【利用登録が意外と面倒くさい/在来線改札口利用不可/エクスプレス予約との”すみわけ”は?】スマートEXを使ってみた

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実際に「スマートEX」を使って東海道・山陽新幹線に乗ってみた。必要なのはクレジットカードと交通系ICカード。でも入会手続きが面倒で0円決済による与信も。ICカードだけで新幹線に乗るならばそれなりに便利だが、スマートEX予約を紙のきっぷで発券する時や在来線改札口を使うと結構面倒な事になる。どういう事か?さらに「スマートEX」と「エクスプレス予約」の”すみわけ”についても述べる。

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【スマートEX】Suica・Kitaca・PASMO等の交通系ICカードで東海道山陽新幹線に乗車可能に

もくじ

★「スマートEX」を使ってみた

 2017年9月30日から東海道山陽新幹線では、上記リンクブログのようにSuicaやkitaca等の交通系ICカードでも乗車可能になった。

商品名は「スマートEX」と称する。

従来の「エクスプレス予約」と基本的には同じであるが、最大の違いは入会費・年会費不要で、専用クレジットカードを作る必要もない。
JR東海、JR西日本では盛んに宣伝されており、東海道新幹線に乗ると

↑座席テーブルに「スマートEX」を宣伝するステッカー。少なくても東海道新幹線を利用するお客は必ず目に入るはずだ。
私も「スマートEX」は使ってみたいと思ったので、会員登録した。
では、どうやって利用するのであろうか?

★意外に面倒くさい利用者登録。実際に使ってみると?


「スマートEXホームページ」(JR東海ホームページ)

↑まずはこちらで必要な利用登録を行う。これさえしてしまえば、今すぐにでも新幹線利用が可能になる。

必要なものはクレジットカード、交通系ICカードのみである。

スマートEXの公式サイトでは、商品数は少ないが定価よりも若干安くなる商品も宣伝。主に「のぞみ」利用、片道600キロ以上の利用で安くなるきっぷである。逆に「ひかり」「こだま」(特に静岡県民)に関係した商品は少なく、実質的に定価に乗る事になるので、金額面で言えば「お得感が薄い」。手続きは下記の通りである。

※私が利用登録した2017年11月時点で、再執筆した時点(2020年1月)では変わっている可能性がある

①氏名、メールアドレス等を入力。

②メールアドレス宛てに確認メールが来る。確認メールのリンクから再度スマートEXの登録ページに入る。

③クレジットカード番号と交通系ICカードの番号を登録。

これで面倒くさいのがクレジットカードは番号を入力するだけではダメ。一応”与信”が存在する事。

金額が発生しない形で決済する事で、本当に入力したクレジットカードや人物が存在するか確認する目的らしい。

その際にはクレジットカード会社と設定したIDやパスワード等が別途必要だ。これはクレジットカード番号とは異なる。

メモ等に記録していない限り忘れている事が多く、利用頻度も極めて少ないので、ほとんどの人は忘れていると思う。このIDやパスワードがわからないと先に進めないため、忘れた場合はクレジットカード会社に問い合わせる必要があるから、面倒だ。

スマートEXのID(10ケタの数字)が発行。さらにスマートEX用のパスワードを新たに設定する必要がある。

この2つ(スマートEXのIDとパスワード)はスマートEXを使う際に必要な情報になるので、忘れずにメモ等に記録するようにされたい。

⑤スマートEXの会員ページからログイン。

ログイン時は④のIDとパスワードが必要になる。メールアドレスや電話番号を入力する事はないため、④の情報が絶対に必要だ。

⑥乗車する日時、乗車駅と降車駅を選択して検索すると、候補となる列車が何本も出てくる。

グリーン車、指定席、自由席3種類とも予約可能で、乗りたい座席を選択する。
グリーン車、指定席の場合は、シートマップから好きな座席を選ぶ事も可能だ。

⑦乗車したい列車を選択すると、必要な運賃・料金はクレジットカードから決済。乗車する列車名、金額が登録したメールアドレス宛てにメールが送られてくる。

⑧↑乗車時は新幹線改札機に交通系ICカードをタッチ。

すると前から「EXご利用票(座席のご案内)」(上記写真)と称する紙が出てくる。これは必ず受取らないといけない。

私が利用した時は、「こだま」の自由席であったため、単に利用区間のみの表示。これが指定席だとそれに加えて、列車名や座席番号も表示。
乗車後に車掌(または「パーサー」と称する国鉄時代で言う旅客専務車掌=カレチに相当する乗務員)が検札する場合「ご利用票」を提示しないといけない。

⑨下車駅の新幹線改札機でも交通系ICカードをタッチ。この際は何も紙は出てこない。

私が見た限り、東海道新幹線の駅では「ご利用票」を回収する箱は存在しない。(近鉄特急ではホーム上に使用済み特急券を回収する箱が存在する)
そのため、「ご利用票」は持ち帰るしかないのだ。せめて近鉄特急のような事はやってほしい。

なお、会社の業務で「スマートEX」や「エクスプレス予約」を利用し、出張費用・交通費を精算する場合に必要な領収書としてこの「ご利用票」の提出が認められている場合もある。それは勤務する会社によって違うので一度確認してみるとよい。

★在来線との乗り換え時はどうすれば良い?


新幹線各駅の在来線ラッチ内には、「乗り換え改札口」が存在する。
ここでも「スマートEX」は利用可能だ。利用方法としては、所定位置をタッチするだけで良いのだが、在来線の運賃はどうなるか?

在来線側も交通系ICカードの場合、新幹線との乗り換え駅までの在来線運賃が自動的に精算される。この際の在来線運賃は交通系ICカードの残額から差し引かれる事になる。
一方で、在来線側が紙のきっぷの場合は、先にそれを新幹線改札機に投入して、次に交通系ICカードをタッチすれば良い。

★登録した交通系ICカードを忘れたら・・・

何らかの不手際で、交通系ICカードを持ってくるのを忘れた場合、JR東海、JR西日本の「みどりの窓口」や指定席自動券売機で紙のきっぷに置き換える必要がある。その際はクレジットカードが必要になる。
クレジットカードも忘れた場合は、新幹線に乗車出来ないので、注意が必要だ。

・・・スマートEXを使ってみたが、乗車自体は在来線で交通系ICカードを使って乗車する時と全く同じ感覚。違うのは「ご利用票」の有無くらいである。
パソコンでは上記リンクから入れば良いが、スマホでも専用アプリがある。しかしこのアプリは必要最低限の機能しかなくて、評価(星マーク3以下)低い。

★乗車変更(乗変)は何回まで可能か?

指定した列車が発車する直前までだったら、何回でも変更できる(変更手数料不要)

これは「エクスプレス予約」と同じ。但し変更可能期間は最初に指定した列車の発車日から最大3か月先まで。どういうことか?というと、例えば1月20日発の指定席を予約。予定が変わって次に2月15日発の指定席に変更(乗変可能)→これも変わって次に3月10日発の指定席に変更(乗変可能)→これもまたまた変わって次は4月5日の指定席に変更(乗変可能)→ここまでは問題ないが、次に4月28日発の指定席に変更しようとするとエラーになる(乗変不可)。つまり最初に指定した列車(1月20日)から3か月過ぎてしまったため。この場合一度払い戻しを行って再度新規購入が必要になる。こういうパターンは少ないと思うが、知っておくと良いだろう。

★スマートEXは新幹線専用のため、在来線改札口で使うと面倒な事になる!

「青春18きっぷ」を使って、途中区間だけ”新幹線ワープ”する場合や、駅の構造上在来線改札から入って在来線改札内にある新幹線乗り換え口から新幹線ホームに入った方が便利なケースも多々ある。例えば、東京駅、熱海駅、三島駅、名古屋駅、福山駅など。

普通の「紙のきっぷ」ならば、そういう事は出来るが、スマートEXやエクスプレス予約では基本的に出来ないと思って良い。

2018年3月に姫路までは大阪方面からJR神戸線を使い「青春18きっぷ」で在来線の改札口から一旦出場。ところが出た改札口が姫路駅の中にある商業施設に直結した所で、新幹線の正規改札口がどこか?迷った。このままだと新幹線に乗り遅れそうだったので、慌てて指定席券売機で紙のきっぷに。

しかし、これが最初の面倒であった。

画面から「エクスプレス予約受取」等の口座を選択し、クレジットカードを挿入すると求められたのが、「スマートEXのパスワード」。一般的にはクレジットカードのパスワード・・・と思っていたので、まさかスマートEXのそれを聞かれるとは。慌てて調べてなんとか発券。

しかし、在来線改札口から発券したきっぷを改札機に投入したら、通らなかった。
改札氏に発券したきっぷを見せると下記のモノが渡された。

↑「EX-ICサービス専用 入場証」と言うもの。一旦在来線改札内を通行するために渡される「通行証」のようなもので、在来線と新幹線乗り換え口で写真のきっぷ2枚を同時投入する必要がある。

新幹線専用商品のため、「在来線利用不可」ときっぷにはあった。つまり、新幹線の正規改札口から入場(または出場)しないといけないのだ。乗り換え口を使えるのは新幹線駅から(まで)在来線で有効なきっぷがある事が条件だ。

★なぜ交通系ICカードを使うのか?

新幹線に乗る際に、交通系ICカードの残額から差し引かれる事はない。JR東日本管内の新幹線(東京近郊の一部区間に限る)で交通系ICカード(要事前登録)の残額を差し引く形で東北・上越新幹線の自由席に乗ることができるが、東海道・山陽・九州新幹線では再執筆時点(2020年1月現在)ではそのようなことはできない。

「スマートEX」は事前に登録したクレジットカードから決済することが前提であるため、クレジットカードを持っていないとそもそも使うことができない。これは「エクスプレス予約」(JR東海かJR西日本の専用クレジットカードが必要)も同様。「エクスプレス予約」では利用者にEX-ICカードという交通系ICカードと全く同じ仕組みのカードが与えられ、これを新幹線の改札機にタッチすることで通過することができる。このEX-ICカードはチャージ(入金)することができず、電子マネーどころか在来線の列車に乗ることさえもできない。

つまり「新幹線の改札機を通過するためだけのICカード」と思えばよい。「スマートEX」ではEX-ICカードを不要する代わりに、交通系ICカードで新幹線の改札機を通れるようにした。在来線に乗り換えるときには、新幹線乗り換え改札口で1枚のカードで新幹線改札口の通過と在来線に乗るための処理(入場記録または出場記録)を行えるようにしている。一方でEX-ICカードを利用する場合、例外的な処置として交通系ICカードを”二枚重ね”にすれば、新幹線乗り換え改札口を通過できる仕組みだ。(『鉄道ジャーナル2020年2月号』の記述を参考にした)

★「スマートEX」と「エクスプレス予約」のすみわけは?

JR東海は2018年度以降盛んに「スマートEX」の宣伝をしている。新幹線が停車しない同社の在来線の駅、在来線の車内にも、これでもか!というくらい宣伝ポスターが出ている。当ブログでも「スマートEX」の宣伝広告が注入されるようにもなっている。

一方で「エクスプレス予約」に新規加入する宣伝は、駅や車内どころか、同社のホームページでもほとんど見ることがなくなった。結論から言えば再執筆時点(2020年1月)でも、「エクスプレス予約」の新規加入自体は受け付けている。

JR東海の営業戦略として、まずは「スマートEX」の客数を増やす事を至上命題にしている。最終的には東海道新幹線の旅客のうち約7割が「スマートEX」か「エクスプレス予約」で乗ってもらいたいとしているので、そうなるまでは今のこれでもか!という宣伝を消すことはなかろう。

「スマートEX」=年会費無料、割引は薄い

「エクスプレス予約」=年会費1,100円、専用クレジットカードが必要、割引も1割程度だがある

これが両者の違いであるが、例えば「エクスプレス予約」で東京~新大阪間を往復すると、片道当たり約500円程度の割引を受けられるので(普通車指定席利用の場合)、往復だと約1,000円程度安くなる。その安くなった金額分=年会費に相当する額だ。利用回数が多ければ多いほど、無料の「スマートEX」よりも新幹線をお得に利用できる。

すなわち、「スマートEX」利用のお客の中で新幹線の利用回数の多いお客(1か月に2回ないし3回以上)に直接「スマートEX」→「エクスプレス予約」への切り替えを促す営業戦術を今後行うとのこと。

数か月(または数年)に一度程度しか新幹線を利用しない=スマートEX

1か月に何回も新幹線を利用する=エクスプレス予約

という”すみわけ”とか”会員階級”を作り上げたいのが、JR東海の真の狙いだという。(これも『鉄道ジャーナル2020年2月号』の記述を参考に書いた)

★まとめ

「スマートEX」は一見すると新規加入がラクそうな気がするが、実際には細々とした手続きがあって意外と面倒くさい。だが実際に東海道・山陽新幹線では1人利用に限る(2人以上で利用する場合は紙のきっぷに置き換えないといけない)が、わざわざ紙のきっぷを買って新幹線に乗るという行為が省けたのは、使っていてかなり便利で、新幹線に乗るまでのハードルがかなり下がった気がする。もはや在来線に乗る感覚で新幹線にも乗れてしまう時代が到来したといって過言ではない。昔は大行列のみどりの窓口や指定席券売機の前に並んだが、「スマートEX」が出来たおかげで例外的な対応を行わないといけない場合を除き、そこへ行くこともなくなった。極端な話スマホで新幹線のきっぷを購入しておき、購入完了と同時にすぐに新幹線改札口を通過することだって出来るし、私もそれはやったことがある。手軽さはあるものの、注意点も普通の紙のきっぷ以上に多かったりするので、その点は知っておくとよい。

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KH8000

ご覧くださいまして、ありがとうございます。 当ブログは鉄道・バス・ヒコーキ・船について、読者の皆様が”乗りたくなる”公共交通機関の魅力をお伝えします。 実際に私が乗った時・撮った時の感想などについて「乗車記」「撮影記」として、各地の秘境駅や注目の鉄道駅に直接訪問し現地で知り得た事を「現地調査」として、”他所よりも詳しく”、鉄道系YouTuberに負けぬほどの勢い・情報量・知識・感動体験を当ブログでお伝えします。 私はJR全路線全区間乗車(JR完乗)済みで、鉄道友の会の正会員(一応某支部の幹部・撮影会などの行事についても詳しくお伝えします)です。当ブログのフォロー(ブックマーク)は誰からも大歓迎です。

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2件のフィードバック

  1. 急行志摩 より:

    モバイルsuica紐付けのエクスプレス予約利用ですが、スマホで姫路在来改札通過して新幹線乗り継ぎ改札通過すれば難なく乗車できました。suica履歴見たらJR西 0円となっていました。
    青春18きっぷ等から途中で新幹線乗車する場合、係員改札口できっぷとスマホを渡したら、端末で入場扱い操作してもらいレシートのような紙を受け取り入場でした。出口では普通にスマホタッチです。

    • KH8000 より:

      そういう事が出来ますか。青春18きっぷだと一度在来線改札口から出場→新幹線改札口からスマートEXで入場・・・と言うやり方しかできないと思っていたので。

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