【ノーネクタイ夏制服実現/経営理念刷新】JR東海発足30年で「会社のあり方」を変更し良くなるか?
もくじ
★JR東海発足30年の今年「会社のあり方」を大きく転換
日本国有鉄道が分割民営化されてから2017年4月1日で発足30年を迎えるJR各社。
「会社発足30周年に伴う取り組み」(JR東海ホームページ)
↑JR東海は、発足から30年を迎える今年「会社のあり方」を大きく転換する。
お客にとって目に見えてわかるのが、制服の変更。
さらに「謝恩祭」みたいな感じで、今まで公開する事が皆無に等しかった在来線車両基地の一般公開や記念商品等の販売も予定。
社内の意識改革として、経営理念も根底から変えてしまう大胆さだ。
★やっと公表されたノーネクタイ夏制服!デザイン的には大きく変わらないような?
当ブログでは、以前からJR東海の営業制服(駅員や乗務員等が着用)について、「夏の暑い時もネクタイ着用するのはやめるべきだ」、「個人の体感に合わせて冬服期間中(10月~5月)に、暑いと感じたらブレザーを省略で良いのではないか?」と散々指摘。
JR東海の内部では既に2016年9月の時点で、制服変更が決定していた。
この際は、タイトルの通り、夏制服はノーネクタイとして、シャツの色は白、新幹線乗務員は上着(ブレーザー)を着用せずに乗務出来るようになる。
この時点では、制服の細かなデザイン等は決まっていなかったので、会社としては制服変更を堂々と世間に公表できるものではなかった。
結論から言うと、上記リンクブログでも申し上げた通りの感じになるようだ。
すなわち、デザイン的には今と大きく変わらない。
新制服の写真は上記ホームページ(3~5ページ目/別紙2-1~別紙2-3)を参照されたい。
★旧制服(2017年6月まで使用)と変わらない点
◆ワッペン類(社名や役職が記されている)、名札、社章(オレンジのJRマーク)がない。名札についてはJR他社で一般的な所属部署名の記載がなく単に「運転士○○」「○○」(名字だけ・平の駅員)。
◆管理職の場合、左腕に星マーク(2~4つ)付く
◆帽章(国鉄とほぼ同じ)と左腕にリンドウの花のマークが付く
★新制服(2017年6月から使用)大きな変化としては・・・
◆夏制服でシャツの色が青→白に変更
◆夏制服期間中、駅員・在来線乗務員・指令員はネクタイ省略出来る
◆上着は1年中同じものになる(現場長を除く。JR東海は「3シーズン着用」と称している)
制服は3種類用意される。
①駅長や運輸区長等の現場長(左腕の部分に「★★★★」が付いている/若しくは制帽の赤い線が2本)は、夏冬問わずに上着+ネクタイ着用になる。これはJR他社でも同じ事である。
色は、濃紺。ボタンやワッペンは金色に統一。夏は通気性に優れている。ダブルの6ボタンとなる。なお、名札の色は濃紺でこれが金色になる事はない。
②新幹線・在来線特急乗務員も、上着(ダブルの6ボタン)は濃紺。夏制服はネクタイ着用が前提で、ベストも新設。
③駅員・在来線乗務員・指令員も、色は濃紺。上着はシングルの3つボタンに変更される。なお現行制服では男性はシングルの2つボタン、女性はシングルの4つボタン(ボタン1個当たりの大きさが小さい)。
ワッペン類が少ないため、全体的に見るとかなりシンプルだ。
夏制服は、男女ともネクタイを省略。上記リンクページにはないが、男性もベストが存在するため、実際にはそれを着用した姿も見られそうだ。
男性の夏制服のシャツは名鉄に近いものがあり、左腕には階級章?(自衛隊と同じスタイル)が付いてもおかしくないデザインだ。
・・・これがJR東海の一般的な制服になる。既存の冬制服では、ワッペン類等でごちゃごちゃしている印象があるため、不要なものを整理した感じだ。
鉄道業界では上着はシングル3つボタンが定番で、最近新設された制服でシングル2つボタンを採用した社は、私がわかる範囲では存在しないはずだ。なお、世間一般的なスーツはシングル2つボタンが主流だ。
しかし、新しい制服を用意しただけで全ての問題が解決するわけではないと考える。
鉄道会社の場合、制服の細かな着用方法や身だしなみが決まっている。
冬制服期間中であっても、気候により暑い日は当然ある。その逆もある。
そういう時に、個人の体感で自由に着用できる制服が出来る社内文化と言うか、そういう社内規定に変更されるか?が大いに注目だ。
最も良いのは、近鉄のように個人の体感で自由に着用できる制服を決められる事が理想だ。これは実績だが、2018年は5月10日頃まで冬制服を着用し、10月14日まで夏制服を着用していた。他社のように冬制服期間中に上着を脱いで乗務する事は禁止しているらしい。
JR東海と言う会社はどんな分野でも「統一」で、ある社員はネクタイ着用で上着を着ているが、別の社員はネクタイ着用しているが上着省略、また別の社員はネクタイ着用も上着もなく半そでの夏制服だと”見栄え”が悪い。こういう事をとことん嫌う会社だ。
体感で自由に選択出来ると言う事は、やりたくないのが本音ではないかと思う。
この辺は、JR東海社内の人や社内に精通した情報通に聞きたい。
★経営理念を刷新し、行動指針を新設
一般に会社がこれをやると言うのは、今後の「会社のあり方」を大きく転換する決意表明である。
【現在の経営理念】
1、健全な経営による世の中への貢献
2、近代的で愛され親しまれ信頼されるサービスの提供
3、明るくさわやかで活力のある社風の樹立
・・・である。
長年JR東海を見ている私としては、3は現状と大きく異なる。「明るくさわやかな」サービスをお客に提供しているとは見えず、まさに役所そのもの。但し社内では活力があることは認める。社員1人1人の士気の高さは半端ない。
いや、役所自体も今や何気にサービスが良いので、それよりも悪いと感じる。恐らく当ブログ読者の8割の人は「これで正解」と答えるはずだ。
【2017年4月1日以降の新しい経営理念】
「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」
JR東海は東海道新幹線の営業・維持管理を行っている。
何らかの理由で、運行できなくなると、日本経済・日本社会に極めて大きな影響を与える。
例えば、米原地区で雪害により運休こそはしないが速度を落として運行し通常よりも20~60分遅延しただけでも、世間的にはマイナスだ。
新幹線・在来線に関係なく、社内のミスやトラブル等の「責任事故」による輸送障害がないように徹底的に努力している。
それは「数字」として明確に示されており、列車100本あたりの運休本数が約0,5本。
JR西日本(約1,5本)、JR東日本(約2本)、JR北海道(約3,5本)よりも大幅に少なく、責任事故の少なさはJR全体どころか、私鉄全社を含めてもトップクラスの優秀さである。
確かにJR東海管内で「車両故障」「設備故障」が原因で運休や遅延する事が極めて少ない。
JR東日本みたいに毎日どこかでそれが発生し、最悪の場合列車が駅間で立ち往生しお客が線路歩くなんてことは、JR東海ではまず「ない」。
すなわち、責任事故は皆無をめざし、安定的な輸送(ダイヤ通り列車が来る)を毎日確実に提供する事で、JR東海の在来線や新幹線を使うお客が、仕事に、用事に、観光に活用する事で、社会活動・経済活動、そして日本全体が活発になるように貢献すると言う、新たな決意表明である。
鉄道会社では、当然求められる基本的な事ではあるが、その基本的な事を確実に遂行する事がいかに難しい事か。
むしろ、基本的な事が毎日確実に出来る事の方が奇跡的とも言われているほどだ。
★「信頼されるサービスの実践」するためには、世界一の接客サービスを目指せ
【行動方針】
1、「安全」最優先の行動
2、「信頼されるサービス」の実践
3、「進化と飛躍」への挑戦
4、「努力と技術」の更なる研鑽(けんさん)
5、「規律ある一体感」の醸成
・・・一言で言って、まさにこの会社らしい。
トラブル・不祥事続きのJR東日本・JR北海道もそのまま採用して欲しいくらいだ。
ただ、ここで1点クギを刺しておきたいのが、「2、信頼されるサービスの実践」である。
基本的には、上記の責任事故防止により安定輸送の実現であろうが、会社が30年を迎えようが接客サービスは相変わらず悪い。
10年前と比べればだいぶ良くはなってきたが、特に輸送障害時にお客に対する案内や新たな提案(代替輸送の有無、復旧までにどれくらいの時間がかかるか、きっぷの払い戻しに関する事等)が皆無。
すなわち、現状起きている輸送障害の内容を”マニュアル棒読み”で淡々と伝えている事で、「だから、どうなる?」「だから、どうすれば良い?」と言う、”話のオチ”がない。特に静岡地区は未だにこれ。
国鉄時代やJR初期はそれでも通じたが、今や”話のオチ”がないとお客は納得しないし、一度悪い体験をするとお客なんて簡単に離れる。離れたお客は簡単には戻らない。
名古屋・静岡地区ならば、クルマ移動が基本なので、駐車場さえあれば、わざわざJR東海を使う意味がない。
これは、対東京・大阪への移動でも同じ事で、その問題さえなければ、新幹線よりもメリットが大きい。安価の移動を求めるならば、高速バスの方が全然サービスも良い。
「サービスは選ぶ時代」だから、高くて割引もなく”サービス三流の東海道新幹線”に投資する価値は、他社と比べてかなり少ない。
「謙虚さも」ない。
「数ある交通機関から、我々しずてつジャストラインをお選びいただき・・・」と同じ地域で活動する他社とは大違いである。
それは新幹線で同じ事。新幹線でも基本的な接客サービスは代わりにないわけだから(つまり他社に比べると悪い、輸送以外の付加価値が皆無)、東京から西日本各地ならば航空機の選択肢もあり、むしろこちらの方が「速くて安くてサービスが良い」。
東海道新幹線のサービスの悪さはテレビ等に出演する有名人(芸能人や大学教授、経営者等)の多くが指摘しており、東海道新幹線から離れて航空機にシフトしているように見える。あくまでも私見だが。
すなわち、お客に対する接客サービスをもっと向上しないと、次の10年、20年後は生き残れないだろう。
謝罪する時も、「ご迷惑をおかけしました」だけでは、もはや謝罪としては不十分である。現場社員の謝罪に対する”感情”も入っていない。やはり”マニュアル棒読み”だ。印象としては冷たい。
これにプラスして、「申し訳ございません」や「お詫び申し上げます」と現場社員もお客に言えないといけない。
例えば、近鉄は最近になって大阪地区を中心に「申し訳ございません」と丁寧に謝罪するようになっている。(元々はそういう会社ではなかった)
それは奈良線における「車掌脱走事件」があった事も経緯だろうが、お客が鉄道会社に対する異常時に対するフォローも手厚いものにしないと、お客が離れ最後は経営悪化でJR北海道みたいに倒産するか?しないか?になるので、こういう事にならぬように経営者・現場社員が危機感を現実的に強く持っているためだろう。
他社事例ではあるが、明らかにJR東海の責任でも「謝罪しない事」がヨシとなっている。なんとかならないか?
これを打破しないと、いくら”天下の東海道新幹線”や”天下のリニア”があっても、お客は来ないし、選ばない。
そう言う危機感を持ち、世界一の接客サービスが出来る鉄道会社を目指すべきである。
★極めて珍しく車両基地を一般公開
鉄道会社では広く行われている、車両基地や車両整備工場の一般公開。JR東海では毎年7月(2018年からは9月)に浜松工場の一般公開「新幹線なるほど発見デー」しかなく、在来線のそれの公開は皆無だ。
しかし、昨年「さわやかウォーキング」の一環で静岡車両区を一般公開した。
会社発足30年を迎える今年は名古屋車両区を2017年4月23日(日)に一般公開した。やはり、さわやかウォーキングに参加する事が条件だ。


↑名古屋車両区一般公開の様子(2017年4月23日)
JR東海は「安全上の理由」「テロ対策」と称して、車両基地の一般公開は拒み続けてきた。
毎年継続的に今後も公開されるとは到底思えないので、さわやかウォーキングに参加する事が条件になるが、極めて珍しいJR東海の在来線車両基地公開は何が何でも参加するべきであろう。
なお、さわやかウォーキングの参加方法だが、実施当日に受付がある駅に行き、決められたコースを歩くだけである。
概ね8:30~11:00の受付で、参加は無料。歩きやすい格好で来る事のは言うまでもない。
他にも東京・大井の新幹線車両基地(幹トウ)、三島の総合研修センター(三島駅北側)の見学会もあるが、これらは全て子供向けで、親と一緒に参加する事が条件だ。応募者が殺到するだろうから事前応募の抽選となるのは確実だ。
私に言わせれば、こんなのは毎年やって当然のイベントだ。
JR東日本は地域ごとに春~秋にかけていろんなイベントをやっているし、私鉄各社も必ずやっている。
それを今までやらなかったJR東海と言う会社はいかに「閉鎖的」だったか。
会社発足30年の今年はやっても、来年(2018年)以降はやらない・・・と思っていた。
しかし、2018年以降もさわやかウォーキングとセットで在来線の車両基地公開を実施している。これは金子社長の命令らしく、「鉄道の仕事を地元の人に知ってもらう」事が狙いだ。一過性で終わるのではなく、毎年やるべきことである。
最近のコメント