【スマートEX】Suica・Kitaca・PASMO等の交通系ICカードで東海道山陽新幹線に乗車可能に

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会員登録と年会費無料でSuica等の交通系ICカードで東海道・山陽新幹線に乗車出来る「スマートEX」とは一体どんなものか?従来の「エクスプレス予約」とは一体何が違うのか?どれくらい安く乗れるのか?スマートEX特有の注意点も多く乗り方によっては高くなったり、割引も薄いデメリットも多い!詳しく解説する

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JR東海とJR西日本は、東海道山陽新幹線のネット予約サービス「エクスプレス予約」に「スマートEX」と称する新機能をリリースすると公表した。詳しくは下記ホームページを参照されたい。(この記事は2017年に初めて作成し、2018年と2020年に加筆編集した。多少表現方法や事柄等に変遷がある点はご了承いただきたい。また本文中の金額は全て2019年10月以降のものである)

「スマートEXサービス開始」(JR東海ホームページ)

↑東海道・山陽新幹線のN700系。(車両はJR東海の2000番台X24編成)

「紙のきっぷ」からICカードで今まで以上に多くの人が乗れるようになったのは”進化”であっても、いろいろと面倒くさいルールや手続きがあって、航空機並みに多彩な割引制度もないため、結果として「お得感」が薄い内容に。

もくじ

◆エクスプレス予約×えきねっとの違い

元々東海道・山陽新幹線の座席予約と購入が出来るインターネットサービスは「エクスプレス予約」であった。しかし、航空機の上級会員と同じく、専用のクレジットカードが必要で、年会費も必要で(航空機のそれと比べると全然安いが)誰でも気軽になれるようなものでもなかった。そもそも敷居が高く、航空機では一般的な非会員(単発の利用者)は原則インターネットから東海道・山陽新幹線きっぷは買えなかった。(えきねっと・e5489発券を除く)
JR東日本やJR北海道が展開する「えきねっと」のように気軽なものではない。

★「えきねっと」の特徴

えきねっとは、メールアドレスやクレジットカード(国際ブランドの付いたカードならば何でも良い)を用意して、利用する際には、えきねっとのホームページにアクセスした上でログイン。乗車列車を指定し必要な手続きを完了させる。

↑「えきねっと」で予約して発券した、静岡→東京の新幹線きっぷ。乗車直前までに「紙のきっぷ」を受け取る必要がある事、JR東日本とJR北海道管内、JR西日本北陸地区の主要駅までわざわざ「きっぷを買いに行く」手間が発生する。JR東海管内では「えきねっと発券」する事が出来ない。

最終的には「紙のきっぷ」が必要になるため(N’EX等の一部チケットレスサービス実施の特急を除く)JR東日本の指定席自動券売機やみどりの窓口で(JR北海道やJR西日本の一部駅でも発券可能だが発券できるきっぷに条件アリ)、登録したクレジットカードを提示した上で発券を受ける必要があり、払い戻しや乗変については基本的にJRの一般的なルールが適用される。

★一方で「エクスプレス予約」は会員になるだけで大変・・・

一方でエクスプレス予約は、えきねっとのような”気軽さ”がない。
メールアドレスや氏名等の登録は一緒だが、クレジットカードについては専用カードが必要。
例えば、JR東海の場合は「JR-TOKAI-EXPRESS-CARD」と称する。(JR西日本の場合は「J-WESTカード」と称する)
JR東海が発行している唯一のクレジットカードで、年会費は必ず発生し1,100円/年である。航空機のそれに比べれば安いが(安くても1万円程度、平均2~3万円程度でそれなりの信用力がないと入会審査さえも突破できない)


なお、私はJR東海が嫌いなので、同社発行のクレジットカードは死んでも持つつもりはない。

エクスプレス予約の特徴としては、発車直前まで指定席の予約が可能。自由席と同じ金額で指定席に乗車出来ることがポイントである。繁忙期・閑散期は定価よりも多少の増減があるが、エクスプレス予約ではその増減がない。すなわち、年中同額で乗れるわけだ。

JRの一般的なルールでは乗変は1回限りで、2回目以降は払い戻した上で再度購入になるが、エクスプレス予約ではその制約を受けず、発車前ならば指定を受ける列車の変更は無手数料で何回でも出来る。
10回変更しても、20回変更しても良いのだ。
もちろん、シートマップ対応で、スマホやパソコン等の画面に空席位置が出てくるので、そこから好きな座席を選べばいい事になる。

実際の乗車時は、東海道山陽新幹線の改札口に、Suica等の交通系ICカードをタッチするリーダーと全く同じ装置(厳密に言うと異なる機種のはずだが)がある。財布等の中に「EX-ICカード」と言うクレジットカードとは別の専用ICカードが入っている事が条件。
すなわち、これが”新幹線版のSuica”(新幹線版の交通系ICカード)となる。
在来線ではタッチすれば、カードの残高表示のみだが、エクスプレス予約では前から紙が出てくる。ここには乗車する列車の情報(発車時刻、座席位置等)が書いてあって、これを所持したまま新幹線に乗車。
以前は東海道新幹線では、指定席でも検札しており検札時にこの紙を車掌に見せる必要があったが、2016年春の改正以降は検札が廃止されているので、違う座席に着席しない限り提示の必要がなくなった。

EX-ICに似たものとしては「プラスEXカード」と称するものもある。
基本的な仕組みはEX-ICと同じだが、違いは使用するクレジットカードは市中会社が発行するものでも構わないと言うものだ。
それでも、全ての市中会社発行のクレジットカードが使えるわけではなく、例えば、「イオンカード」「TSキュービックカード」「アメリカンエキスプレス」等である。
なお、これらカードを使用していても、1,100円と言う年会費は必ず発生する。

従って、エクスプレス予約は「指定したクレジットカード」を所持していないと、サービス自体が利用出来ない”欠陥”であった。

これについては、批判が根強く、時々しか東海道山陽新幹線を使わないお客に言わせると、所有価値がない。
実質的には海外から訪れたお客が新幹線をネット予約しようとしても出来ないのはこの事で、海外の高速鉄道では航空機同様にほとんどのクレジットカードで決済可能+スマホやパソコンでその場できっぷ発券可能・・・なので、それが出来ない日本では(一部を除く)、わかりにくい、不便そのものであった。
それは旧国鉄の旧態依然的な「お役所体質」がJR発足してからも30年経過しても変わらない事を示す。

◆SuicaやKitacaやPASMO等の交通系ICカードでも乗車出来る「スマートEX」とは?会員登録方法はどうやって?

では、スマートEXとはどんなものか?


まず大きな特徴が、「指定したクレジットカード」を所持しなくても良くなる事だ。すなわち、国際ブランドの付いたクレジットカード(ビザ・マスター・JCB等)ならば、何でも良い事になる。

例えば鉄道会社が発行しているクレジットカードで言えば、JR九州の「JQカード」とか小田急の「小田急OPクレジットカード」、東急の「東急TOPカード」でも良い事になる。

EX-ICの代わりになるICカードが交通系ICカードとなる。
対象は、Kitaca、Suica、PASMO、TOICA、manaca、PiTaPa、ICOCA、SUGOCA、nimoca、はかやけんである。

エクスプレス予約のホームページで、2017年9月30日(土)から利用登録・乗車利用が可能になる。
同ホームページで、クレジットカードの番号(運賃と料金を決済する際に使用、概ね16ケタ、有効なカードか確認のため0円決済による与信審査もある面倒くささ!)を入力→交通系ICカードの番号(裏面の右下にある表記で、私が持っているKitacaの場合は「JH309・・・・0701」で、概ねアルファベット2ケタ、数字15ケタ)を入力する。

あとは前述の通りで繰り返すと、スマホ・パソコン等から指定席の予約→東海道山陽新幹線の駅改札口で登録済みの交通系ICカードをタッチ→予約情報の紙が出てくる→これを持って乗車・・・と言う流れだ。

JR東海は現状では約3割のお客がエクスプレス予約を利用しているが、この比率を高めたい方針で、最終的には7割程度にする目標があると言う。スマートEX開始から3年が経過し、実績としては東海道新幹線利用者の約1/3がその利用者だと言う。一部の駅にはICカード専用の改札口が出現している。JR東海管内の在来線車内や駅のポスターではその旨の宣伝がうるさい!くらい掲示されている。(2020年1月現在)

◆スマートEXでどれだけ安くなるか?

結論から言うと、「安くなる事は期待しない方が良い」

あくまでも、既存のEX-ICやプラスEXを優遇する事には変わりない。

有料会員のEX-ICやプラスEXでは、自由席の料金で指定席に乗車できたが、それでもたかが530円しか安くならない。航空機みたいに極端に安くならないのは、エクスプレス予約・スマートEXとも共通で、安くなったとしても最大でたかが1,000円程度である。

一応割引もあるが、商品数(ラインナップ)は少なく、乗車3日前までの予約と購入で少しだけ安くなっているだけ。少なくても「ひかり」「こだま」ユーザー(特に静岡県民)にとっては、割引を受けにくいのが特徴で、駅で紙のきっぷを購入した時の代金がほとんど同じ(実質定価)なのが、エクスプレス予約・スマートEXの”欠陥”である。

一部商品(「得割」等と称する)は最大で2,000~3,000円安くなる場合もあって(主に「のぞみ」向けの商品・片道600キロ以上の利用)、これはエクスプレス予約を活用した一種の「企画乗車券」である。

スマートEXは「新幹線に気軽に乗れる機会を提供しただけ」と考えるべきだ。割引はほとんどない。

指定席と自由席の中間額がスマートEXの金額で、指定席よりも200円引きとなる。
例えば、静岡~東京は定価の指定席が3,060円であるが、これが2,860円になる程度だ。(自由席では2,540円)。同区間の乗車券込みの値段は定価の6,470円→6,270円になる。
また、繁忙期・閑散期の影響を受けるため、例えば年末年始は200円増しの6,470円(定価だと6,670円)になる。なお、エクスプレス予約(有料会員)では、繁忙期であっても値段が通年同じと言う”お得意様優遇”も一応ある事だけ付け加えておく。※金額は2019年10月以降で、以下同様。

◆エクスプレス予約特有の注意点

①自由席はチケットレスになる以外、何もメリットがない

エクスプレス予約は自由席の購入も可能である。しかし、値段は定価の紙のきっぷと同額である。従って割引は一切受けられない。
この逆にグリーン車に乗車した場合は、特急券の分は割引が受けられるが、「設備に対する料金」であるグリーン券の分は定価である。
例えば、静岡~東京のグリーン料金は2,800円であるが、これが無割引でそのまま加算される。
「こだま」しか停車しない駅、例えば新富士、掛川、三河安城、新尾道、東広島、新岩国、厚狭では、両数の多い自由席の選択が主体となるため、割引の恩恵を受ける事が出来ない。

②乗車券は紙のきっぷ、特急券はスマートEX等のエクスプレス予約発行のきっぷが出来ない

このような(若しくはこの逆)組み合わせでは、エクスプレス予約自体が使えない。

なぜならば、エクスプレス予約は「乗車券+特急券のセット」で構成された商品で、「乗車券だけ」「特急券だけ」と言う”単品”がそもそも存在しないのだ。

以前私があったケースを紹介する。
東海道線の静岡県内某駅~名古屋まで往復乗車券を事前購入。
行きは東海道線で名古屋まで行ったが、帰りに名古屋駅へ行ったら東海道線が輸送障害で止まってしまい当分の間運転再開しないと判断。急きょ新幹線に切り替えた。
東海道山陽新幹線では、一部を除き乗車券の経路が「東海道線経由」「山陽線経由」でも新幹線に乗車する事が可能。この場合別途特急券を購入するだけで、名古屋~静岡県内某駅の新幹線自由席特急券を購入して改札機に投入すると、もちろん通過できた。
エクスプレス予約では、このような事が出来ないで注意されたい。

③特定都区市内制度が適用されない

東京~新大阪で紙のきっぷを購入すると以下のように乗車券は表示される。

「山・東京(山手線内)→阪・大阪市内」

すなわち、これはどういう意味か?と言うと、乗車券の部分は必ずしも東京駅から乗車しなくても有効と言う事だ。

(乗車経路)
新宿駅→中央線(快速)→東京駅→東海道新幹線→新大阪駅→JR京都線→大阪駅

(紙のきっぷの値段)
乗車券8,910円
特急料金(通常期に指定席を利用したとする)5,490円
合計14,400円

・・・これが東京(山手線内)~大阪市内の運賃・料金である。
乗車駅は山手線内の駅ならばどこでも可能で、渋谷でも池袋でも上野でも良い。逆に降車駅は大阪市内の駅ならばどこでも良いので、京橋でも鶴橋でも天王寺でも新今宮でも良い。とにかく値段は変わらない。

ところが、これがエクスプレス予約を利用すると値段が大きくわかるので、注意必要。
まず、乗車券については・・・

「東京駅→新大阪駅」

となる。つまり、上記経路の場合新宿駅→東京駅は別途198円(紙のきっぷの場合は200円)、新大阪駅→大阪駅は同160円(紙のきっぷでも同額)余計に必要だ。

スマートEX利用し、前後の在来線は交通系ICカードを使用する場合の値段は以下の通りになる。

新宿駅→東京駅=198円
東京駅→新大阪駅=乗車券8,910円+特急券5,490円=14,400円
新大阪駅→大阪駅=160円
合計=14,758円
紙のきっぷよりスマートEXの差額は358円高い

すなわち、特定都区市内制度が非適用になるため、新幹線駅からJR在来線に乗り換える場合は別途運賃が発生するので、結果として高くなる。
エクスプレス予約で最大限の割引を効かせるならば、EX-ICが有効だ。

★次回予告。実際に「スマートEX」を使ってみた。どんな事が起きたのか?

・・・最後に、やっと交通系ICカードで東海道山陽新幹線に乗車可能になるのは、遅いくらいだ。2013年の段階で乗車出来るようにするべきだった。
あくまでも、「東海道山陽新幹線専用サービス」のため、博多で直通する九州新幹線との相互利用は出来ない。(※2022年から九州新幹線でもスマートEX等のエクスプレス予約が利用開始になる予定)
また、交通系ICカードから新幹線の運賃・料金を差し引く仕組みでないので、その点も注意が必要。運賃・料金の支払いは登録したクレジットカードになるため、それがないとスマートEXすら使えない。

だから、結果的にトク?と思う次第。みなさんはどう思うだろうか?
値段的に見れば、私は(静岡県内各駅利用は)「ひかり」の指定席を使う時でないと、恩恵を受ける事が出来ない。「こだま」で自由席ならば「紙のきっぷで言いや」となる。

実際に「スマートEX」の会員になってみて、実際に使ってみた。値段的な恩恵(安く新幹線を使う)事は期待出来ないが、それ以外のメリット・デメリットは一体何なのだろうか?それは次回に続く。(下記リンクをクリック)

【利用登録が意外と面倒くさい/在来線改札口利用不可/エクスプレス予約との”すみわけ”は?】スマートEXを使ってみた

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