不良者が出てくる。
あくまでも私の見方で大げさに思うならばそれはそれで大いに結構だが、入院や治療、最悪の場合死亡となればJR東海の責任問題になる事案で、実質的には「JR東海による運転事故扱い」と言うJR西日本が起こした「福知山線脱線事故」級の嫌な事になるので(簡単に言えば国から怒られる、世間の信頼をさらに失うので)、超特例的に上り線に救援列車を走らせたのではないか?

それとも、東海地震等の発生が懸念される中、駅間で立ち往生した列車からの乗客救済で反対側線路が使用可能であれば、並行に列車を止めて、お客を反対側に移す避難方法がJR東海の規則として設定されたようなので(これはあくまでも私の予想。同社の規則を細かく定期的にチェックしているわけではない。同社が避難訓練等でやっている事を根拠にした)、これを地震等の天災に限定せず、鉄道側の責任による輸送障害であっても同様の取扱が出来ると柔軟に現場が判断したか?
常識的に考えれば、後者の可能性が高いだろう。
みなさんはどう思うだろうか?見解をお聞きしたい。

【車掌や駅員による状況説明が二転三転する事について】

これは当ブログでも過去に散々書いてきた。
別の機会を使って、なぜ状況説明が二転三転するのか(言った事とやっている事が異なるのか、状況によってコロコロ方針が変わるのか)については申し上げたいと考えている。

なぜこうした事が起こるのか?
それは、現場の車掌や駅員に対して、指令所から正しい情報が伝達されないからである。

鉄道の現場では、事故が起きた際にいわゆる「5W1H」が徹底されていないように見える。これを現場の人間言わせれば、「お前に言われなくてもしっかりやっている」と反論されるだろうが、結果的には出来ていない。
つまり、現状どうなっているのか?と言う事が”完全描写”出来ていないのだ。

車掌や駅員が持っている情報は少なく、むしろ今どうなっているのか?知らない。


「知らないので、お尋ねの事は答えられません」が本音である。
輸送障害が発生すれば鉄道会社のホームページ等でアナウンスされるが、それ以上の事を知っている現場の車掌や駅員はいないのだ。

↑この事をよく知っておくべきだ。

お客によっては、「これからどうやって行動すれば良いんだ?!」と聞く人がいる。と言うか多い。
これについて私は苦言を呈したい。
今後の行動計画は自分で決める事。列車の運行状況や今後の見通しはスマホ1台あれば簡単に調べる事が出来る。
むしろ、公式情報よりはTwitterの方がより正確にリアルタイムにわかるだろう。
それらの情報を参考に今後の行動計画を決めるべきで、車掌や駅員に尋ねて良いのは、どのタイミングで運転再開するのか?ではなく、「きっぷの変更や払い戻しについてどうやってやれば良いのか?」程度にとどめるべきだ。これならば、余程特殊なきっぷを所持しない限り全ての駅員、車掌が例外なく回答可能だ。

どうしても知りたいのであれば、「列車無線」を聴けばいい話で、公表すると電波法の定めにより処罰の対象になるが、放送で案内するよりは細かな事を知り得る事は一応できる。但しJR東日本のようにデジタル方式ではそれが困難で、無線機が必要で無線に関する知識が必要の事、専門用語も飛び交っているので、それなりの”鉄分”がないと厳しいのは言うまでもない。

JR東日本のように放送で明確に「現場からの情報によると・・・」と情報源の根拠を出すが、ほとんどの社はその根拠を出さない。
JR東海は特にそう(情報源の根拠を出さない)である。それが余計に混乱の原因である。この点は過去に散々申し上げたので、今回はこれ以上言及しない事にする。

【列車ホテルについて】

新幹線で輸送障害が発生し、下車駅(実施駅は東京、名古屋、新大阪主体で、静岡や浜松で行う事は皆無)からの接続交通機関がない深夜に駅構内にお客が滞留する恐れがあると判断した場合は、空きのある車両をホームに停車させて、ドアを開けたままにして、翌朝まで”一時的な休憩室”として過ごしてもらう、一種の救済処置である。

「列車ホテルでは眠れない」等の批判が多く今回見られたが、「列車ホテル」では快適性は求めてはいけない。あくまでも”一時的な休憩室”で、地べたで寝るよりはマシでしょと言う事だ。
今回の列車ホテルは”いつもどおり”の事で、今回は規模も大きかったため、在来線特急の383系(名古屋駅)やJR西日本にも協力を得て京都駅で281・681・683系(具体的な形式名は不明)も使ったようだ。

・・・実際に新幹線に乗っていて、今回の事故に巻き込まれた諸氏も多かろう。その時の生々しい状況を知っている諸氏もいるだろう。
みなさんからのコメントをお待ちしている。

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KH8000

普段当たり前のように乗っている鉄道、バス、クルマは、意外と深い所まで知らない人が多いのではなかろうか? 例えば「何で大雨が降ると電車が止まってしまうのか?JRは簡単に止まるのに、私鉄が止まらない!その差は何か?」と素朴に感じるみなさんが知りたい”今話題のネタ”を、テレビ・新聞・SNSよりも詳しく、わかりやすく、深くしゃべり倒す!

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2件のフィードバック

  1. 忍者てつ丸 より:

    おはようございます。
    確か昨シーズンだったか、新潟の普通列車が大雪にも関わらず途中立ち往生してしまい、
    立ち客もいたくらい満員だったのに翌日まで缶詰めになり、結果何人かの乗客が病院行きになったことがありました。
    当然JR東新潟支社はかなり叩かれました。
    こういったことを考えたらならば、一概に車内待機が正解とも言えず難しいところです。

    • KH8000 より:

      この事についてはアメブロ(Monolog24)の方で当時厳しく批判させていただきました。実際に当該列車に閉じ込められた家族の方からコメントをいただき、JR東日本の対応を現場で見た印象として「悪い」とおっしゃっていました。当該記事は2019年1月に当ブログ(KH8000ショー)にも移行したいと考えています。
      私個人的には、状況がどうであっても車内待機は原則やらないべきと考えます。外に出させる選択肢(=逃げられる手段)も作るべきで、最初から結論ありき的に車内待機させればかえって事態が悪化する(体調不良者続発、新たな事故の発生など)ような気がします。それが起きたらJR責任取れるのか?!

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