【場当たり的】台風接近で初めて実施したJR東日本の計画運休は問題だらけだ!
もくじ
★”場当たり的だった”と言うしかないJR東日本が初めてやった台風接近時の計画運休
JR東日本は2018年9月30日(日)~10月1日(月)にかけて接近した台風24号に伴い、事前に運休予告(以下、「計画運休」とする)をした。少なくてもJR東日本は台風により計画運休したのはこれが初めてとみられる。
すでにJR西日本は2014年以降実施しており、今回の台風24号でも実施。今年(2018年)に入ってからは今回を含めて3回目で、近畿地区では定着した感もある。
当初計画運休に消極的だった在阪私鉄も京阪や南海でも実施しているが、阪急や近鉄のように「その時の状況を見てから最終的に決断する」と言った従来のやり方通りの社もあるので、私鉄は社によって温度差がある。 いつ頃からは不明だが、JR東海やJR北海道も計画運休をするようにしている。
★既に実施済みのJR西日本・JR東海・JR北海道の計画運休の特徴は?
台風は何日も前から接近する事がわかっているので、少なくても計画運休する前日までに公表している。
当日に公表する事は原則的にやっていない。
具体的には、「○日の○時以降は、○○線の○×駅~×△駅の間で運転を取り止める」と発表。
JR西日本では「○○駅を○時○分発の新快速(種別)×△行きが最終列車」と具体的な列車名までも公表する事がある。
なお、JR東海では具体的な最終運行列車名までは公表していない。実際に運休する列車名も公表していない。あくまでも「○日の○時から○○線の○×駅~×△駅の間で運転を取り止める」と大雑把な内容だけである。具体的な最終運行列車名については、現場レベル(駅や車内)でようやくわかるのが実状である。
JR北海道は運行する最終列車の公表ではなく、実際に運休する列車を公表している。
すなわち、公表する情報については同じJRでも社によって大きく異なるのは注意が必要で、今後JR・私鉄問わずに統一するべきである。
どのように世間に知らせるのか?と言うと、自社のホームページの運行情報、JR西日本では最近になって運行情報に関するTwitterの公式アカウントを持つようになったのでそこから発信したり、テレビや新聞等でも広く拡散されるので、多くの人が知るのだ。むしろ、知らない人が少ないほどだ。
★JR東日本が初めてやった計画運休の流れは?
①9月30日(日)の13:00前、首都圏のJR線で20時をメドに全ての列車の運転を終了。但し中央東線(高尾以西)は17時をメドに、上野東京ラインと湘南新宿ラインは18時をメドに運転終了・・・と言う事を公表。この事はNHKテレビが速報したほか、一気に各マスコミやネットで拡散。 但し、JR西日本のように「何時何分発の列車が最終列車なのか?」、JR北海道のように「何時何分発の列車が運休なのか?」と言った個別の列車名についての公表はしていない。やり方としてはJR東海の計画運休に近い。
②当日になって急に決まったので、急きょ予定変更して帰宅する人が続出。中にはJR東日本が計画運休する事自体を知らない人もいた。約45万人が帰宅難民に(帰宅出来なかった)。
③約束の時間になり、予定通り計画運休を実施。繰り返しになるが、「何時何分発の列車が最終列車なのか?」については、現場レベルでないとわからない状況であった。
④本当かどうか?不明だが、「週刊東洋経済」の記事によれば計画運休後にも山手線では「回送」と称した列車が動いており、その「回送」と称した列車にはお客を乗せていたと言う”ルールに反した列車”があったらしい。その理由は東京駅着の新幹線(JR東日本管内の各新幹線。JR東海の東海道新幹線は16時の段階で全列車営業終了済み)から乗り継いだお客を救済する目的があったらしい。
⑤10月1日(月)の運転計画について、「初電(朝一番)から通常通り運転」としていた。 しかし実際には、倒木等の被害があったため朝5時以降に次々と運休する事が公表。
”台風一過”でもあったので、前日の情報(通常通り運転)を信用して駅に来たお客が大量に来た結果、運休しているので駅の中も大混雑して、駅の中に入れなくする「入場制限」実施駅が多数発生。何時間待っても乗る事が出来ない最悪な事態に発展した。
横須賀線では倒木処理?に時間がかかって、運転開始したのは16時過ぎ。「10月1日の横須賀線の初電は午前4時台ではなくて、午後の4時台と、”午前”と”午後”を上手く間違えたんですか??」と私はJR東日本に言ってやりたい。
★私が思う問題点
全部が全部問題であるが、計画運休をやった事は一応は評価できる。 しかし、やり方が”素人”と言うか、”場当たり的な計画運休”だったと私は思う。”計画性が全くなかった計画運休”と言っておく。
①については、遅い。少なくても前日に公表するべきで、公表しておけば②が起る事はありえなかった。 恐らくJR東日本の現場では、立場によって・・・
A氏・・・「デカい台風が来る。新潟支社が2018年1月に大雪で列車が15時間も立ち往生して多数の批判を受けて、お客さまには大変申し訳なかった。台風でも同じ事が起こる事はある!台風が来る前に運休してしまえ!」
B氏・・・「新潟と東京では事情が違う。あの大雪は”想定外だった!東京であんな事が起こるわけがない!台風が来る前に運休する必要はない!台風が来て(雨量や風速が)基準値になったら、”いつもどおりの手順”で運休すれば良い!お客さまには迷惑をかけたくない!」
C氏・・・「相互乗り入れする私鉄(東京メトロや小田急等)との調整が必要になる。私鉄も会社によって対応がバラバラで、小田急さんは特急を運休にしてしまうが、東武さんや京急さんは通常通り。うち(JR東日本)はどうすれば良いのか?迷う!うちが計画運休すると他社さんといろいろと連絡やダイヤの調整、案内、人員配置等をやらないとならず、これが面倒!出来るかどうかも分からない!実施するだけで時間がかかる!だから、うちだけ計画運休にする事は現実的ではないのでは?・・・」
・・・と立場によって、現場ではこのようなケンカが行われたに違いない。 「あーでもない、こーでもない、だから、結論は決まらない」と言うのは、JR東日本の社風であり、この辺はJR東海でも言える話だ。
①を出すタイミングとしては最悪。
公表寸前まで社内でこのようなやり取りがあっただろう。JR西日本もJR東海もやっている事なので、「うちもやってしまえ!」と半ば、”勢い”で計画運休したように私は感じる。
③についてはただ一言。
最終列車の時刻を全て公表しろ!
こんなの運行情報にまとめなくても、本社ホームページ(支社のホームページだと世間的にあまり認知していないので効果が薄いのでやらない方が良い)のプレスリリースで数十ページもあるPDFファイルでドーン!と出せ!と言う事だ。
それであっても、公表した瞬間にテレビや新聞、ネットやSNSで簡単に拡散する時代なのである。もちろん、前日に!だ。
④については、仮に”ルールに反した列車”があるのであれば、それは”計画性が全くなかった計画運休”と言われても仕方ないだろう。
⑤事前予測が甘かったのではないか?
JR東海の場合、早くて前日、遅くても初電(朝一番)が発車する数時間前の段階で、「線路の点検を行い、○日の○時から○○線の○×駅~×△駅の間で運転開始する」と言っている。
あくまでもこれは「確定」ではなくて、「現場の状況により変化する事がある」と断りが付く。
実際に今回の台風24号では、静岡県内の東海道線で言えば「10月1日の朝9時から運転開始」としていた。 熱海~島田については、約束の時間より約1時間早い朝8時から運転開始。 島田~豊橋については、線路点検後に倒木が多数発見されたため運転再開時刻を変更。「未定」としたうえで、倒木除去等の作業完了後、13時頃から随時運転開始した。
そもそも「線路点検が必要」と言う事は鉄道関係者ならば誰でもわかっているのに、線路点検に何分かかるか?概ねの時間はわかるはずだ。あくまでもこれは「点検にかかる時間」。何もなく正常ならば早くても○時に運転開始出来る事を公表すれば良いのではないか?
JR東海は私の予想だが恐らく、この観点から運転開始時間を公表しており、線路点検で倒木等の被害があれば、わかり次第その事を公表。何時に復旧作業が完了して運転開始出来るのか改めて公表するべきである。
但し、アバウトに言ってもらうとさらなる混乱を伴うので、「○時からならば確実に運転開始出来る!」と言う精度の高い内容にならないといけないのは、言うまでもない。
★JR東日本が計画運休するために今後やるべき事
①について。少なくても前日に公表する事。 JR西日本のように「何時何分発の列車が最終列車なのか?」、JR北海道のように「何時何分発の列車が運休なのか?」と言った個別の列車名について公表する。
↓
そうすれば、上記②と③については回避出来たはずである。
④について。車両のやり繰りの都合で回送が生じるのは仕方がないとしても、旅客救済であっても営業扱いは一切しない。
⑤について。前述の通りの事(JR東海がやっている事)をやる。
(最後に)
私が思った事としては上記のとおりである。計画運休が定着しているJR西日本と比べると、かなり中途半端な内容だったと言うしかない。JR東日本に限った事ではないが、もっと大胆な計画運休をやっても良いと私は思う。計画運休と運転開始の具体的な時刻や列車名について同時公表が好ましい。
みなさんはどう思うだろうか?
全てのコメントにお答え出来るわけではないが、今回のJR東日本の計画運休についてみなさんのお考えを聴きたいと思う。
JR西日本の計画運休については「キツすぎる」という意見もあります。ただ台風の場合、事前にわかってるんやからそんな日に外出する奴が悪いとも言えます(勿論医者や役所など行かなければならない人は別)。
事前に計画運休を発表していない近鉄や阪急でも、「台風接近に伴い運休する場合があります。なので外出しないでね」の案内がなされてます。マニア的には珍しい行き先種別が出たと喜んでいる人もいますが。
なお、昨年の台風21号・24号では路線バスもある時刻以降運休となりました。
コメントありがとうございます。
「キツい」と言えば、あれはキツいと思う。本音は。利用者目線では。
しかし、台風本体が来る前であっても土砂崩れ等の災害が既に起きているかもしれないから、それが起り得ると思われる直前(変な話天気が良くても)から運転中止にしておいた方が安全を重視する姿勢ならば、仕方がない事だと思う。事故が起きたら批判はされる、人命が関わるわけだからそうなる前に運休しておいた方が良いに決まっている。
課題は「キツい」と言う面をどうするか?鉄道会社だけでは解決できない事もあって、「台風の時には役所や公安関係の職業の人以外は外出禁止にする」と言う法律とか決まり事が存在しないと難しいと思う。世の中の台風の時の行動を根本から変えるべきで(関係者以外全員自宅待機で良いと私は思っている。それが被害軽減につながる)、それをJR西日本は世の中に訴求したようにも感じる。